*この感想は[エローン大君]さんに書いて頂きました。

ストーリー1 ストーリー2

王道を突き詰めれば、ここまでになるのかと感嘆致しました。
ひよたま屋さんの「Lily Braves リリーブレイブス 〜双女神の勇者〜」を紹介します。
こちらはいわゆる「百合」な同人RPGでございまして、登場する仲間は全部女の子!
女の子同士で冒険をしながら、様々な街にある個性豊かなデートスポットを巡って親睦を深める作品となっております。
と言うと、ゲーム面がおろそかになってはいないか?と心配になりますが、むしろその逆で「ストーリー・システム共々恐ろしく良質」なのです。
正直に申しますと、本作が9月末に発売されて以降、私は「やりたいなやりたいな」と思いながらも、手がつけられなかったのです。
……その間も、まさかコンスタントにアップデートして、恐ろしく実装が大変そうな新システムまでプラスされているとは思いもしませんでした。すごいよ、この作品。

王道を行くストーリー、それを支える独自システムの数々


ストーリーのさわりを簡単に説明しますと、

最初のくだり
▲王道にして本格的なストーリー

双女神が創造したとされる世界。主人公・リルルとミルチェは偶然、地面に刺さった剣を見つける。
ミルチェが抜こうとするがどう力を込めても抜けない。試しにと、リルルがやってみるとあっさりと抜けた。
すると「双女神から遣わされた」という妖精のリーンが現れ、かつて世界を滅ぼそうとした「魔帝」が復活しようとしていることを告げる。
それを倒せるのは、双女神に選ばれた「勇者」のソウルを持つ者だけ。聖剣を抜いたリルルは、その「勇者」のソウルの持ち主として選ばれたのだ!
さらに、一緒にいたミルチェも「魔法使い」のソウルを持っていることが判明する。
リルル達は魔帝を倒すため、聖剣に「火」「水」「風」「土」の4属性のパワーストーンの力を与え成長させつつ、様々なソウルの持ち主を探し出す旅をことになったのであった。

と言った感じ。

ジャンプゾーン
▲こういう場所は飛び越えることが出来る。良い装備が置かれているかも……?

最初の街の段階で、勇者・魔法使い・癒し手・騎士と王道パーティーが揃うため、最初からフルパーティーで戦うことが出来ます。
本作は街にしてもダンジョンにしても、大体の場所が「狭すぎず、広すぎず」の適切な広さになっているため、探索はストレスレス。
1マス開いている場所は「ジャンプ」で飛び越えることが出来る、という移動システムも、使うところはなかなか少ないながら探索心をくすぐられてしまいました。
ストーリーは全般的に見ても王道中の王道で、ある街では戦を止めるために戦い、ある街では暴れる龍を鎮めるために戦うなど、シチュエーションも様々。
聖剣をパワーアップさせるために、パワーストーンの力を集めるのが第一目的の旅ではあります。
が、ただパワーストーンのあるスポットを旅するだけで無く、途中でイベントとして変化球の人助けイベント(ネタバレになるので避けますが、この人助けで仲間同士の絆が深まるだけでなく、終盤で大きな役目を果たすことに)なども用意されている点も、RPGとしての単調さも無くしていると言えるでしょう。
その他、触手に捕まった達を誰から助けるかによって、その仲間との絆を深めたりできますよ!(助けてくれると思ってた、なんて言われるとなんだか嬉しい)

デートシステム
▲好きなキャラ同士の組み合わせを選ぼう

デートシステムセシルティア
▲うん、まあ、戦いに興味が無いとこうなるよね

百合的な面で見ると、特筆すべきシステムは「デートシステム」でしょう。こちらはHシーンにも直結するところではありますが、それ以外にも見所があります。
ほとんどの街に「デートスポット」(修練場だったり、魔法大学の体験入学だったり)が用意されていて、そこでキャラ同士の交流を図ることができます。
あるキャラは修練場で戦いを見るのが好きだったり、あるキャラは魔法の勉強をするのが好きだったり。
キャラによって好きな場所・苦手な場所もあったりして、キャラの個性付けに一花添えています。
デートを重ねることによって、「知人!」→「ともだち!」→「仲良し!」→「大好き!」とキャラの関係性が変化していきます。
これによって「キャライベント」が解禁されるため、街に立ち寄ったらデートスポットで遊んでみましょう。
とある場所には、かなりお高いですが「ロイヤルスイートホテル」なんてデートスポットがあったりも……。

支持率システム 支持率システム一覧
▲ストーリーが増えれば街の名前がズラリと並ぶ。指導者からのプレゼントなど、様々な恩恵もあるぞ!

