東方紅輝心 (製品版)

ARPG,一般向け製品版の感想,リアルタイム3D

東方紅輝心
東方紅輝心[あんかけスパ]

この作品…以前から話題の作品でした。
ズ抜けたクオリティのゲームがある…、と…!

凄いなあ凄いなあと思いつつ、しかしまあ"こういうのは即売会とか、同人ショップ(店頭)のみやから…"と、半ば自分は関係ない、諦め顔で記憶の片隅に仕舞い込んでいたのです。
が、遂にその話題の作品がDLsite(自分の視界)に!!
へへ…だが俺はそんな慌てる男じゃねえぜ、まずは体験版をたっぷりやってから… うーーん、良い3Dですねえ! 気が付いたら買ってました。

製品版プレイ1 咲夜編、プレイ5時間(ラスボス直前まで)

抜群クオリティの3D・ARPG

 

まずパッと触ってすぐ分かる事なんですが、「動き」が違いますね…、
3Dのリアルっぽいモーションをそのまま採用する同人作品が多い中、本作はモーションがしゃっしゃと動く、連続攻撃の後に必殺技でキャンセル掛ける…なんて事も可能な訳です。

その上で、敵や宝箱から武具がどんどん手に入り、LVアップでスキルも覚えていく。
武器はさすがにナイフ一択ですが、レアな一品あり、拾った武器ごとに微妙に能力が違う、という要素あり。
新しいモーションのスキルをどんどん使えるようになるのは単純に嬉しい。そして飽きにくい。
アクションとして取っ付き易いのに、飽きにくい仕掛けのおかげで、もう延々と止め時を失って、遊ぶ遊ぶ…。

メニューから「新聞」が見えるのですが…ここの造りもホント細かい。

その上、異常なほどに豊富で美麗なステージが用意され、次々と新しい地点へ移っていく。
敵も二足歩行の妖精から地面から生えた触手、大型虫まで…。驚かされる。
そして3Dを語る上で超重要なのに、つい疎かにされがちな"カメラ"も、本当に細かく良い仕事をしてます。
デモシーンがごとく遠近やエフェクト効果を付けた構図から、意識しなければ分からないほどの"手ブレ"でアクションの迫力を強く後押ししてる(多分)
主人公の背中を固定でずっと追いかける…とはまるで一歩も二歩も違い、"伝えたい事の為に、カメラも演技している"という感じ。

インターミッションの大図書館とか、立ち絵の会話で済ませばいいのにっ…!(後ろ、高い所の本を取る為のゴンドラがある…力入り過ぎ!)

もちろんお馴染みの東方キャラ達も登場。
東方の二次創作というと、紅魔館メンバーだけ…という風に絞ったり、あるいは出たとしても言葉の上だけ…ってのが多い印象ですが、今作は真逆。
ちょこっと出てくるだけのあれこれのキャラに、3Dモデリングがふんだんに用意されています。
(“あれ、もしかしたら、3Dモデリング簡単なのかな"なんて錯覚を起こすほど…)

 途中から香霖堂で武具・アイテムが買えるようにも。香霖堂のオブジェクトの、このとんでもない凝り方…

そして"これでもか"と言わんばかりに、プレイヤーキャラも2人用意されてるという。
まさしく、どこに出しても恥ずかしくない、ごまかしが無いボリュームであり、クオリティな訳です(2000円弱ですが、果たして商業でも同じ事が出来るか…というと…)
体験版でも結構遊べるみたいなので、"タダで遊べる"という感覚で、ぜひやってみてはどうでしょうか。
(ちなみに体験版時のセーブデータは、製品版を起動するだけで自動的に移行される…!)

