「ドラゴニア」 -ドラゴンの涙と龍族の娘フィーネ- (製品版)

STG,R18製品版の感想,ライター:エローン大君

*この感想は [エローン大君]さんに書いて頂きました。

全方向任意スクロールSTG!値段に見合わぬプレイボリュームにも注目

 

1-1あたりのボス戦
▲序盤はこの程度、でも面が進むごとに敵弾も激しく!君は生き残れるか!?

ショット・バレット・スキルを組み合わせ、邪竜を討て!
というわけで、BlusterLightさんの『「ドラゴニア」 -ドラゴンの涙と龍族の娘フィーネ-』の感想を書いていきたいと思います。
本作は、美しい白い龍の美少女が主人公の、「全方向任意スクロール系シューティング」。
雑魚敵を一定数倒すとボスが出現するなど、コナミのタイムパイロットを想起させるシステムを持ちながら、操作性は全くの別物。
敵をオートでロックオンする機能があり、適当にボタンを押しているだけでも敵が倒せる爽快さ。
それでありながら、2・3発被弾すると沈んでしまうほどに強力なボスなど、緊張感を持たせる要素も含んだ、興味深い作品となっております。
ステージクリアが出来ない人のために、自機を強化するシステムなども盛り込まれているのでご安心を。
やり込み要素として周回プレイもあるなど、プレイボリューム満点な一作です。
エロシーンは「浄化」という名で行われるエッチな行為。
ウブな乙女だった主人公・フィーネへの行為が、だんだんとエスカレートしていき、陵辱ものとしての色合いを濃くしていく様子にも注目です。
そして、普段は商業側で活躍している「B-luster」さんの新レーベルとなる、BlusterLightの第一弾作品となっている本作。
果たして、どのような内容になっているのでしょうか。

戦闘方法は1728通りの組み合わせ!自機・フィーネを強化して邪竜を倒すのだ!

 

ゲーム画面
▲一応端(大ダメージを受ける)はあるものの、8方向に自由に動けます

ゲーム面を説明していきますと、意外と目にしない「全方位任意スクロール」という形をとったSTG。
古くは、ボスコニアンサンダーフォース(初代)、そしてタイムパイロットなどがあたります。
何だかんだで需要がありそうではあるのですが、最近の作品はあまり思い浮かばず。
フリーゲームや同人を調べるとあることはあるのですが、縦シュー・横シューと比べると数は少ない模様です。
本作のルールは、「一定数以上の雑魚敵を倒すとボスが出現。ボスを倒すとクリア」という単純なもの。
一言で表すとタイムパイロットみたいなルールなのですが、ショット絡みの挙動がちょっと特殊。
それが、本作の特徴の一つでもある「オートロックオン射撃」システムです。
雑魚敵・ボス敵用にそれぞれショットボタンが割かれておりまして、雑魚敵用のショットボタンは最も近い敵へと自動的に発射してくれます。
適当にキーを連打しているだけでも、敵がバンバン倒せるので爽快。
その上に自機・フィーネの移動やスキル発動に集中できるので、キーボードでも比較的遊びやすいよう配慮されています。
ロックオンしてくれるとは言っても、偏差射撃してくれる訳では無いので、敵までの距離が遠いと弾が明後日の方向に飛んでいくことも。
ショットがきちんと当たるように敵との位置取りを考えて戦う、そんな面白さも備わっています。

単発ショット
▲初期装備のショット・バレット。これだけで戦うのは凄く辛い。

しかし、敵の近くまで行って攻撃を行うだけでも、突然の被弾などリスクが伴ってくるのは事実。
そこで働いてくるのが、もう1つの特徴であり、本作のキモとなる「ショット」「バレット」「スキル」を組み合わせた自機の強化・カスタマイズシステムです。
初期のフィーネは、ショット単発・ライフも攻撃力も貧弱と残念な子ですが、敵を倒すと入手できる「ソウル」で強化が可能。
ライフや攻撃力はレベル制、ショットやバレットなどはショップで買い物をするが如く購入し、ゲーム中にも自由に付け替えが可能となっております。

