ARORIA -リリアと魔法のクリスタル- 感想(製品版)
WOLFエディター製のARPGというと、[Towering Dungeon][魔物ハンターエルシィ]が浮かびます。
これらのゲームは正直、敵がワラワラ出て来るのをボタン押しっぱで倒しまくる…まぁ、雑な無双モノといった印象でした。
(爽快感はそれなりにあるけど、割とすぐ飽きる…)
体験版プレイ
本作もそんな感じかな…? と予想しましたが、なかなかどうして、駆け引きが増していました。
なかなか手触り良好なARPG
まず攻撃しまくりでゴリ押し出来ないようにST(スタミナ)というゲージが設けられ、敵も一歩一歩、移動頻度低めで迫ってくる感じに。
敵と接触したらダメージ。
物理攻撃だと前2マスが攻撃範囲ですが、杖装備なら更に遠距離攻撃が可能に、ただし破壊力は低めで、こちらもMP切れを起こす…など。
すなわち"距離と弾切れに注意しつつ、一匹ずつ潰す(囲まれないようにする)"というゲームスタイル。
ここに(基本的な事ですが)敵名前+残HP表示が加わると…なかなか触った感触は、楽しいです。
敵ワラワラ配置ばっかでは飽きる(製品版以降の展開に期待)
ただ少しゲームデザインとして残念だったのは、洞窟まで行くと結局、ワラワラとなんとなく敵を多く配置してしまっている所。
ここは数で敵が押してくる…というコンセプトだったら良いのですが(それならそれで主人公のセリフや、敵の出てくる小部屋を一つずつ殲滅したり、道を岩で塞いで侵入経路を減らしたり… という展開があって良かった気もしますが)
以後もこんな配置なら、やはり飽きそうかなと。
このタイプの駆け引きなら、そんなワラワラ出すより、[イース]くらいの敵量で良いと思うんですよ…
で、ダンジョンを進むごとにちょっと会話イベント入るとか…。そういうテンポの方が波があって良い。
スライムにしても接触ダメだけじゃなく、足止めや防御ダウンの粘液飛ばして来てもいいだろうとか、ゴブリンもたまに長物持った奴を織り交ぜて来ても、戦い方に変化が生まれて面白かったんじゃないか…とか。
演出としても、単に敵がウロウロ(歩行)するだけじゃなく、こちらに気付いたらピョンと跳ぶとか、落ちてる武器を拾うとか、そういうドット的な表現があっても楽しいでしょうし。
(その点では[攻略されちゃうARPG]は実はなかなか良い、セリフ出るもんね…。1エリアごとの面白さはあったね…そもそもエリアがあまり進めなかったけど…)
今のままだと、ARPGコモンイベントに頼って、なんとなく敵配置しただけに感じちゃいますかね…。
製品版以降、ここに変化が付くと喜ばしいです。
({合成}で強い杖が手に入って、魔法押し出来て嬉しいとか…プレイスタイルの違いが反映されるのは面白そうですし)
その点、一つのステージ中でザコ敵を(邪魔されながら)まず始末し、ボスと向き合う…という、ゲームテンポの波を作れるボス戦は楽しい訳です。
ゲームテンポの波の話
ゲームの構造として、オブジェクト(例えば敵モンスター)を1個用意して、(その出来が幾ら良かったとしても)それをN個反復コピーというのでは、結局パターン化も早くて飽きる。
プレイヤーは設置されたそのN個を順に辿っていく、そのゲームテンポをどこで崩すか。
当該オブジェクト以外の要素、面に設けられた罠とかでも良いだろうし、主人公が愛用の武器を谷底に落としちゃう…でもいいだろうし。
あるいはオブジェクトに後から変化を付ける、でも良いだろうし。(上で挙げた、長物を拾うゴブリンの例)
これはつまり、”コモンイベント(スクリプト)と製作をキッチリ切り離すと、ゲームシステムの練度を上げるのは難しい”という同人制作の本質的な問題点だろうか…?
