魔王軍へようこそ5 (製品版)

SLG,R18製品版の感想,ライター:さたける

*この感想は [さたける]さんに書いて頂きました。

*2017年1月13日時、パッケージ版(アップデート適用前・無印)の感想です

魔王軍へようこそ魔王軍へようこそ
魔王軍へようこそ2 -魔王死す-魔王軍へようこそ2 -魔王死す-
魔王軍へようこそ3 -勇者消失-魔王軍へようこそ3 -勇者消失-
魔王軍へようこそ4 -時を知る者-魔王軍へようこそ4 -時を知る者-

魔王軍へようこそについての概要 システム編

*この項は、魔王軍へようこそシリーズ全般に解説になります。すでに過去作をプレイ済みで5の感想が読みたい方は先の項へ進んでください。また、それぞれ数年以上前のプレイなので粗がある可能性もあります。また、スクリーンショットは、ほぼ魔王軍へようこそ5のものを使用しています。
本シリーズの魅力は堅実なインフレ経営シミュ物になっている事、ドラクエ世界を基調としながらも、集団生活の闇を取り入れた独自の設定とキャラ改変で独特な世界観を練ったシナリオが楽しめる事です。
基本は店舗画面。買物客が店にある在庫商品を購入する姿が見えます。看板を立てれば、客が増え、カウンターを増やせば、客は上下のカウンターに並ぶので客捌きがよくなり、宿屋を作れば宿に泊まりにくる客が増えます。1日が経過するとその日の売上から経費が引かれます。これを毎日繰り返しながら店を大きくしていきます。

店1 店2 店3
▲客が増えるとリアルに画面で大量の動く客として反映され、店舗が成長したと実感できる点は素晴らしいと思います。

 

システム1
▲お店を拡張する事で売上が増えたり、モンスター強化手段が増えたりします。

経営の要であるインフレ感も実感できて、人気が増えれば売上が増え、店が大きくなっても売上が増える、探索ドロップアイテムが良くなっても売上が増える、店舗の様子だけでなく、この数字がしっかりと気持ちいいレベルで大きくなっていく感覚が快感になってきます。
さて、客にアイテムを売るには、在庫が必要です。では、在庫はどこから仕入れるかと言うと、基本はモンスターに探索してもらい入手します。探索中はHPが減るので、休憩したり「ガンガンいこうぜ」でとことん敵と戦ったり。探索箇所によって敵レベルや入手アイテムが異なるので、仲間モンスターの能力が大事になります。

システム2

そのため、探索してレベルを上げる事も重要ですが、稼いだ資金を使い、訓練施設や呪文研究所(職業やスキルを覚えたり訓練所の効果が上がる)、交易所(探索場所増加)、ルイーダの酒場(モンスター入手)などの建設・増築をして強化していきます。
そうして強化したモンスター達(シリーズによっては主人公も)は探索以外に、イベントボスを倒す大事な役割があり、基本はボスを倒しながらシナリオを進め、場合によってはシナリオ分岐し……という流れです。シナリオ上では、ドラクエの主要キャラも仲間にできます。

システム4
▲ボス画面の仕様やシステムは毎作一番異なっている箇所。画面は5のものです。

探索方法、モンスター獲得方法、ボス戦などは、シリーズ毎に細かく異なりますが、基本は店舗を大きくしてモンスター強くしてボスを倒す事で、楽しさの本質は全く同質です。なので、シリーズを多くプレイするとマンネリ化する欠点が確実にあります。
それでも、私は全作購入しているし、魔王軍へようこその世界にどっぷしのめり込んでいます。経営システムのテンポが良く、ストレス無く遊べる底力がある事を前提に、原作改変の良質シナリオとやり込み要素でマンネリを跳ねのける力があるからです。
この構造は、毎回似たシステムを採用しながらも人気IP、クロスオーバーの良質シナリオでリリース毎に確実に話題となるスパロボと同種と言えばわかりやすいでしょうか。

