DEADNIGHT〜死霊の夜のメルム〜 (製品版)
*この感想は [シカク]さんに書いて頂きました。
数多くの作品が溢れる昨今、色んなサムネイルが並びます。その中にもやはり個性というモノがあり、
思わず目を引いてしまうモノもまた存在します。
今回シカクがレビューする"DEADNIGHT〜死霊の夜のメルム〜"のモノクロなサムネイルもそんな目を引くサムネイルの一つではないでしょうか。
サムネだけでなく、作風もパーソナリティを放つ今作はホラーという稀少なジャンル。
ホラージャンルなんて有名作品ですら触ったことのないシカクにとっても本作は滅多にない経験となりました。
相変わらずの初心者目線なレビューでも本作の魅力が少しでも伝われば幸いです。
山奥の村、アークム。それは魔女メルムの始まりの舞台。
その村に一つの依頼を受けた見習い魔女メルム。メルムは村の異質さに恐怖を覚え、早々に調査を終わらせて帰ろうとしていた。
依頼はごく簡単なもの。この村に住む人物の安否の確認。早く村を出て行きたいメルムにとっては有難い依頼だ。探し人の居所を聞き出そうと宿屋に入ったメルムは主人の老婆に問い掛ける。
「クルフ・イアという人は居ますか」と。
だが「クルフ・イア」とは邪神の言葉で「身を捧げる」という意味を持つ言葉だった!
混沌の身体に豹変する老婆。狼狽えるメルムは命からがら逃げ出し、村を出て行こうとするが出入り口が反り立つ崖に変わっている。閉じ込められたのだ。
一回は逃してくれた狂気の老婆も二度目があるとは限らない。常に生命の危機が身近にあり油断すれば気が触れてしまいかねない空気。
狂気漂う村からメルムは無事脱出することが出来るだろうか。
というのが本編のあらすじです。
ホラーゲームの醍醐味は同調と疑似体験! 秀逸な灰色テイストで恐怖を存分に味わえる
今作の主人公、魔女メルムは格好が露出度半裸以上の魔法使いというエロ同人の王道を行く出で立ち、多少毒舌気味で生意気な感じも見受けられる性格という中々のキャラクターを持っています。

ですが本編でその性格が前に出て来ることはあまりありません。ゲームのジャンルが違っていたら素質の光るキャラクターが遺憾なく発揮されていたであろう逸材。
ではその逸材が体験するものは一体なにか。
恐怖と狂気、そこに伴う正気が揺さぶられそうな危なげない性体験です。
それらをメルムを通じることで我々も疑似的体験することになります。常に緊張感のあるゲームをプレイし、メルムと同調することで本編の魅力を存分に感じることが出来るでしょう。
メルムの逸材ながらも前に出さなかった個性はプレイヤーとの同調に重きをおいた作者様の意図があったのかも知れません。
本編はツクール製の探索ゲームです。特定のイベントでサイコロを振るというTRPGを彷彿させるシステムや印象に残りやすいテキストを設けていますが、そのぐらいで後はツクールゲーに慣れている方なら難しい操作はないでしょう。
このゲームが最も個性を発揮するのはテイストです。
メルムの画像を見れば分かるとおり、このゲームはモノクロで色が付いていません。販売ページでレトロホラー風と謳われる通り、至る所でその持ち味を発揮しています。音楽の演出も良く、ゲームを起動してタイトル画面を見た瞬間から「期待出来る」という感覚があった感性の鋭い方もいるのではないでしょうか。