もう一つ、面白いシステムとしては「支持率システム」。
それぞれの街ごとに設定されており、「勇者」としての支持率を示すものとなっております。
基本は戦闘勝利や街への寄付で上昇、逆に戦闘からの逃走や街からの資金援助で減少します。指導者からの質問への返答次第でも変わることも……。
最初は0から始まるため、0になったとしても特に心苦しいことはありませんが、戦闘を続けたりすることで主人公を見る街の人々の言葉が変わっていくのが楽しいです。
ショップでの金額が安くなるなどの恩恵もあるため、是非とも上げていきたいところ(本作は割とお金が不足しがちだったり)。

また、こちらはバージョンアップで追加された分になるのですが、移動中の自由なタイミングで仲間としゃべれる「キャラ会話」システムも特徴的。
場所や状況によっては、仲間がヒントをくれたりしますし、何よりキャラの個性が見えるところでありますので、ちょびちょび話しかけましょう。意外すぎる一面が見えることも……?
メニュー画面で次に行く場所を表示してくれるのも、プレイ時間が8〜10時間程度と長い本作(※私はラストダンジョンで迷って14時間ぐらいかかりました)では、ユーザーフレンドリーで助かるところです。

シンプル・ストレスレスなのに戦略性が高い!「ユニオンバトル」に要注目なバトルシステム


本作は4人パーティーによるターン制の、サイドビューバトルとなっております。
基本的には「王道」ではあるのですが、実はその裏で結構プレイヤーのストレスを無くす努力を行っております。
普通のRPGですと、戦士キャラなら「戦う」→「攻撃」で通常攻撃、魔法使いキャラなら「戦う」→「魔法」→「魔法選択」と数回選択を行わなければなりません。
例えば、HPが高いキャラが相手だと、魔法使いキャラはなかなか使うのが面倒くさいところ。

アクション
▲騎士・エリスのアクション。アクションはパワーストーンの力を得る毎に増えていく。

そこで本作は、物理攻撃・魔法攻撃をひとまとまりにして、アクションという単位にしているところが特徴的。
これによって、「好きなアクションを選択する」だけで、物理攻撃が得意なキャラも魔法攻撃が得意なキャラも、何回も選択すること無くストレスレスに戦闘を行うことが出来ます。
うちの癒し手は誰も傷を負ってないときはとりあえず敵を殴りにいってました。

戦闘システムとしては「HP」「BP」「LP」という概念があり、BPは行動終了後に10ずつ溜まり100になると必殺技が打てるゲージ。
LPはHPが0になるたびに減っていき、各キャラ「5」が設定されています(要するに5回までHP0になれる)。
これがある限りは回復さえすればポーションでも仲間を復活できるのですが、LPが0になってしまうとその戦闘中は何をしても復活させることはできません。
回復役のLPが尽きると悲惨なことになるので、「どのキャラのLPを重要視するか」も自然と戦略に入っていきます。
もちろん、仲間を回復させても敵の攻撃ですぐに倒されちゃうと、「回復役のターンを無駄にして、しかもLPも減っちゃう」という悲惨な状態に……。
回復タイミングも含めてのバトルはなかなかに奥深いですよ!

ユニオンバトルシステム
▲本作の特徴的なシステム、ユニオンバトルシステム。キャラをどう配置するかも戦略に……!

そして、最大の特徴的なシステムは「ユニオンバトルシステム」。
本作のパーティは4人で残りは控えに回るのですが、4人パーティの中でも2人組の「ユニオン」というグループに分かれます。
キャラはそれぞれ、「BPの増加量2倍」「魔法攻撃力1.3倍」などの「ユニオンスキル」を持っておりまして、こちらは同じユニオンに属している仲間にだけ効果があります。

例えば、BP増加量2倍の「リルル」と魔法攻撃力1.3倍の「ミルチェ」をユニオンとして組ませると、ミルチェが必殺技を撃つまでのターン数が早くなります(リルルは剣技なのでミルチェから受けるメリットは無い)。
一方、「リルル」と、同じユニオンの仲間のHPを回復する癒し手「ティア」を組ませると、ティアはパーティー全回復の「リザレクション」という必殺技を持っているため、全体ダメージを食らってもある程度は耐えられるパーティになります。
ミルチェの場合は、弱点属性での攻撃を強化する学者・「ヴィオ」と組み合わせると、様々な属性での攻撃を駆使したテクニカルなキャラクターに変貌したり。
「キャラクターの配置」1つで勝つか負けるかが変わる、とても奥深いシステムとなっております。

ユニオンシステムも同じユニオンを組ませたりしていると愛着が沸いてくるもので、「いつもユニオンを組ませてるから、百合的なカップリングはこういう風に……」みたいな妄想が膨らんだりしてました。