アップグレード
▲自機のアップグレード画面。攻撃力やショット・バレットへと優先的に割くのが吉。

軽く数種類、ショットやバレットの説明をしますと、
・ショット

ダブル

2つ炎を飛ばす「ダブル」

ガトリング

連射力がアップする「ガトリング」

ワイドアングル

ドッグファイトで後ろにつかれた時に「ワイドアングル」
・バレット

ウェーブ

揺れる炎「ウェーブ」

アクセル

超速度で敵を殲滅する長射程バレット「アクセル」

ブーメラン

戻ってくる変わり玉「ブーメラン」
・スキル
ライフを回復「ヒーリング」
数秒間無敵な「シールド」
獲得ソウルを増やしたいなら「グリード」
と言った感じ。
ショット・バレット・スキルとも、12種類用意されているため、組み合わせは全部で1728通りとなります。
とは言っても、恐ろしく使いづらいショットやバレット(射程がそれぞれ違う)ももちろんあるため、実用的なものとなると少なくなるでしょう。
個人的に、お気に入りな組み合わせは、ある程度ソウル長者にならないと使えませんが「スキャッタ」「グラビティ」「ハイブースタ」の組み合わせ。
複数の炎をばらまくスキャッタと、長射程かつホーミングのグラビティは結構使いやすいです。
そして、シメとなるスキルは、無敵&スピードアップのハイブースタ。
弾幕がキツい相手でも無敵時間中に集中砲火、切れる前に一気に離脱できるため、操作していてもすごく気持ちいいスキルとなっております。
それでも、私が「この組み合わせこそ最強よ!」と思っていたら、DLsite.comのレビューでは別の組み合わせで楽しんでいる方がいたり。
攻略のための組み合わせもあれば、綺麗なショットを放ち華麗に戦う組み合わせもある。まさに、遊び方は千差万別です。
何より、自分なりに組み合わせを工夫して、強いボスに勝利した時の快感はたまりません。

アイテム玉
▲分かりづらいですが、自機の左側にあるのがアイテム玉。ちなみに水色はソウル獲得。

ちなみに、光っている雑魚敵を倒すと、ランダムでアイテム玉を落とします。
バリアやスピードアップ、ライフ回復など様々な効果がある他、10秒間のみですがオプションも付き高火力に!
ボス戦に苦戦している時でも、アイテム玉を拾うことを念頭に置いて動けば打開できる……かも!?

雑魚敵 ボス戦
▲グイーンとズームアウト!敵の強さ表現だけでなく、プレイしやすさまで兼ねた良演出だと思います

細かい部分の演出ではありますが、雑魚敵戦からボス戦に移る際には、自機を中心に画面が一気にズームアウト!
それでもなお巨大に描かれるボスで、邪竜の強大さが表現されていて、なかなかに燃える演出だと思いました。
自分よりも大きいボスとのドッグファイトは、ヒリヒリとしたスリルでたまらない……!
また、ボスに一気に弾を当てた時の「ガイィン!」という金属質な音がすごく気持ちいいです。

ステージセレクト画面
▲全7ステージな上に、右上に書かれているように周回数も記録されます

ステージ数は全7ステージで、それぞれのステージは5エリアで構成(計35エリア)。
更に、「周回プレイ」(敵強化)というやり込み要素もあるため、700円台のゲームとしては凄まじいプレイボリュームを持っています。
気がついたら数時間あっさり溶けていたということも普通にあり得るので、やり過ぎには要注意。

自機の挙動は割と癖アリ。でも、それ故に独特の中毒性も!?