ホラーゲーム全般に言えることなのかも知れませんが、死と隣合わせな緊張感をプレイヤーキャラを通じて疑似体験することがホラゲーの醍醐味なのだ、と筆者は感じました。
ですがこれはエロ同人ゲーム。
ホラーゲームとの融合によってどのようなゲームになるのでしょうか。
難易度の高い探索ゲーム。クトゥルフ神話の要素を持ったゲームデザイン
あらすじの部分でピンときた方がいるかも知れませんが、今作はがっつりとではありませんがクトゥルフ神話の要素を持ち合わせています。触手が多数出て来たり、狂気正気と言った単語が出て来たりSAN値というステータスがあったりとTRPGクトゥルフ部門の方はそれだけでニヤリと出来るものがあります。
SAN値はいわゆるキャラの正気を値で示したもの。無くなれば発狂しゲームオーバーです。

探索中のイベントなどで減っていき回復にもリスクを背負うことから減っていくものと考えるべきです。
それとは別にRPG等でおなじみのHP(今作では生命点と言う値)もあります。バトルも少なからず存在し、その際のやり取りでも減ります。生命点も無くなれば勿論死んでゲームオーバーです。

▲死にまくり
それ以外にもイベントでそのままゲームオーバーになったりもします。
二つの数値の管理、ゲームオーバー直行のイベントなど死んでやり直し繰り返しが必然のゲームデザインです。ホラーゲー初心者の筆者では比較対象がないのですが、難易度は高いと思います。
ただ、死にまくってもすぐやり直せるのでペナルティはほぼ無しと言って差し支えないでしょう。
もう一つ、このゲームの難易度を上げている要素がシリアルキラー(殺人鬼)の存在です。

▲冒頭のババア。

▲怖すぎ。
村を探索することになるので屋外、屋内を出入りするのですが、その際、唐突にシリアルキラーが出没することがあります。接触すれば勿論死亡確定。
シリアルキラーとは際限なく出会うことになりますのでコレを如何にやり過ごすかということも生存率に関わります。
今作のホラー要素を一気に引き立てる立役者なのですが、現れる度に小イベントが挟まるような演出なのでゲームに慣れてきた時に怖さよりも煩わしさの方が勝るかも知れない、という問題を孕んでいますね。
以上の障害に注意しながらアークム村を探索し、脱出するのが今作の目標です。
ですが、この探索部分がまた曲者でヒントが少なく、初見ではどこから何をすればいいのかが分かりにくいです。その分無駄なテキストや物、解答を惑わせるダミーが殆ど無く、メモなどを活用して情報を保管すれば虱潰しの探索でクリアまで至れます。
その際に筆者がドツボに嵌まったのがゲームが怖すぎて取れる選択を全て試さないことでした。
先に見え透いた死が待ち構えていても挑む覚悟がこのゲームには必要でしょう。
冒頭に差し込まれる「しかし臆病者に謎は解けない」という台詞は探索中筆者の脳裏にずっと在り続けた名台詞です。
分かって死ににゆくというのはこれはこれで恐怖を煽られます。予測可能回避不可能みたいな。
タイトルからして激しく動くエロアニメ 緊張感がエロと交じった時、新たなる狂気が芽吹くのかも知れない
ホラーゲームとして秀逸な今作ですが、エロさも引けをとっていません。エロシーンの九割方がアニメーションであり、それが良く動くとなれば期待するのには十分。
体験版とPV、両方ありますのでこのレビューで興味を引かれた方は是非見て欲しいです。
そこで「良いな」と思えるならゲーム中に登場する触手たちを楽しめると思います。
しかし! 個人的なことを言うのであれば初見であることの重要性が高い今作です。
見るのはPVだけに留めておき、体験版を通さずプレイしてみて欲しい気もする! うーむ悩ましい。
エロシーン(エロアニメ)の数は15シーン。その内1つだけが例外でCGだけのエロシーンでした。このシーンも他の物とは違う演出があり筆者的にオススメなのですが、レビューには適さないので今回は割愛。
全シーンメルムのエロですが、狂気に冒された村でも交流が出来るモノも居り、場合によってはそのモノとのエロも展開されていきますね。人の姿こそしていますが、対人エロと言えるかどうかは今作をプレイした人によります。
今作のエロのウリであるエロアニメですが、その傾向として上げられるのは動きが激しいことですね。
化け物との遭遇が多い今作とマッチした激しさで、特に出番の多い触手エッチでは触手の理不尽さ、暴力的さを良く表現されています。音の演出も良く、グッチャグッチョと現実味のない水音が殊更凶悪なモノに犯されている感覚を起こさせます。