魔王軍へようこそについての概要 ストーリー編

シリーズのストーリーは全て共通点があります。頭脳派魔族が、人間のフリをして人間世界で店舗を経営し、稼いだ資金を元手に戦力を強化して、大魔王より強い勢力を作り人間世界と魔物世界を征服する事です。
キャラ設定や世界観設定は大幅に原作破壊をしながらも、原作の細かな設定をしっかり反映しているのが、ののの通信さん流シナリオ構築の長所です。原作とかけ離れた設定ながら、原作愛の強さを感じます。
まず、人間社会が黒い。私はシリーズで2(ドラクエ4二次)が初プレイですが、一番初めに登場する主役キャラ、トルネコの境遇には唖然するしかありませんでした。8人の勇者と世界を救った商人、しかし、その後は商人仲間に裏切られ借金を背負い、妻子は人質として隠されている。店舗経営のため、敏腕商人を探していた主人公は……。という流れ。その後はトルネコを戦闘で倒すもよし、説得(つまり、人質を助けるなど)して仲間にするもよし。
そして、トルネコを起点に他の選ばれし者を倒すか仲間にして戦力にするのが2の特徴です。
魔王軍へようこそ4 -時を知る者-
個人的には4がシリーズ上、最も好きなタイトルで、原作2クリア後の世界をベースにしています。原作主人公達がそれなりにはっちゃけていて
・ローレシアの王子:覇王を名乗る。人間世界も含めて世界統一を夢見る
・サマルトリアの王子:ローレシアの王子とはジャイアン・スネ夫の関係。いつもビクビクしている。
・ムーンブルクの王女:魔王軍へようこそ4主人公が好き、なかなか策士。
そして
・人間の国同士の関係もローレシアの覇王政策(世界統一)を初めギスギスしている。
・ハーゴンの邪教はいわゆる、現地においての迫害された宗教であり人間国の政策のため、滅ぼされた
と、原作改変もすごい。
こんなギスギスした世界なので、各シリーズ主役キャラと共闘して、人間世界を平和にする熱い展開は胸にくるものがあります。基本的にはルート分岐があり、共闘手段が変化します。単純な利害関係の協力(主人公が世界征服すると人間社会が今よりマシになる)か凌辱調教して悪堕ちさせ従わせるか、味方にせず始末するか。この分岐によるストーリー変化も面白さの要因です。
エロはストーリーの進みによって、純愛と凌辱に分岐します。ののの通信さんは個性が強烈(すぎる)キャラ達ばかりなので、どのシリーズも数人は好きになれるかと。女性が感じる様はしっかり文章で描いているので、純愛はその時点でキャラを好きになってたら盛り上がります。

ムーン1 ムーン2
▲画像は魔王軍へようこそ4。原作とはかけ離れた性格ながらも、独自のキャラ付けが非常に人気となり、主役となるアペンドディスクまで発売してしまったムーン王女。私はゾッコンになってしまいました。

凌辱も前戯をしっかりしたエッチ。最後には女性も感じてしまい、キャラによっては元から淫乱だったりして、一応凌辱だけど、なんか和姦に近いなと感じる内容。
シーンはとことん長めでねっとり。ただ、同人特有の変態嗜好やこれぞ凌辱だ!と感じる強引すぎる描写はあまりありません。エロの方向性として、特殊な内容はあまりなくオーソドックス。密室で会話しながら一通りの前戯を行いセックスをするもの。
文章の質、方向性は良くも悪くも商業エロゲーのレベル。人気イラスト絵師さんを起用しているのでCGのレベルが非常に高くなっています。

魔王軍へようこそ5はドラゴンクエストヒーローズ原作

*以下の感想はドラゴンクエストヒーローズのネタバレを含みます。
さて、魔王軍へようこそ5ですが、元ネタは初めてナンバリングから外れ、ドラゴンクエストヒーローズがベースです。原作は魔物と人間が平和に暮らしていたが、謎の力で魔物が急に人間と敵対し……と、ドラクエシリーズでも異色の設定。そして、世界の迷い人として、ナンバリングから人気キャラが参戦しています。ちなみに私は原作未プレイ。

ヒロイン
▲今作は影が薄いのですが、魔王の娘という設定でヒロインがいます。店舗運営では喋るドラキーも活躍。

本作は原作クリア後で再び人間魔物共存時代。だけど、
・魔物と人間の共存と言っているが、人間に必要ない魔物は虐待されている。
・人間社会なので魔物は人間より地位が低くて貧しい暮らしをしている。
・教会が腐敗していて、賄賂で昇進や貧乏な村人から金を巻き上げるのは常識
と、ののの通信節全開で、人間の悪意を元とした妙にリアリティのある原作世界観再構築をしています。
そんな中でひっそり暮らす貧乏な魔物村を育てるために異世界から来た魔族である主人公が、魔物に商品を集めさせ、商店を持ちます。だけど、知性の薄い魔物(犬や猫のような扱い?)が突然集団行動を取り始めるため、不審に思う人間も出るわけで……
ナンバリングキャラを自由に出してもいい世界観なので二次創作もやりたい放題。敵として立ちはだかるのは、戦士、武闘家、魔法使いなどの冒険者、ナンバリングキャラ、ヒーローズ主役と豪華。シリーズ屈指の人数を誇ります。ただ、弊害もあり他シリーズよりキャラの掘り下げが控えめです。また、人間キャラはほぼ仲間になりますが、ジュリエッタと一部以外は全て悪堕ちが前提です。そのため、他シリーズであるような共闘して人間社会に立ち向かうようなシナリオがなかったので、その点は物足りなさを覚えました。

冒険者 魔法使い 僧侶
▲僧侶系魔法を覚えようとする魔法使い、教会の腐敗に苦しむ僧侶など、オリジナルキャラの個性も強くてなかなか良キャラ。それだけに掘り下げが少ないのは勿体ない気がしました。

ちなみに本作ヒロインはオリジナル魔族ですが、準ヒロインはジュリエッタ。「自分の発明した武器で生物が倒されると快感を覚えるから魔物が人間に敵対していると有難い」なんて腹黒い設定が付け加えられています。

