Wired Soul (製品版)

ベルトアクション,一般向け製品版の感想

今や商業、いや同人でさえも稀少なベルトスクロールアクション!
その分野に”既存のフレームワークを用いずフルスクラッチで制作された”(=何らかのゲームライブラリを用いず、プログラムでイチから全部作ったという事。キャラパターンの切り替えから、当たり判定の処理から何まで、全て自分で組まないといけない…)
”制作期間は足掛け5年”という説明に、”自分たちの理想のベルトスクロールアクションゲーム”とまで言われてはもう、その熱さに共鳴せざるを得ません。
日頃エロゲ三昧の自分でも、そのインディーズゲーム的な熱には打たれるものがあり…、さっそく買ってやってみました…!
公式動画:

ベルトアクションが好きなんじゃーー!

ゲームパッド対応、キーコンフィグもあって気分は上々。
といっても暴力ゲーらしく、パンチとガードとジャンプボタンしか無いんだけどね、ガハハ、と久しぶりのベルトアクションを前にして気分は浮かれるでしょう、

 
▲プレイヤーキャラは2人。女性の方が攻撃は早いが紙装甲…

さらに
・空中に浮いた敵にも攻撃がヒット(しかも格闘ゲームで言う”吸い込み”のように、ある程度引き寄せられる)
・おかげでボタン連打だけで4~5発はコンボ
・おまけにジャンプ攻撃を入れると敵が一瞬硬直する
・ダウン攻撃もある…となれば、
”敵をボコボコに蹴散らしてやる…!”と血が沸騰しようというもの。


▲状況判断しつつ、簡単操作で多人数をのしまくる、これがベルトアクションの魅力よーー!

しかしそんな甘い幻想は、1面で3回もやられれば、目が覚めるでしょう。
なにしろ残機は2、途中回復アイテムとかも無し…という男仕様でありかつ、油断すると空中でも(敵からも)ボコボコ殴られる・囲まれたらHP半分は覚悟した方が良い…
という扱い。
恐らく慣れるまで、1面クリアさえ覚束ないと思います。


▲ダメージを受けるとつい「痛ッ!」と叫んでしまう、あの懐かしい感覚再び…

これはスーファミぽい甘めのベルトアクションではなく、むしろゲーセン寄りの硬派である、とフンドシを締め直してからが本番。
何度もボコられつつ”ジャンプ+ダッシュ攻撃はなかなか強い、入り方によっては空中で二発当たる事も””全てのベルトアクションの基本、軸ずらしはやはりここでも有効”
と少しずつ攻略していくと、じょじょに「行っちゃいけない時」と「行くべき時」が分かるようになります。
この「見えた!」というような感覚、これこそまさしくアクションの自己上達、醍醐味…。
そう本作は、ベルトアクションに珍しく? ガードがある事からも分かる通り、並み居る敵を蹴散らすというより、「一瞬の隙を窺い、そのチャンスに全身全霊を掛けたコンボを叩き込んで、HPをがりがり削れてハッピー」というカタルシス。


▲ベルトアクションに付き物の、セクシーな女性キャラが気持ち多めなのも良いです

自分も初めは「前回の死亡地点よりちょっと進めた」くらいのハードさに泣きそうでしたが、なんだかんだ諦めず、繰り返しプレイするうち、7~8回くらいの挑戦でクリアが見えて来たという。
ゲーム画面としてはやや地味、武器やアイテムを拾ったりとかも無いですが、全5面の中でステージ的な工夫あり、敵キャラも多めでよく動き、挙動もしっかり作られている。
本当に気持ち良いアクション制作は難しいのですが、本作はベルトアクション的楽しみを十分に与えてくれる、と言えます。


▲クリア後の実績解除もあるぞ

ただ色々な試行錯誤が垣間見えるのに、結局は軸ずらしで待機+溜め攻撃というテクを掴んでしまうとほぼオールマィティーで「割とあっさり行けちゃったかな…」という感じになるのは勿体無い気もした。
(「掴み」とかも条件が難しく、自分はほとんど使う機会が無かった…。
ただベルトアクションってゲーセンにしろ家庭用にしろ、他の人の”そんな戦い方もあるんだ!”を見て学んだりとかも大きかったですからね…
PCゲームとなって一番変わったのは内容というより、ゲームと人との関わり方かも)
やり込みとしては、敵キャラをプレイヤーキャラにできる(溜め攻撃が無い・掴みがやたら強いキャラとか?)とかも欲しかった気がしますが、今の安い価格で雰囲気を楽しめるのも悪くない。
エンディングを迎えると解禁される”幻の初期バージョン”では、また別のベルトアクション系の可能性(巨大キャラで主人公かなり強い=ファイナルファイト系)が見えたり。
クリア後、ゲームパッド越しに指にじんじんと残る暴力の快感を愛おしつつも「いやーベルトアクションって本当に良いものですね…」とかつての色々な思い出に浸れるのでした…。