サポート
▲攻撃力UPなどの普通のものから、経験値アップ・回復アイテムの回復量アップなど様々。

その他にも、サポートというシステムがあり、攻撃力UPなどの強化系から、勝利時のゴールド増加などの補助系。
そして、低確率ながら大ダメージを食らってもHP1で耐えるサポートなど、様々な種類のものが用意されています。
「こいつは死なせたくないから念のためにHP1で耐えるサポートを」「戦闘系に特化させよう」など、「パーティにおけるキャラごとの役割」を考えた戦略も立てられます。

ちなみに、アクション・サポート共に勝利時に貰える「SP」を使って取得・強化するシステムとなっております。
経験値とは別途管理されており、サポートによっては想像以上のSPを要求されたりするので、経験値稼ぎとは別に「SP稼ぎ」なんて概念もあったり。

先ほども言った通り、戦闘部分が非常にストレスレスに作られている分、スキルやユニオン絡みでの戦略は恐ろしく幅広いです。
恐らく、「ラスボスをどういった組み合わせで倒した?」と他のプレイヤーに聞いても、そもそものメンバーからして異なってくることでしょう(私は癒し手以外は物理攻撃メインの脳筋パーティでした)。
立ちはだかる強敵に、うんうんと悩みながらスキルを組み替えて勝利した時の快感は、何者にも耐えがたいものがあります。非常に良く出来たシステムです。

戦闘画面
▲中盤以降になるとスライムですら一撃で倒せない

全体的なバランスを見てみると、敵のHPが高い関係で、戦闘が長引きがちな部分があります。
が、「癒し手を如何に生かし、活かすか」など様々な点で、「どのような順番で攻撃するか」など、1ターン1ターン非常に考えさせられるので、あまり苦には感じなかったり。
回復する相手を選ぶ際のエフェクトが少々分かりづらいのが難点、と言うぐらいでしょうか(間違って別のキャラを回復して「待った!」とナチュラルに叫んでしまった)。
私が意識してレベル上げ・SP上げしたのも2回ぐらい(しかも1セット5回ぐらいの戦闘)ですので、純粋にストーリーもバトルも楽しめる作品だと思います。

旅を重ね、友情が芽生え、そして膨らんでいく不思議な気持ち


先に書いておきますと、ゲーム部分を熱く語ったとおり、Hな部分にはあまり力を注いでおりません。敗北陵辱なんてもってのほかです。百合作品ですよ?
そもそも最初の製品版の段階で、Hシーンが4人分(1人につき1シーン)しかなく、バージョンアップでエルルンが追加されていたりもしますが、「抜き」目的としては物足りないものがあります。
Hイベントの条件である「好感度」も、普通にプレイしながら上げるのは意外と難しく、ゲーム時間で数ヶ月ほどエルフの村に通い詰めたりもしました。
しかし、それでも抜けるし、それ以上に心が動かされてしまうのは、「一緒に戦った仲間達との絆」がきちんと描かれているからでしょう。

ミルチェイベントリスト

例えば、幼馴染みとの様々な思い出だったり、

温泉

仲間達と温泉につかった思い出だったり。そんな様々な「絆」があってこその

ミルチェHイベント

Hイベントなのであります。

こういう様々な絆が築かれてきたのを見るからこそ、たどり着いた時の嬉しさはたまらないものがあります。
Hイベントこそ少ないですが、キャラごとに管理された「好感度」で解禁される、「仲間の意外な素顔」を見られるキャライベントはたくさんあります。

「旅を続けてきた彼女達の絆」の末に見えるHイベント。
正直、基本CGも少なく差分もあまり無い、あっさりとしたものでありましたが、きっと旅を終えてもそういう絆がずっと続いていくのでしょう。
肉欲で動くだけじゃない、心を動かされて興奮するHシーンもあるんだ。そんな百合の美学。
過激なものばかりをプレイしてきた私としては、初めてそんなことを気付かされた作品でした。

百合好きだけでなく、RPG好きでも「買い」なゲーム


というわけで、「Lily Braves リリーブレイブス 〜双女神の勇者〜」のレビューでございました。
「百合RPGでエロが薄め」と書いてしまうと人が離れてしまうかもしれませんが、このゲームは純粋にRPGとしてものすごく面白いです。
Hシーンの少なさ・あっさりさ(それこそキスや愛撫で終わる)こそ難点ではありますが、本作は「心で感じる」ゲームだと思います。
ちなみにイベントでも「真っ先に誰を助けるか」などの選択肢があり、そこでも絆を深めることが出来るので是非ともプレイして、実際のストーリーを確かめてみてください。

シンプルながらも、恐ろしく戦略性のあるバトルシステムを持つRPG。絆を感じる王道ストーリー。
百合ものが苦手な方でも、是非ともやっていただきたいゲームです。