まりもエクステンション (製品版)

RPG,R18製品版の感想,ライター:さたける

*この感想は [さたける]さんに書いて頂きました。
同人ゲームは、ときたまヘタウマ系イラストでエネルギッシュ且つ個性的な、作者がやりたい事をとことん追求した力作が現れます。ヘタウマ系って何故か妙に抜けませんか?
近年だと[Innocence Break]は膨大なエロシーンと多彩なシチュエーションで随分お世話になりました。ヘタウマ系ゲームは隠れた名作になりうるゲームが眠っているだけに馬鹿にできないものがあります。
さて、まりもエクステンションはそんなヘタウマ系イラストながら、一目でわかる奇抜なポップイラストが印象的です。PR文を見ると全ドット絵・CG自作・全年齢向けなCG10枚程度……、ただならぬ情熱を感じます。
ただならぬ情熱で作るゲームは実際面白いのか…プレイしてみました。

ダブルヒロインは強し

本作は真面目系主人公まりもとボケボケ少女ミカのダブルヒロインです。妙に人間的な性格ですが、共に妖怪と神様な設定です。ミカがカミサマの力を地上に落としてしまい、主人公と共に力のカケラを探して回収するところから物語が始まります。
力のカケラを探すうちに様々な事件に遭遇、解決する事になります。その間に主人公とミカ、2人の少女が知人から友人、親友になるまでの青春活劇を丁寧に描いています。物語全体のテーマは「育む友情」。三角関係が終盤に唐突に始まるなど、たまに急展開なストーリー構成は気になりますが、テーマに沿った高い完成度のシナリオです。
2人パーティーなので戦闘で事故が減って嬉しかったり。単体強回復・攻撃型の主人公に全体回復・支援型のミカで役割分担をして戦います。シンボルエンカウントで敵数は少なめです。ボスは鍛えて戦略を練らないと勝てないので腰を据えてレベル上げしながらシナリオを進めます。

会話1 会話2 パロディ
▲コミカルな会話が面白いしパロディネタも随所にバラまいています。

前半コメディ、後半シリアスの良ストーリー展開

ダブルヒロインの特権で主人公とミカは道中よく話をします。ミカがボケて主人公が突っ込み役ですが、面白い。凡キャラはマザー2リスペクトの変人が多く、奇怪な言動をします。街人との会話すると主人公達も話すので楽しいですね。
グラフィックがあるサブキャラは個性が強いです。サブクエストも複数ありますが、ミニシナリオが面白いのでお使いクエストなのにあまりお使い感がありません。そしてイベントだとキャラがよく動くので見ていて楽しい。
また、敵役は世間的に見ると狂人が多いです。力のカケラの影響だったり独自の信念があったり。このアンバランスさが良い味を出しているんですね。

ヒメ
▲サブキャラとの会話はキャラがアップし、選択して反応を見れます。

オリジナル素材のワクワク感

本作を見た時に感じるツクール製でありながらツクール臭の無さ。独特の手作り感に溢れています。マップチップ、敵・味方キャラ、ドットなど全てが作者の自作です。5つの街と複数のダンジョンがありますが、新地には新しいマップチップがあり、旅をしてるワクワク感があります。
音楽はフリー素材ですが、ポップジャズ・ラウンジ・テクノポップ・爽やかロックなどオシャレ系の音楽が多いです。戦闘も定番系でなく、じわじわ盛り上がる系で選曲のセンスがあります。
マップチップも作者のセンスが光り一種の芸術作品とも言える空間になっています。グラフィックや街並みが見たくて進む感覚はなかなかツクール系では味わえませんが、本作は歩いているだけで楽しくなります。

マザー世界1 マザー世界2 マザー世界5

キャライラストはモダンポップを強調したようなイラスト。本作の世界観に合っており、シナリオを楽しむ上で違和感がありません。全体的に丸みを帯びた身体が特徴です。主役2人はロリ体系。サブキャラはロリ〜巨乳、アイドルまで様々。敵キャラは独特の狂気を帯びたダークモダンな雰囲気の作風。

マザー2をリスペクトした世界観

街並みの温かさやアメリカ風の牧歌的な雰囲気、銀行からドルを入手するシステム、デパートのエレベーター、タコ消しマシーンのようなアイテム、技名など外見的な部分から細かな設定部分までMother2を全面的にフューチャーしています。
また、ほんわかな雰囲気を正と捉えるならマザー2の不気味な演出もリスペクトされています。
狂気に犯されているダークな雰囲気の敵キャラ、ある街に姿形そっくりなのにホラーテイスト漂う街などなど

