ミリア戦記感想 (書きっぱなし感想)

ACT,R18書きっぱなし感想,ライター:エローン大君

*この感想は [エローン大君]さんによる、“書きっぱなし感想"です。

タイトル画面
▲シリアスなファンタジーっぽいタイトル画面ですが、実際にプレイしてみると意外と庶民的

D-Gateさん主催のオムニバス作品「りょなげの缶詰」より、近日後継作の発売が予定されている「ミリア戦記」の紹介を致します。
「りょなげの缶詰」という名前から分かる通り、リョナゲーを扱った作品集。
リョナ絡みのクリエイターの方々によるイラストと、実際にリョナゲーがミニゲームとして3本が収録されております。
その中でも本作は、「丸呑み」をテーマとしたアクションゲーム。抵抗する力が残されていなければ、容赦なく呑み込まれる作品です。
リョナアクションと言いますと高難易度よりな作品が割と多めであり、本作も実際にかなりの難易度を誇ります。
D-Gateさんの自作キャラ「ミリア」を主人公とした本作、果たしてどのような内容となっているのでしょうか。

リョナというだけで避けるのは勿体ない!そもそも「りょなげの缶詰」とはなんぞや

収録されている「りょなげの缶詰」自体、発売が2010年8月とかなり古い作品となっておりますが、今でも遜色なく遊べる「骨太」なリョナゲー&イラストがたっぷり詰まった作品となっております。
元々、リョナゲーを作る製作者が集うコミュニティがございまして、そこでは「Silent Desire」シリーズや、「ハナカンムリ」シリーズなど様々な作品が発表されてきました。
そんなコミュニティの黎明期を彩ってきた作品群から、「BlankBlood」「ボーパルラビット(&リョナラークエスト)」のミニゲーム、そして本作「ミリア戦記」(D-GateさんとASIMOFUさんの合作)が収録されております。
イラストを提供された方の中にも様々な有名な方がいらっしゃるため、「りょなげの缶詰」はまさに「リョナ」好きにはたまらないオムニバス作品となっております。
ちなみに、「りょなげの缶詰」はちょっとマニアックな「丸呑み」がメイン。
そのため、流血沙汰どころじゃない事態が多々起こるジャンルであるリョナゲーとしては描写自体はかなりライトですので、「リョナゲー」と言われて敬遠するのは割ともったいない作品だと思います。

細かい演出が見たくてついつい癖になっちゃう!?高難易度ACT

リョナゲー、特にアクションゲームは、同コミュニティの黎明期に出たゲームの流れを組んでか、「flowerfairy」の感想で触れたとおり高難易度の物が非常に多くなっております。
ミリア戦記に関しましても、「全1面」(ちなみにボス含め4エリアあります)を謳っておりますが、「コンティニューを利用しても、ACTゲームが下手だとクリアに数時間かかる可能性がある」と言えるほどの骨太な内容となっております。

オープニングシーン
▲面を進めると、寝ている⊿がいたりして可愛い

まず注目して頂きたいのが、ASIMOFUさんの作品「Fromage」(⊿プキでおなじみ)の段階でもクオリティが高い「ドットアニメーション」。
ただ「綺麗」というだけではなく、⊿だけでなくモンスター娘なキャラ達が表情豊かにアニメーションをする上、看板を攻撃するとグルグル回転したりと「プレイヤーの操作に対するリアクション」が充実しております。
そのため、「面を進めるだけでも、様々な演出が見られるので楽しい」という、一種のすごい境地に達しています。ゲーム性は異なりますが、表情豊かな雑魚敵などの演出面は「メタルスラッグ」シリーズに近い物があったり。
前述した通り高難易度ではあるのですが、「次はどんなキャラが登場してどんな演出が見られるのかな?」と言うワクワク感で、ついついプレイしてしまう作品です。
さて、本題のゲーム面はと言いますと、非常に操作性が素直で遊びやすいアクションゲーム。
主人公のミリアは、二段ジャンプ可・近距離攻撃と遠距離攻撃(MPが必要なため使用制限あり)が使えます。
特定の敵キャラを倒す・ステージ内のオブジェクトを壊すなどを行うと、遠距離攻撃変更用のアイテムや、近距離攻撃用のパワーアップアイテムが出現。
その中でも「弓」は、全弾命中させると強力な敵を一撃で屠るほどの威力を発揮する最強武器。この武器を温存できれば怖い物はありません。
しかも、ライフ制で3回まで被ダメージOK、残機も4人あるため、クリアは余裕……と思わせて、一瞬の油断がミスを招くのが本作だったりします。