さて、深くゲーム面を掘り下げてみますと、「ちょっと粗はあるものの独特の中毒性がある」という印象。
まず、シューティングでは結構定番のテクニックである「チョン避け」は、主人公の動きに慣性がかかっているために不可能。
また、自機の速度が絶妙に遅いため、敵の攻撃パターン(恐らくランダムで決定)次第では、「避けられるのか?これ」という事態に陥ったりもします。
ボスの執拗な体当たりや超高速でのバラマキ弾、自機速度よりも速いホーミング弾発射など、初見殺しもてんこ盛り。
しかし、アイテム玉の中にある「スピードアップ」やスキルの「ハイブースタ」で、時間制限こそあるものの超高速で飛べる状態になると、これがまた気持ちいい。
自機の動きに緩急がある関係で、独特の中毒性が産まれています。

エリア3ボス
▲体当たりは初見殺しなものの、ギリギリのところで躱せると気持ちいい

このあたりの体験で個人的にふと思い出したのが、シューティングゲームとはほど遠い「ハンティング・アクション」(モンハンとかゴッドイーターとか)だったり。
「ボスを倒して素材集め」の代わりに「ソウル集め」を行って、敵を倒すための組み合わせを考える。
全体のシステムに慣れないと理不尽な目に遭うことも合わせて、結構似てる面があるゲーム性だと思います。
操作方法は「方向キー+4キー」で、シューティングゲームとしてはボタンが多め。
前述した通り、2キーは「雑魚敵狙い」「ボス敵狙い」のオートショットに割り当てられております。
オートショットと言っても、キーを押しっぱなしにすると自機の向いている方向にショットを撃ってくれるため、「近くに強い雑魚がいるのに狙ってくれないから倒せない!」なんてことはありません。
強化してショット・バレットをいい感じに組み合わせると、キー押しっぱなしでウロチョロしているだけで、雑魚敵がボォッと音を立てて勝手に燃え尽きていったりすることも。

チャージショット
▲敵弾を消せるチャージショット。2周目までクリアしたけど使いこなせなかった……。

残りの2キーは、敵弾を消せる「チャージショット」と、「スキル発動」用に割り当て。
チャージショットは敵弾を消せる代わりに、自機が向いている方向にしか弾消し・攻撃できないため、ゲームが進むに連れて扱い辛い存在になったり。
最終的には、ボス敵狙いとスキル発動の2キーだけでプレイしてたりしました。

一周目と二周目以降ではゲーム性が違う!?強化しても大味にならないゲームバランスの秘密

ライフ・攻撃力共に自機の強化が出来るということで、ゲームの大味化が懸念されるところですが、意外にもそれは全く無し。
というのも、レベルアップでのライフの上げ幅が少ない上、周回プレイ時には敵の攻撃力がアップするため、常に緊張感をもってプレイ出来ます。
ちなみにライフ初期値だと、2周目の雑魚敵弾ですら即死すると思われます。ライフもきちんと上げないと地獄を見ることでしょう。
2周目までプレイをしたのですが、1周目と2周目ではゲーム性自体がガラリと変わります。

3周目1面1エリア
▲恥ずかしながら1周目のHPをメモしてなかったのですが、10万超えは間違い無くなかった

と言いますのも、無敵スキルでゴリ押し出来る1周目と比べ、2周目は10倍とかそういうレベル(もしかしたら100倍かも?)で敵の体力が上がっているため、弾避けは必須になります。
自機の操作の癖が強いことなども相まって、かなり苦労すること請け合いです。1周目の段階でもそうだったのですが、2周目以降は攻撃力を上げないと1エリアのクリアも大変。
ですが、それ故に強敵を倒した時の快感・安心感がすごく、プレイする際のちょっとしたモチベーションになっていたりします。
ただ、逆に言えばそういう点が「歪み」に見えてくる、というのも正直な感想。
「シューティングが苦手な人のために、RPG的な強化要素を入れる」のではなく、「RPG的な強化要素を入れるために、敵の強さをインフレさせる」。
アプローチの違いと言ってしまえばそれまでなのですが、目的と手段を逆転させてしまったような印象です。
実際には3周目もありまして、恐らくそれ以降も続くとは思うのですが、「また自機を強化させなければならないのではないか」という辛さが頭をよぎり、私は2周目クリアでドロップアウトしました。
周回プレイしても、クリア回数が記録される以外は特にご褒美はありませんしね……。
また、敵のステータスがインフレする関係上、各エリアに制限時間なども無く、雑魚敵を倒す度にスコアが上がっていくため、実質的に常に永久パターン。スコアシステムも破綻しております。
ソーシャルゲームかつ縦STGになりますが、ショット・スキルを組み合わせて楽しむ点で近い「ゴシックは魔法乙女」では、スコアアタック・コンボシステムでリプレイ性を確保しているのを考えると、もうちょっと工夫できるところがあるかも、と言った印象。
強敵を倒すという楽しみこそあるものの、一旦心が折れると遊ぶ気力が出てこない、そんな極端なリプレイ性の低さが本作の難点と言える部分でしょう。
ただ、そんなことを考えながらも思わず数時間遊んでしまった本作が、レーベル処女作というのが凄いところ。
このサークルさんが、次回作でどんなジャンルを出してくるかは分かりませんが、かなり期待できる内容になると思います。