狂気1 狂気2
▲画像左の町の雰囲気が変わる様子などもマザー2のリスペクトですね。

糸井重里(マザー2シナリオライター)のシナリオ構成もリスペクトしています。これにオリジナルの和要素が加わって不思議な世界観を形成しています。4番目の街まではマザーリスペクトで5つ目の街や以後のダンジョンは和が全面に出たオリジナル展開になっています。

マザーリスペクト1 マザーリスペクト2 マザーリスペクト3
▲マザー2の経験者ならニヤリとできる要素が散りばめられていますね。

ヒロインによって異なるシチュエーションで二度美味しい

エッチは戦闘敗北系10種×2に主人公・ミカのイベント数種類、サブキャライベント7種。ほとんどが陵辱系です。1つのエッチイベントに対してCGは1枚〜2枚。対人が多めで一部異種姦。
幽霊に操られて意識があるまま売春、化け狸が相方+フタナリに化けてセックスなど一風変わったシチュエーションもあります。
ヘタウマ系でこのCGを受け入れられるかで評価が大きく変わりそうですが、私の場合はテキストと組み合わせると充分に実用性がありました。
主人公とミカのエッチに対するスタンスが正反対なのが、本作のポイントです。
戦闘敗北エロなどは戦闘後に主人公かミカを選択し、どちらかがエロい目にあう仕様です。
ある敵に敗北した時、主人公を選ぶと嫌悪感を示した陵辱プレイがはじまります。ミカを選ぶと形式は陵辱ですが、事後に気持ちよかったしエッチの勉強になったからまあいいかとなります(エロに積極的なロリ体型)。
同じ敵で感情が異なるので、エロの多様化を生み、全く別のシチュエーションに感じます。

マリモ輪姦 ミカ輪姦
▲ある敵の施設で戦闘に負けて輪姦された時のイベントです。このギャップ感!主人公は陵辱感を、ミカは事後すっきりした感情の内容が多いですね。

残念ながら2人同時なシチュエーションは序盤の街で発生する催眠姦のみです。たぶん恋愛ではなく友情がテーマなので下手に2人の和姦エッチや2人揃っての陵辱イベントをあまり入れたくなかったのだと思います。
しかし、この催眠姦が凝っていて、中に入ると管理人に従う事が幸せと思い込むマンションがあります。侵入した2人は管理人にご奉仕する事になります。マンションを歩き人々と会話したり、部屋から管理人室まで能動的に2人を動かしたりして3種類のエッチイベントを堪能できます。エロRPGで受動的に動いてエッチするって興奮しますよね。催眠姦は体験版で確認できるので興味があれば触ってみてください。

軽リョナもレイプもあるよ!戦闘イベント

戦闘中、エロい敵は味方の服を脱がしたり、男根の挿入を試みたりします。半裸だと腹パンとか首絞めをしてくる敵も。戦闘エロはテキストのエロ成分が低いのが気になりますが、着衣、半裸、半裸+股から精液の差分があり、状態と淫乱度でセリフが変化します。腹パンとか首絞めはちょいリョナ気味のイラスト付きです。ダメージが大きくスタン付加で戦闘的にも嫌な攻撃だったり。
リョナ成分はこれぐらいなのですが、敗北エッチがない戦闘だと戦闘後に数行のテキストが流れます。イラストこそないものの、きつい文章でした。

戦闘エッチ 腹パン

また、戦闘で半裸になってしまうと街中のセリフが変化します。通常会話に文章を足しているだけっぽいので、着衣の切替をする必要がなく、私は街中で常に半裸状態でした。街の半数以上の人々が罵ったり、哀れんだりしてくれます。淫乱度が進行すると、ミニCG付きでエッチが発生する事も。

半裸街徘徊

本編クリア10時間、サブイベ回収4時間ほど。本編クリアで回想モードが解放されます。
荒削りな面も見えますが、グラフィック・シナリオなどあらゆる点で頑張っている感が見受けられます。特にエンディングはゲーム内で一番時間をかけて開発したのではと思える作り込みでした。(ラスボス戦からクリアまで20分ほどかかりました。)