序盤の難所
▲倒す順序を間違えると悲惨、ということが序盤から身をしみて分かるシーン

登場する敵キャラクターは、⊿、λ(BlankBlood初出)、ミミズ(デカい)に、ラミア(上半身裸の蛇娘)、ハーピー(鳥な女の子)、アラクネ(蜘蛛なモン娘)に加えてボスなので、そこまで多くありません。
ただ、ミリアの近距離攻撃で安定して捌くことができるのは、⊿、λのみ。とは言え、いやらしい配置や空からの強襲があるため油断はできません。
序盤から登場するラミアの時点で、事前モーションこそあるものの「分かっていても避けがたい」突進攻撃があるため、⊿やλも含めた乱戦となるともう訳がわからない状況に。
ちなみに、λは当たると一定時間動けなくなる粘液を出してくるため、倒すことこそ簡単ですが放っておくと大変な目にあったりもします。
そのため、序盤の段階から「どのキャラから倒すか」「遠距離攻撃を出すためのMPを如何に管理するか」などを考えて動かなければならない、ガチガチのパターンゲーとなっております。
MPは意外と回復する機会が多いので、抱え落ちしないようにバンバン使っていきましょう。敵があらゆるところにいる乱戦状態に陥ると、「被ダメージ時の無敵時間を利用して無理矢理突破する」しかなくなります。絶望とはこのような状況をさすのだ。
そして、残機が減るとパワーアップアイテム等が全てリセットされるため、「追い詰められた時にどこで死ぬか」も攻略ポイントに入ってくるあたり、往年のレトロゲームを思い出す難易度です。
敵の編隊が現れるごとにタイマーが現れ、早く敵を全滅させればさせるほどボーナス得点が入るという、スコアアタック用のシステムもありますが、残機が無くなった段階でスコアリセットなので「ノーコンティニュークリア」を目指すことが最初の難関。
⊿、λを除きますと全体的に敵の体力が高めなので、「乱戦を無理矢理突破」は不可能。
「敵の配置を覚える」ことが重要であり、また残機0になるとエリアの最初に戻されるため、「死にながら覚えて動きを最適化していく」ゲーム。
全1面ながら、死に戻りの仕様も相まってクリアする段階で時間がかかる上、スコアアタックを詰めることを考えると、非常に長く遊べるゲームなんじゃないかなと思います。
丸呑み系ということで、「アクションゲームとしてのテンポ」が不安になるところですが、攻撃キーで即脱出できる上、体力0時の捕食演出も「A」キーでスキップできるので、ゲームテンポも良好。

壁破壊中λ入り
▲壊さないといけないけど大体20回ぐらい殴らないと壊れない壁

ただ、初期状態ですと⊿、λ以外の敵は体力が高く、近距離攻撃の攻撃力も低めであるため、敵を倒すことによる爽快感は薄め。
エリア3で顕著ですが、壊さないといけない障害物をMPを温存して近距離攻撃だけ壊そうとすると、敵が途中で乱入したりすることはあるものの、結構時間がかかって退屈に感じたりする場面もあったりします。
ただ、敵の出現の仕方・新しい敵含め、「面を進めるだけでも、様々な演出が見られる」のが、プレイするモチベーションに直接繋がるため、「気がついたら1・2時間かかったけどクリアしてた」なんてことになるかもしれません。
ちなみに、「りょなげの缶詰」収録作では、オードソックスなアクションゲームの「ザナラビ」が一番クリアしやすく、その次に本作「ミリア戦記」、無限ループダンジョンを進むACT(※1階クリアも大変)「BlankBlood+」が難しい感じになっております。
純粋にアクションゲームとしても面白いゲームが詰まっているので、自信がある人は挑戦だ!

美麗なドット絵に加え、生々しいSEが見事な丸呑みシーン

丸呑み・アラクネ
▲丸呑みゆえに小さいサイズですので、スクリーンショットをクリックしてご覧ください

さて、エロ面に関しましては、D-Gateさん・ASIMOFUさん共に「丸呑み」のゲームを作られている方なので、本作ももちろん「丸呑み」がメイン。
ハーピーの飛びかかり攻撃やミミズの岩攻撃被弾で一応「服ビリ」もありますが、敵に敗北した後の丸呑みのドットアニメーションはまさに見どころ。
丸呑み方法も様々で、アラクネに糸でグルグル巻きにされた上で呑み込まれたり、脚で必死に抵抗するも甲斐なく呑み込まれたりと様々。
攻撃キーを押すたびに状態が遷移していき、全身が呑み込まれると断面図で「お腹の中」での様子が描かれ、そして肉壁に阻まれたりする形でミリアの姿がフェードアウトしていく……。
消化などのグロい描写はありません(服が溶けたりはする)が、何より完全に呑み込まれた際の「ゴックン」などの音含め、丸呑みを強調させる演出が、生々しくていいんですね。
ちょっと外れた楽しみ方ではありますが、残機0の状態で丸呑み演出をスキップしますと、ゲームオーバー画面に遷移する際の暗転時に「ゴックン」と聞こえるので、より妄想が捗ります。
ハーピーのみ丸呑み要素はありませんが、実際には生命力を吸っているのですが、翼で包んでミリアと唇を重ねる百合的な演出も個人的にはなかなかに良かったです。

意地でもクリアしたくなる、そんなゲーマー心をくすぐる一作

というわけで、「ミリア戦記」の紹介でございました。
いやらしい敵の配置等、アクションゲームとしては非常に高難易度ではありますが、意外なオブジェクトが壊せるなどの細かな演出が見事。
アクションゲームとしての操作性は素直なので、「ミスを何度繰り返してでもクリアしてやる!」というゲーマー心をくすぐる一作となっております。
あと、エロとは関係ない部分ではありますが、BGMも非常に良く出来ています(イラストギャラリーでも聞くことが可能)ので必聴です。
「りょなげの缶詰」収録作の中でも丸呑みに特化した、丸呑みフェチにはたまらない作品となっておりますので、興味のある方は是非プレイしてみてください。
ちなみにサークルの作者さんの紹介ページに攻略TIPSがありますので、そちらを参考にするとクリアしやすくなると思います。
また、他に収録されているミニゲームも、それぞれの製作者の作風が出ていて面白いので、「リョナゲーを遊んでみたいけど何だか怖い」という方にも入門編として是非手にとっていただきたい一作です。
後継作となる「ミリア戦記DX」は年内発売を目標に、現在鋭意製作中でございますので、新作がどう進化するのかも見物であります。