この激しさを地の文で表現するなら、流れのままに目的地に突き進んでいく濁流。
マンコに行き着いた濁流はもう入らないのも構わずどんどん押し寄せ、溢れ返ってもまだ流れ込もうとする。そして触手相手に決壊するメルム。
と言った具合ですね。触手は兎に角激しい、ということです。
では触手以外はどうなのかと言えば、舌の先端だけを動かすことでねちっこさを表現していたりと激しいシーンとは対照的なアニメを用いています。舌で舐め回すシーンが多い今作では良いねちっこさでしたね。
激しい触手とねちっこい先端。これが今作のエロシーンにおけるキーワードと言えるのかも。
激しさとその対照のねちっこさを用いて幅を持たせるなどエロシーンも良い出来ではありますが、
アニメの種類としては動くCGと言った分類のアニメです。どうしても表現の限界があるようで極一部のアニメではそれが分かる人もいるやも。恐怖と緊張感で張り詰めているプレイ時には然程気にならないとは思います。
とここまではレビューとして当たり前のテキスト。
筆者がここで語りたいのは今作のエロシーンを体験している最中の感覚です。
殺人鬼に追われながら常に危機に瀕し、調べるモノ全てに警戒しなければいけない精神状態は緊張している筈。
そこでエロアニメに遭遇してしまうと本能としてメルムは気持ちよくなってしまう。メルムを通じてゲームに同調しているプレイヤーも同じくエロい感覚に身を任せてしまいたくなるのではないでしょうか。
そこで本能のままにエロを楽しんでしまうと狂気に満ちた村を受け入れてしまったかのような感覚に陥ります。人間性を代価に快楽を買っているかのような錯覚。
漸くシーンが終わった時、正気に戻った時、どことなく後ろめたさを感じてしまう。
これは新しい狂気の表現と言えるのではないでしょうか。
まとめとして……
エロアニメに関しては触手の動きが特に見所ですね。触手アニメの見本とも言える暴力的でひたすら犯し尽くすという動きは触手好きには見てもらいたい。
恐怖の演出については事前知識が無ければ無い程怖いのでここでは多くを語らないようにしています。
怖さは本物です。音の演出、モノクロの彩色、緊張感が高まるゲーム性等々この価格帯でなら十分な出来と言えます。
エロは触手がメインとそれとなく人を選びますが、ホラーゲーとしては誰でも同じ感覚でプレイ出来ると思います。つまりどんな人がやっても怖い。
なのでホラーゲー入門に勧めれるかなー、と思ったり。
その一方でゲームに慣れてくると一部の演出に煩わしさを感じたりします。
攻略の際にメモがあった方がいい、と述べたのはヒントが少ない上に地理、フラグ立ての為のアイテムやイベントを忘れ易いこと。
それらを忘れてもう一度探し回ると殺人鬼が立ち塞がる為です。
これらを統合することでゲームの難易度が高くなっているのが今作の欠点の一つと言えるでしょう。
ストーリーは触れることをあえて避けましたが、ここで一つだけ言えるのは、最後までやり遂げて欲しい、というコト。今作に無駄なモノは殆どない、と言って良い程なので謎が解けるまで付き合うことはそこまで苦じゃない筈。
臆病者には謎は解けない、しかし勇気あるものには相応の希望が色付いている。
公式の販売ページで記載されているエロシーンの情報は
・アニメ基本枚数15(うち2枚挿絵アニメ)
・静止画挿絵枚数13枚。
となっております。クリア後の回想部屋も実装されておりますのでクリア後は恐怖を取っ払ったエロを楽しんでみてください。
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