ジュリエッタ
▲ドラクエヒーローズオリジナルキャラ。パーティーには加わらないし、エロシーンもありませんが、シナリオ上は正式な仲間になってヒロイン以上に活躍している珍しいキャラ。

パフパフ娼婦に転職?それとも主人公に惚れさせる?、究極の2択

エッチはほぼ全キャラ凌辱、闇に染める、パフパフの3本立て。今までのシリーズ同様、一つ一つのエロに前戯あり会話ありが多くてとてもテキストが長いのが特徴です。
まず、冒険者達や勇者達をボス戦で倒すと、捕獲してレイプイベントが始まります。最初は嫌がっているけど、プレイ中は感じるようになり、和姦になる場合も。キャラによっては主人公が逆に手玉を取られる逆レイプ状態になります。

エロ1
▲武闘家キャラの凌辱エッチ。今作も相変わらずCGが綺麗ですね。

その後、パフパフ屋で娼婦として働かせるか、自分の物にするか選択します。パフパフ屋だと、結構楽しみながら娼婦をしているところを主人公が覗くエロイベが発生します。

エロ2
▲お客相手に頑張っています。中にはマグロプレイでお客の評判を下げるキャラもいたり、キャラ一人一人の個性が生きたエッチだと思います。

自分のものにしてしばらくすると、闇に染めるイベントが発生します。まぁ闇に染めると書くと凌辱調教のイメージですが、単純に主人公を好きになった女性が主人公と和姦エッチした後に、これから主人公の手伝いをすると宣言するイベントです。この後は探索やボス戦のパーティーメンバーとして活躍可能に。

エロ3
▲闇に染めると言う名目のラブラブエッチ。女性側がすごい惚れていて甘い雰囲気が出ています。

自由度が増したけど、ゲームバランスは甘め……かな

システムとして、過去作と大きな違いはありませんが、戦略の自由度は増しました。探索時に、各部隊、副隊長を決めれるようになったため、
・探索キャパ大モンスター(アイテムドロップ数が増える)と戦闘専門モンスターで難易度が高い地域に探索系モンスターを配置したり
・常時キャラ+ボス戦のための魔法使いキャラで、魔法使い系のレベルを上げる
など、弱点を克服した編成が可能に。(ただ、UIに失敗していて、副隊長の職業を変更するのが面倒ですが)
また、シナリオ上で入手する仲間は人間のみで、モンスターは雇用やガチャ(のようなシステム)で見つけるため、戦力選択の自由度も増えました。
今作は「闇の力」という要素が追加されました。これは主にキャラを凌辱した時に入手できる力で、主人公の能力が上昇します。他にも用途があり、玉を使うとヒロインに力を与えたり(エンディングに影響)、キャラを屈服させたり、強力な仲間を入手したりできます。便利な玉ですが、入手数に限りがあり、どう使うで戦力バランスやエンディング変化など使いどころが難しい玉です。

システム3

また、要所要所で一度イベント進行を止める事ができ、モンスターや店を好きなように育ててからイベントを進める事ができます。好きなように育成し、好きなようにイベントを進める事が可能です。ただし、戦闘の自由度が要因でボス戦時には大抵モンスターが育ちきって、シリーズで一番難易度が低くなっています。ある程度、自分で制限を課したプレイをした方が楽しいかもしれません。
回想は計40、プレイ時間は1周目7時間、2周目3時間でした。エンディングは基本7で、ヒロインの好感度が高いと一部追加シーンがあります。過去作と比較して物足りなさを覚えたのは確かですが、店舗経営は従来通りの楽しさだし、キャラや世界観改変の巧みさは健在で、プレイ中は楽しめた事に間違いありません。また、気になった問題はアップデートで解決すると思っています。
作者ホームページによると

恒例の追加要素ですが、今回はキャラクターとイベント(CG)、エンディングを含むストーリーの追加を行います。

大規模無料アプデは、過去作でもバランス調整やシナリオ追加などで不満のあった内容だったのが、一気に満足度が高くなる内容に変化したのを何度も見ています。あと、キャラ設定が相変わらず素晴らしいので、有料アプデでも良いので、各キャラをもっと掘り下げた補完も欲しいところ。
現在は同人ショップ委託販売が購入手段で、DL販売はまだ行われていません。2017年春〜夏に販売ですが、修正・アプデが完全に終了してからのはずですので、待つのも手です。
なお、シナリオ重視の私が現時点でのオススメ順位を書くと、
4(原作2) > 2(原作4) > 3(原作5) > 5(原作ヒーローズ) = 1(原作3)です。(あくまで個人的主観)
経営部分の面白さは全シリーズ共通です。基本的に全作、別の世界観ですが、過去作で、興味あるシリーズがあれば、そちらのプレイを優先してもいいかも。4と2の原作設定を活かしながらも大胆にアレンジしたシナリオは流石ですよ。
私は気軽にドラクエ二次創作の経営物、面白そうだな……と思って手を出してシナリオにハマった口です。魔王軍へようこそ未体験の方は一度体験してみてはいかがでしょう。
なお、執筆現在、3と4は半額中です。
魔王軍へようこそ3 -勇者消失-魔王軍へようこそ4 -時を知る者-