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RPG,R18フリーゲーム,夏のアダルト創作祭2017

夏のアダルトと創作際2017参加作品の感想を書いていこうという記事です。
感想一覧はこっち。

天空へと伸びた枝に、狭い大地が点々と繋がっているような世界。
その最上層に住む王女が、お前もそろそろ試練の洞窟で腕試しをしなさい、と母親たる女王に申し付けられた事から端を発し、色々な事件を経験していくことになります。

▲絵柄、色鉛筆風だがよく見るとスカートの部分がめっちゃ細かい(ベールの半透明表現もおもしろい)

エロイベントを自主的に起こす感じではなく、
道中に色々な出来事(エロ)が待つ、あるいはダンジョンを進む過程でちょっと寄り道的なエッチ箇所があるという、正統派エロRPGといった感じ。

このバージョンでは下層へ行ける唯一のエレベーター塔を占拠し、クーデターを企んでいた一派をたまたまその場に居合わせた主人公たちが退治する、という話を最後までやっており、章的な表記こそされていませんが、話ごとの区切りがきっちりと定まっている様子。
(このような「王女もの」では開幕の前振りが終わったらすぐに落城したり、天涯孤独になったりするのがある種の定番で、今作もいつそうなるんだみたいに思ってましたが、物語上たまたま独りになる時はあっても、基本的には護衛が同行、あくまで王女様が城下で経験するそれぞれの事件をお話に見立てている……という運びも、エロRPGとしては割と珍しいかも?)

▲室内、戸外 街では葉っぱがたまに吹いたり。BGMも結構良いもの揃えているなと

システム面でも最新版ウディタの解像度の高さとズームを活かし、例えば室内ではアップに、戸外・ダンジョンは遠めに画面描写するという切り替えがあったり、
あと戦闘は基本的に護衛兵込みのパーティー、例えば一話では王女Lv1に護衛兵Lv40が二人という具合で、ただし魔法を使えるのは王女だけだし、護衛の片方は常に「かばう」を使ってるので王女が危なくならない(ただしその兵が倒れたら、一気に全滅の危機という計算)
という、なかなか新鮮な感覚を持たせつつもバランスを成立させています。

あと個人的に地味ながら秀逸だと思ったのは、「物語の描写が地に足着いてる」という点で、
たまたま魔物の気配を感じた王女一行がエレベーター塔に立ち入るのですが、どうもあちこちパニックで状況が見えない。
階下に降りると襲われていた人を助け、状況が少しは見えるもののまだ不透明……
その人に王都の軍勢を呼んでくるよう頼み、自分たちは更なる情報収拾の為に奥へ進もう……といった段取り、
そしてどさくさに紛れ、下層から上がって来た盗賊が占拠しているみたいな意外さもあり、
あとシステムも絡んだ所で言うと、そんな状況で護衛に守られていた王女が独りになると、もの凄く頼りない気持ちが実感できたり。
どうやらクーデターらしいと陰謀が発覚した後でも、なぜ首謀者がエレベーターを占拠したかというと、単に移動の手段を抑えられると同時に、王都の魔力源にもアクセスできるから……という説得力ある設定もあり。
(こう書くと一本のミニRPGになってもおかしくないくらいの波乱なのに、ちょっとした一話程度に収める収拾の付け方も上手い)

「話(ゲーム展開)の進め方」がかなり達者な方だと思いました。
何か知らないけど緊急事態である、という不安がちゃんと煽られるんですね。
その場面で感じるべき感情を感じさせるのが上手い。
(2話の途中で切り上げちゃいましたが、もしかして話ごとにコンセプトがあったり……?)

そして恐らくプレイ前から一番目に付いてるのが絵柄でしょう。
色鉛筆風な? 昔のクッキー缶のパッケージ絵みたいな、おもしろい絵柄。

ですが一方で性癖としてはかなりの物で、おっぱいが実っている事が盛んに強調され、アンバランスな魅力に一役買っているのは序の口、「姫様なのに陰毛がかなり濃くて気にしてる」みたいな生活も語られ、エロシーンでも姫様のマン臭……チーズ臭とかそういった言葉のレパトリーがやたら細かったり。

▲下着姿で見つからないように自室に戻りたいという、ハプニングエロ 中性的な絵柄ですがお乳はボリューミー

そういう訳で、エロ嗜好としては”姫様なのに”的なコンストラストがあり、
日常的な場面で恥ずかしい事になってしまうハプニング的なエロと、ダンジョン内で本当に危険な目に遭ってしまい、かなりガチめな陵辱をお見舞いされてしまう2タイプに分かれる感じ。

若干ネタバレとなりますが、1話だとクーデター集団に捕まってしまい、頼みの魔力が封じられ、拘束された状態で下卑た男たちに囲まれる……というエロ確定な状態ですぐレイプと行かず、
「仲間内でも評判の、酷い水虫の男を呼んで王女の股間を電気あんま」
「拒否できなくなったら挿入、処女レイプ開始」
「朦朧とし、べっとりと濡れて透ける王女のパンツ」
「ハミ出してる恥ずかしい剛毛な陰毛」
「これじゃ病気になって、臭まん中古王女になっちゃうね」
という前戯の異様なしつこさは、かなりキているものがありました。
言わば中性的な絵柄に、変態的な嗜好という取り合わせ。

こうなるとハプニングでも
「酔った兵士に夢の中だと間違われ、乳を揉まれまくって絶頂(凄い感度の良さだ)」とか、
「寄り道のエロを見るとボーナスでパワーアップ」みたいな、いかにもなエロRPGの展開が、先述の地に足着いた描写力もあり、妙に魅力的に映えてくるのでした。
(シェアゲで似た感じだと……「プリンセスサクリファイス」とか「Fallen Empire」とか「Goddess of Memorier」とかが浮かぶ、かな?)


▲寄り道エロにはこんなのも

いずれはシェアゲームとして発売するようですが、現時点でもかなり長めの物語となっており、ひとまず事件にメドが付いた2話の始まりまでプレイして、約2時間。

2話となるとお付きの護衛になぜか親友のメイドが紛れ込んだり、新しい女性キャラも出て来て、主人公は修行の為になぜかビキニアーマーを着せられ、賑やかなテイストに。
だけどそれとなく剣呑な雰囲気も漂っていて……と面白そうでした。

▲二章立ち絵会話。寄り道の話にもなにやら面白いものが

「なるそら」用追加キャラデータ完成版

コンテストとしては他作品へのキャラ素材も配布されていて、プレイしてみると確かにそれも納得。
むしろこの姫様ヒロインをどう魅力的に映えさせるかを考え、絵柄があり、舞台背景やストーリー描写やシステムがあり、そして羞恥・陵辱エロがあるのかも……と思える内容でした。