驚いてばかりではアレなので、ちょっとマニアな視点で見てみる

(自分のように)中途半端にゲームについて知っていると、実は面白い作品に出会った時の感動が小さいのでは…と思ったりもします。
今作は1時間ほど遊んだ時点で、なんか"驚嘆と感動で"どうして良いか分からない…
ふつう、遊び始めが驚きの頂点で、後は下がっていくばかりだと思うんですが、遊ぶほどに"ここまでするのか"という目線で感慨が高まっていくみたいな…そういう所がありました。
この驚嘆は、数少ない役得だったと言えるかも知れない。
3Dになると複雑さが増すせいで、"なぜ面白いか"あるいは"なぜシックリ来ないか"を言語化するのがすごく難しくなるんですが、感じたのはですね…

被写界深度エフェクト…と言うらしいです

●最近流行りの? ちょっとオブジェクトがぼやけるエフェクトを、本作もふんだんに使っています。
これに関して自分は、ちょっと嫌味だな、キレイだけどさあ…と思っていた。
でも恐らく、それはグラフィック以上に意味がありそうだぞ…と。
ドットと同じ原理。
“ドットのゲームって妙に面白い"って話に頷いてくれる方なら分かると思いますが、結局、グラフィックに感動するって、実は見た物じゃなく、それをいったん頭に落とし込んだ後、感動するって所がある。
言うならドットは、自分の頭で補ってやる部分があるから、のめり込み、興奮する。
で、リアルなグラフィックのゲームをやった時に、どうも見た目は凄く良いのに、今いち"のめり込む"感じが無いのは…その"補完"が無いのもあるんじゃないか、と。
で、このオブジェクトを良い感じにボヤけさすエフェクト、これがあると、途端に自分の頭に映像のきれいさがグン、と入って来やすくなる気がする。
没入感が深まる。
なぜならボヤけ、足りない部分を自分の頭で補完する…という一手間を噛ませているから…ではないかと…

●プレイしてれば気付くと思いますが、実はカメラ視点が、見下ろし(マップが表示される)横向き(飛び石が多くなる)
そして奥へ進む(ボス前等のアクセント)っていう、ゲーム性も絡む視点が、スムーズに変わってるのですね…これも飽きさせない工夫でしょうか。
3Dゲームですが、アクションの中割りもそう、3Dを活かしつつ2Dの面白さ。
見下ろし視点のステージに関しては、見た目一本道っぽそうでありながらも…ジャンプすれば実は上の段にも行けて、宝箱がある、っていう「迷わないけど、道にちょっとした変化を付ける」って部分も上手かったように思う。
●ついやってしまいがちな、"回復アイテム"の存在を入れなかったところ、あとこういうタイプで何気にダッシュが無い…ってのも珍しいし、英断な気が。

中だるみは、あったかも。

まさに神か、と拝みたくなるようなテンションでしたが、プレイ3時間…くらいで一度、中だるみを少し感じてまったのは残念なところ。

お馴染みのキャラ達と一戦。ここも弾幕だけじゃなく、至近距離だと鍔ぜり合い発生…とかを見てみたかった気も(実はキャラ自体はローポリなので避けた…?)

中盤を過ぎると新しい敵やスキル習得…が尽きてしまうというのと、あとどうもステージが大きくなると、ステージ展開がちょっとルーティンになりがち、序盤に特徴的だったキメ細かさが薄れていってしまった様にも。
まぁストーリー的には、ずっとあっち行って、こっち行って…という右往左往ってのもありますし…。
(途中で美鈴とかが合流して、なにか積極的にサポートしてくれたら違った…かな…?)

大ボス戦!

ただその間も舞台の豊富さはやはり群を抜いていて、終盤になると大ボス、目新しい罠…と盛り返すのはさすが。
まあARPGとしては長めのプレイ時間ですし、致し方なかった所もある、でしょうか。
(というか、一日1~2時間みたいな、もっと小分けのプレイを想定してる気もする…)

製品版プレイ2 プレイ7時間30分、クリア。レミリア編始める

ラスボス、行動パターンは見切ったが一発がでかい…。始めて意図的にレベルを上げる。
(今までは自然と上がる分で、何とかなっていた)

“連続攻撃(コンボ)数を継続してると、取得経験値(の掛け率)が上がる"ってシステムの熱さを再認識。
出来るなら早くレベルを上げたいもので、何としてもコンボ繋げようと、割とムチャして敵に突っ込んでいく感覚…。リスクとリターンが程よいね…
ARPGらしい愉しみ。
まあ実は継続時間もかなり長め、掛け率も1.20くらいが上限なので、アクション得意な人とそうでない人で差が付かないようにしてる、優しい造りですが。
もっと刺激的でマニアな造りで良いなら、"継続ゲージ"みたいに目に見える形にして(多分、画面が騒がしくなるのと、追い立てられる感覚が嫌で排除したのでしょうが)
更にゲージが切れそうになると、スペルカードで時間の経過を遅くする(周りの動きがゆっくりになる)…とか考えられますね…

強くなり方が一直線なので、こういう仕組みがあれば…?

