ユカイナHナお遣い (製品版)
このサークルさんの前作RPG[Arayasiki Field〜ウサギナ憂鬱〜]は、作り込んだフリゲのような、いかにも手作りの魅力を醸す世界観とシステム、そしてエロ描写やシチュもしっかり手を抜かない…と記憶に残る作品でした。
そんなサークルさんの最新作がこのたび発売され、気になっていた所をちょうど作者さんより製品版を頂けましたので、さっそくプレイしてみた次第です…!
絵本のような暖かみあるグラフィックからの、エロ特化


まず、相変わらず絵本のようなテイストが凄い…、いや今回は短編だからか、前にも増してその傾向が深まってるような。
白黒のグラフィックは全て自前で用意されており、なにか暖かみのある味がありますし、またゲーム中のセリフも全て手書きで表示される…という凝りよう。
(テキストが画像扱いになるからか、地の文は横書き、店でのセリフは縦書きなんて、他では滅多に見ない事にも…)


▲脱衣や会話もありますが
そうした見た目だけでなくこの作者さんが凄いのは、ゲームはシステムも踏まえてこその演出…とでも言うように、
メニューを開けば、想定していたよりもずっと簡素なUIでかつ、装飾が施されてる…その感触に驚くでしょうし、
戦闘も独自実装、敵との会話があったり、
魔法の演出一つ取っても”敵グラにぶつかって跳ねる”(魔法をただのアニメする映像と考えてると、この処理は出てこない)
といった、まさに本作ならでは、という体験をもたらしています。
もちろん独自ゆえにプレイしにくさとか、色々と突っ込みたくなる所も少しありますが、元々プレイ時間30分といってる低価格の短編。
こういう部分があるだけで、充分楽しめますね。
がっちりしたシステムの気配を全てスルー、敗北エロ見まくりへ
そんな、いかにもRPGなお膳立てがなされた本作ですが、実はゲーム的な苦労は一切必要なかったり。
(「着替えを10円で買える」と言われるけど、そもそも所持金という概念が無かったりね…)

▲店屋で「Hな手帳」を買ったら、主人公の表情も変わる…という。店主、主人公の両方表示は珍しい。
「いきなりゴールのお城にも行けるけど、初期状態ではセックスし殺されてしまう」という事で、
「全員のザコ敵の敗北エロを見て、セックスに耐えられるエッチな子になる」がクリアまでの道となっています。
という訳で戦えるシステムを作っておきながら、クリアには一切勝つ必要なし。
(恐らく一般名義のゲームシステムを流用したからでしょうか…。
しかし昨今のエロRPGのトレンドとして「町一つでエロを見まくる(戦闘は無し)」があるなか、「敗北エロだけを見まくって先へ」はなかなかエッジだなあと…。
いちおう初めの頃のエロは処女だと訴える描写あり、ラストのエロではすっかり悦んじゃう…という変化もありますし)
大衆エロ雑誌の体験談風テキスト+女の子がエロ文章を朗読する興奮…!?
そして面白いのは、このエロシーン。
ぶっちゃけ、エロ同人ゲーでは見た事ない、革新的なエロスを作り出しています。

▲地の文を朗読的エロス。じれったいですが、じっくり聞きましょう
というのも、「地の文も含めて全て、女性声優さんが読み上げる」という仕様なのですが…、
まあ普通のRPGならそういう場面でも、いくらか”キャラを作って”エッチ声を当ててると思うのですが、
本作は所々たどたどしく、読み間違えたりしながらも、部分的には荒い息遣いで、妙に感情を込める…という”朗読めいたもの”。
言うなれば、水着のグラビアアイドルに官能小説を声を出して読ませるみたいな、深夜番組とか衛星放送のエロTVみたいな、”女の子がいやらしい文章を読んでる!”というセクハラ的な風情となっています。
テキストも、女性視点で「それから三人で、獣のように朝まで…」とか「恥ずかしいけどすごく濡れちゃってました…(汗)」みたいに語る趣があり、
あれ…こういうのどこかで見たぞ…とムズ痒かったのですがそう、”週刊宝石とかそういう雑誌の、女性読者の体験談投稿のようだ”と。

▲地の文が表示されてた所で、コマのエロ描写が! 差分という概念を大きく覆されました(♂側ボイスも入って、寸劇を盛り上げます)
H絵が人を選びそうですが(しかしお尻のデカさとか輪姦の体位とか、エロスをしっかり意識してる事が窺えます…)
このボイスとテキストをじっくり聞いてると妙に、「こういうのもアリじゃないか」という濃厚さが出てきます。
しかしそれも不思議じゃなく、そもそも深夜番組しかり、エロ娯楽雑誌しかり、そういうのに興奮するフェチがあればこそ、今も続いている訳です。
むしろ潜在的な市場としては、エロ同人よりも広いかも知れない…。
その文法がエロRPGに持ち込まれているようで、まさしく改革的だ…と唸るものがありました。
あと正直、勃起してシコれる場面もありました。
”女主人公視点(一人称)でエロシーンを描写する”はエロ同人でも一つのウリになる訳ですから、その変化球と考えると、これは可能性を感じますね…。

▲ザコ敵は輪姦描写多し! 気持ち良くなって乱れる様を女性視点で
という訳で、本作のザコ敵は3体。
あとストーリー上のエロが2つ…でしょうか。(バッドエンドとグッドエンド)
ただ一つを除き、どれも前戯→複数での輪姦という流れを何枚ものスチルやカットで追っており、
特にグッドエンドなんかは1シーンに画像6枚も使い、「性的に浸され過ぎて、頭がぼーっとしたままイカされ続ける」を表現しようとしてるのは、大いに伝わりました。
プレイ時間は短いですが、妙に”良いものを見た”気になりましたね…。
これこそが創作性であり、同人の裾野を支えている面白さだと思うのです。
ディスカッション
コメント一覧
H絵が人を選びそうとありますが、これで綺麗な今風な絵にまとまってしまったらそれはそれで魅力が半減してしまいそうな不思議な雰囲気・・・(笑)
イラストといいシステム周りといい、こういったエッジのきいた作品にめぐり合えることこそ同人ゲームを嗜む楽しみと言えるかも知れないですね。
他所のサークルだけど、同じく白黒で作ってるRPGあったな……そっち思い出した
白黒エロRPGを初めにやったのは(恐らく)KICHUREA氏でしょうが、その後のフォロワーもたくさん出ましたね。
その中でも「なんちゃってレトロ感」と、「白黒ならではの味」のに分かれてる気がします。(そして後者の方が少ない…)
本作は後者な気がしますね。
コミケも島あってこその壁サークルなように、きっと売れ筋の作品だけでは売れ筋足り得ないのだ…なんて思うこの頃なのでした。