密室の中は果実でいっぱい (製品版)

RPG,R18製品版の感想,ライター:エローン大君

*この感想は [エローン大君]さんに書いて頂きました。

痴漢ものなのに、キャラクターメイキング&ターン制バトル!?

「——警告。このゲームの真似をする者は、法の裁きを受ける。」
サンプルCGの段階で、そんなキャッチコピーが踊るのが本作「密室の中は果実でいっぱい」です。
8人の貧乳少女をターゲットに痴漢を行うゲームなのですが、その方法が「ターン制バトル」。
その上、本来没個性であるはずの犯し役(主人公)に、キャラクターメイキングまであるという、謎が謎を呼ぶ仕様となっています。
キャッチコピーと併せてシステムも尖っているように思える本作。果たしてどのような内容なのでしょうか。

どことなくTRPGを思わせる基本システム

まず最初に行われるのは、「性格診断プログラム」を使ったキャラクターメイキング。
「信頼できる友人が存在する」か「孤独だけが友達」なんてものから、「みんな死ねばいい」か「嫌いな奴だけ死ね」まで様々な質問を投げかけられます。
それらに答えていくと、キャラクターが作られ、それらのステータスを元に痴漢(ターン制バトル)に挑んでいくことになります。
ステータスは、「耐久」(HP)、「性欲(※痴漢被害者の場合は抵抗)」(攻撃力)、「防衛」(防御力)、「話術」(回復力)の4種類。
「未成熟な果実」と称される女の子達(実際ちっぱいな女の子ばかり)へ実際に痴漢を行う際は、これらのステータスの上下を見ながら行動を決めていくことになります。
ターン制バトルということで、5つのコマンドが用意されているのですが、コマンドの効力はかなり運に左右されます。
ただのBFでなく痴漢という都合上、「敗北=逮捕」ですので始めたうちは悩まされると思います。
ちなみに、システムは独特で比較的高難易度なゲームですが、攻略情報まで載った説明書付きなのでクリアできないことはまず無いでしょう。
キャラメイク・運に大きく左右されるバトル共に、どことなく「TRPG」に似たゲームバランスを持っているように感じました。

最初はドキドキ、能力をお互い下げ合う痴漢バトル

本作のエロを司る痴漢バトル(&陵辱バトル)は、数人の女の子の連戦によって成り立っています。
最初に主人公は、痴漢を行う路線を選んで、車両を進むことで出会った女の子に痴漢を行う、と言った感じ。
用意されているコマンドは、
「上半身を触る」「下半身を触る」(攻撃)、「会話をする」(回復)、「距離を取る」(能力回復)、「この場を離れる」(逃げる)
の5つとなっており、前述したようにランダムで効果が決まります。
攻撃コマンドが2つありますが、これは「クリティカル時に相手の能力がダウンする」という仕様があるから。
上半身狙いだと「抵抗」(攻撃力)が下がりますし、下半身狙いだと「防衛」(防御力)が下がるので、使い分けが出来ます。
ただ、ぶっちゃけますと、「会話」での回復量がランダムのため、抵抗を下げるのがセオリー。
性欲(攻撃力)を上げれば、どんな女の子も普通に突破できますので、実質的に「下半身を触る」は死にコマンドだったりします。気分で使いましょう。
実際、「防衛」が極端に高い女の子はいないのですが、これは泥試合を避けるため、ゲームテンポを優先したが故の元だと思います。
さて、プレイヤーがクリティカル時に相手の能力をダウンさせられるように、相手の女の子も同じくこちらの能力を下げてきます。
何人もの女の子を痴漢して、やっとボス女の子(動揺してたり人間不信だったりする強敵)にたどり着く頃には、能力値はボロボロ。
そこで使えるのが能力値を元に戻す「距離を取る」……なのですが、こちらも成功するかはランダム。
耐久(HP)に余裕があっても、クリティカルな抵抗を食らえば一気に逮捕。回復量もランダムで当てには出来ない。
ランダム要素が強いからこその、独特の駆け引きが楽しめます。
「耐久は少ないが、抵抗の高い女の子と出くわさないことを願って車両を進む」、「お金を守るために車両から降りる」という選択を迫られることもあるでしょう。
ちなみに、敗北時はお金が半分に減るだけなので、ビックリするほど罪の意識が出てきません。プレイング次第では、保釈金16円とかザラです。

自宅に拉致してのHは高難易度、そしてやがて来るルーチンワーク

エロい部分については、「女の子の一行台詞での反応を楽しんで妄想する」と言った感じでちょっと薄め。
ウリの1つである簡易アニメーションは主に「目」と「口」の部分が動く程度です。
目が泳いでいる少女達など、様々な表情を見て楽しみましょう。
痴漢に成功すれば、胸をさらけ出した淫らな姿を見たり、精液をぶっかけたりできますが、ある事情により興奮度は薄めです。
というのも、戦闘終了後に「会話をする」や「精液を付着させる」というコマンド選択があるのですが、正直エロ目的というよりはステータスアップ目的で選択することになります。
基本的な主人公のステータスアップ方法は、電車でお金をスってドラッグストアで対応した商品を買うことですが、例えば精液を付着させると「耐久」か「性欲」が上がります。
お金の節約のために女の子にぶっかけたりすることが、プレイングとして普通な行動なのでいまいち燃え上がらないのです。
一方、高価なクロロホルムをドラッグストアで買えば、女の子を自宅に拉致することもできます。
こちらは普段痴漢では見られない、あられも無い姿が見られるため興奮度は高いですが、その分バトルも難しめ。
同じ女の子でも「性交時>ボス時>通常時」と難易度が大きく変わるので、下手に連れ込むと警察に連れて行かれます。
しかし、主人公のステータスが上がってしまうと、「レベルを上げて物理で殴る」ではないですが、「誰を痴漢してても変わらないし、感慨も覚えない」という状況に陥ります。
カモの女の子が出てきてくれれば、「あっ、下がった能力を回復させるチャンスだな」と、ちょっと喜ぶくらいです。
自分のステータスの数字だけを見ながら、淡々と痴漢や乗客からのスリをこなしていくルーチンワーク。
中盤以降は金策も必要になってくることだけあって、まるで作業のように犯罪をこなしていくことになるでしょう。

ルーチンワークであることがトラウマすらヒキ起こす

そんな最終的には単調的になってしまう本作ですが、裏で進んでいるシナリオは強烈なもの。
「単調だなぁ」とプレイヤーが感じた部分の裏をついた、凄まじいエンディングが待ち受けています。
下手をするとトラウマになるレベルの展開もあるため、CGモード開放条件の全ED(3種類)踏破を目指す際には、覚悟をした方が良いでしょう。
クリアまで多少時間はかかりますが、それだけの価値はあると納得してしまうくらい、心がザワつくシナリオになっています。
一言で言えば「奇妙ゲー」ですが、そのメッセージ性の強さは間違い無く人の心に響くことでしょう。
——さて、貴方はいつまで罪の意識を抱えていることができますか?