最後までステージグラフィックの豊富さは素晴らしいですが、それでも後半になると一面が長くてだれる時も少しあった。

既に触れましたが、ステージのキメの細かさ…ってのもあるし、1ステージは短く…ただしそのまま進んでると敵がかなり強く、既クリア面で稼ぐ前提のバランスにして、
クリア面はリトライ時に前回よりちょこっと変化、
ボスはタイム・最大コンボ・残HP…等でランク付けして、再戦のプラスボーナスがある…とかの、経験値稼ぎサポートのシステム入れても良かった気がする。
あるいはまぁ平凡ですが、取りにくい場所にコインがあったりして、館のパチュリーに交換して貰える…とか…香霖堂で落とした武具を合成…とか。
武具入手といい、ザコ敵倒しといい、強くなるのが淡々とした一直線なので、そこを崩す所が欲しかったところ…かな? バランス調整難しいでしょうが…
あと咲夜だと、やはり新しくて強いスキルばっか使っちゃう…感じなので、古いスキルでも習熟度によって与えるダメージが上がる…とか。
武器とスキル相性あるとか…(複雑すぎるか?)

レミリア編の方がプレイした感じの面白さはあるか

レミリアは咲夜みたいに"確定的に強いスキル"がなくて、強いんだけど使いドコロが難しかったり、初期スキルでも、SPが続く限り連続で出し続けられる技があったり…取捨選択で悩めるね。

攻撃力が低め? だけど、防御力が高くて動き的に回避力も高く、スペルカードの効果は絶大というパラメーター。
一匹一匹確実に潰していく堅実タイプの咲夜より、割と乱戦になりがちかな?
けっこうメリハリ効いてて、操作してて面白い。
更にジャンプボタン押しっぱで滑空ができるという面白さ、飛び石が多いステージでも楽になるという。

ストーリー的にも夜行動するので、咲夜と同じステージでも違った雰囲気になったり、吸血鬼なので水や太陽の克服…って辺りも物語に絡んだり。
レミリア編がメインで、咲夜編はサブっぽいかな… こちらをまず初めに遊ぶと、印象も変わりそう。

製品版プレイ3 プレイ8時間30分。レミリア編クリア

両編クリアしたら何かあると思ったけど、特になかったね…!
実はレミリアだと滑空能力で地味に道をショーカットできたり。
(それを許可するように面を作ってるのも心憎い)
2回めとあって、早めにクリア。
あとコンボ数はダメージ食らうと継続時間が短くなる、スペルカード使うと長くなる? とか気づくと、継続が熱い…!

さとり様のお屋敷の片隅にある白骨の山…台車もあるのでお燐ちゃん居るかと思ったけど出て来ず。…しかし細かい…

さとりの屋敷とかまっすぐ進めば5分でクリアできるのに、めっちゃ広く作ってある。ただ隅々まで探しても結局、換金アイテムくらいで特に無い…のはちょっと寂しいか。
ただ「広いんだから何かあるはず」っていうのは2D的な感覚かも、こと東方って事に関して言えば、キャラの息吹きを感じられる…って効果も十分あるだろうし。

SPが続く限り敵のダメージは0! 使い所を考えれば最強だ

全体に寄り道あんま意味ないなと思いきや、レミリアの場合、「カリスマガード」が可能になるキャップが。侮れない…!
両方をクリアしてみて…延々と敵を倒すって部分のウェイトがやや大きくてここは考えてしまうのですが、やはりキャラやグラフィックの魅力が強くて、全然紛れるというか。
何だかんだ、良いゲームをプレイしたぞーと感慨深いですねー。