それでも工夫して出来る事はあるはず。
まぁ切り離すと練度が上がらないのは、何もゲームシステムだけじゃなく、エロにおいてもそうか。他人に発注とか…。難しいところ。
ARPGエロと女主人公エロの二本立てだ
エロは二軸。
ARPG中のダメージ脱衣、ボス・ザコ敵にやられると発生する敗北エロ。
そしてRPG的に、町で変態村人にヤラれるエロシーン…がありそう(予告版では見られず)
町でのエロシーンは"バニー姿でバイト(たぶんセクハラされるのでしょう…)"みたいに、いかにも女主人公モノぽい定番のがあり、割と多そうな印象を受けました。
貰った制服(バニースーツ)で、立ち絵の着せ替え要素もあり。
1050円でARPG+女主人公モノぽいエロ。けっこう気が利いてる作品な気もしますね。
製品版プレイ(クリア)
3時間程でクリア。Hシーンは17。
クリア特典としてHシーン全解放、全裸行動が可能に。
体験版で危惧した通り、ARPG的にはけっこうダレる感じ。
町でのエロイベントは、バニー衣装で酒場のバイトでセクハラされる・風俗店でコスプレで働く(3種)でした。2回目以降とかの差分も特に無し。
エロシーンは長さにちょいばらつきがあるかも。
一番多い敗北エロは、陵辱的なのにあっさり男がイクのが惜しい感じ。
風俗シチュは自分から誘う感じが興奮ですが、数が少ない…。
(一部敗北シチュで、逆にこちらから誘惑する展開があり。しかしそこは前フリとしてビッチぽい描写をしとかないと、唐突感が…。)
物語的にも起伏は無く、ただクリスタル壊して行くだけ。
いきなり"クリスタル設置した張本人"が出てきたら、エンド間近という…。
全般的に、ちょこちょこ色んな要素を抑えてて器用さを感じるけど、どれも浅い…今ひとつ粘りを感じないかなと。
ARPGのデザインとしては…
ARPG部分は、体験版から工夫や変化が無くて残念。
ボス手前のダンジョンになると相変わらず敵ワラワラ、全ての敵は全部同じ動き、アルゴリズムです。
ダンジョンのギミック(仕掛け)とかも無し。
(物にHPがあって壊せるって部分、もっと使えると思うのですが。
川を塞いでる岩を破壊したら、密集してる敵が流されていったり。
町中でも、家宝として伝わる"一定秒数でHP回復しちゃって、壊せない壺"があるとか。
能力上げて破壊してやる、っていう寄り道的な目標になるかと…)
能力カスタマイズ・武器持ち替えの動機付け、という二点が重要かと思います。
広いアクション性を確保する為に。
能力カスタマイズ、もっとしたかった…
魔女がしてくれる能力強化も、HP・MP・ST上限アップだけ。
STの回復時間を早くするとか、ひたすら魔力を強くするとか、そういうプレイスタイルの幅を生む強化が出来なかったのが悔やまれます。
バランス破綻には気を付けないといけませんが、これほど"LVアップ時にポイントを各能力に割り振れる"が合いそうなゲームは無いぞ、と思うのですが。
各武器ごとに必殺技があり、溜め攻撃で出せるとか、使い込むと必殺技が変化していくとか…。アクションのバラエティも広がる。
(“溜め"というのは、手っ取り早くACTの幅を広くする簡単レシピらしいです)
同じ戦い方でずっといけちゃうんだよなあ…
なにしろ敵のアルゴリズムに差が無いので、武器を持ち替えるのに動機が無く、同じ戦い方・同じ系統の武器でずーっといけちゃうのはマズイかなと…。
やはり武器の持ち替えによる広がりってのが、今作のメインに据えるべきゲーム性だと思うので、ロングソード→鋼の剣→クレイモア みたいな順当な装備だけじゃなく、途中にブーメランとか弓矢、ナックル、鉄球 みたいな変わり種の武器も手に入れて欲しかったなと…。
武器と敵との相性もあって欲しいし、メッセージとかでも誘導して欲しい。
大会は魔法禁止…みたいなルール付けでも良いし。
システム的には、なんだったら武器の耐久度設けても良いくらい。
(まあそれもこれも、持ち替えやすいUIが前提になっちゃいますが…
敵を潰した時の喜びも、実は感じにくくなってる
敵倒した時、ちょっと文字演出が多い気もしました。
コンボ数で、入手お金が増えたりしてるのでしょうか? それも分かりづらかった。
やはりグラフィックとして金塊が落ちて、拾うと数値表示…くらいの、演出が見たかった気がします。
拾う前からどれだけ増えたかも知りたいので、現在所持金表示、スロットみたく回って増えて欲しいなとか…。
経験値でも、獲得したらあと幾つでLVアップか…出来れば主人公キャラの上にバー表示を動かして見たいぐらいですし、
そういう"認知して、そこに向かう"って事が喜びを増してくれますので…。
これらは余りにシステム的に手を入れなきゃいけない事ですし、贅沢言ってるかもですが…
合成とかも、ちょっとやりにくかったかも。必要な素材を狙って集めにくい。
そもそも敵の誰が何を落としたか、何があとどれくらい必要かも、確認しにくいので…。
せめてアイテムゲットした時に、横にアイコンが付いてて分かりやすいとか(石系が多くて混同しそうですが)
説明文で"何々を作りやすい素材だ"とかほのめかして欲しかったかも。
細かいこと
●戦闘状態でもメニュー開けるように・宝箱の向きに方向キー押したらゲットできるように、して欲しかったかな…
ちょっと武器の持ち替えとか面倒いっす…。
せっかく回復アイテムのショートカットキーはあるんだし…。
コモンイベント的にも処理の切り替えがなかなか難しいのでしょうか…。こればっかりは仕方ないのですかね
ディスカッション
コメント一覧
単に通常攻撃の範囲が伸びるってだけならトルネコや片道勇者のようなターン制バトル向きかなぁ。
A-RPGだったら剣は回転斬り、槍なら縦一閃ダッシュ突きのような各武器に特化した固有スキルがあるほうがよかったかも。
あと洞窟入った時、あまりの敵の数にドラクエ2が浮かんだ
ああ、範囲攻撃(パーティプレイ)前提だから序盤からいっぱい出るんだなって感じがねw
ターン制バトル、いいですねえ。自分も作りたかったのですが、なかなかUI的に良い感じのは難しく…
“これがあったらなー”と思っても、大抵、作者さんとしては”分かっているが、コモンイベントやスクリプト素材を使用してるだけなので、出来ない”という結果なのは、同人に限界と虚しさを感じてしまいます…
面白いゲーム性を追求するなら、システムとの擦り合わせは絶対必要なんですが、同人では切り分ける事も多いし、それも無理からぬ状況ですしね。
果たしてどう考えたものかと…。同人ゲー界隈が良くなっていく為には。
そう言えば見下ろしARPGでパーティープレイとかあんまり見ないですね(オンラインRPGとかではあるかな)割とやったら面白そう…だけど、ゴリ押しばっかになりそうなw