リッチな演出を持つノベルパート。エロシーンのCGは非常に美しいものの……

さて、ゲーム面について一通り語ったところで、エロシーンも含めたストーリーは、

舞台は、人間と竜との戦いの末、結界で隔離された土地「ドラゴニア」。
隔離されながらも繁栄を続けていた龍族であったが、邪竜達が復活して平和が脅かされてしまう。
邪竜が狙うは、1000年に一度なる果実「ドラゴンの涙」。
邪竜を抑えるには浄化をしなければならない、そのためには性行為が必要だと竜の巫女は言う。
そこで選ばれたのは美しい白龍の娘、フィーネ。
浄化のために必要な行為を知らないまま激しい戦いに送り込まれた彼女。
その末に待っているのは、衝撃の事実であった……。

と言った感じ。
浄化のために性行為を行わないといけないと言う関係上、エロシーンを見るためにはステージクリアが必須です。
(ちなみに、ゲームオーバーになっても何も無し)

シナリオパート
▲オーラのようなエフェクトなど、ノベルパートの演出はかなりリッチ

ちなみに、立ち絵が巫女の1枚しか無かったりと、省エネ化が感じられるノベルパート。
内容も、「強い邪竜が出た!倒せ!」「あい分かった!」→「エロシーンで伏線を張る」の繰り返しだったりします……。
が、妙に演出がリッチなので、気にならないのも特徴です。
ゲームのローディングも、数枚のCGをランダムで表示させることで気にならないようにさせたりと、細かい演出で素材不足を上手くカバーしている印象。
肝心のエロシーンの傾向としては、処女である龍族の娘・フィーネが、陵辱の末に完堕ちするまでを描くというもの。
邪竜と言っても、倒してしまえば人間体に戻るという設定なので、異種姦要素もナッシング。
陵辱ものと言っても、最初は巫女に急かされてのフェラチオからですし、ハードな描写も無いので安心してみられることでしょう。
絵は非常に美麗で素晴らしいのですが、枚数が少ない(エロ部分の基本CGは8枚・その他差分合わせて72枚)ので、ガッツリしたエロを求めている方にはちょっと物足りないかも。
個人的には、ゲームボリューム自体が満足できるレベルにあるため、絵の枚数自体にも満足しております。
しかし、絵の枚数の少なさをフォローするべきテキストが、ちょっと抜くのに支障が出るレベルで問題あり。

ちんぽょ ブーン
▲恐ろしく美麗なCGは必見。完全に処女だった美少女が堕ちていく設定も王道ながら素晴らしいものがありますが……

第一に、流し読みしていても気がつくレベルで誤字脱字等が多く、ちょくちょく思考が奪われます。
「尻の穴にちんぽょ」や「意識を石なってしまった」など、思わず笑ってしまうレベルのミスがあったりも。
絶頂できずに物足りなさを感じるヒロインによる、「ブーンって感じです」発言に至っては、「どんな感じなんだ!?」と色々と衝撃を呼びました。
またエロ描写には関わってこない部分ではありますが、口調に統一感がないなど、若干台詞にも違和感を覚えたりもしました。
もう一つは、実際の性行為の描写不足。
フィーネが出す喘ぎ声は、「いぎぃぃぃぃ」「がっ」など、読んでいる側からすると痛いのか感じているのか分からない喘ぎ声がほとんどです。
男の喘ぎ声とフィーネの喘ぎ声が数回続き、その後の地の文で「絶頂が続いている」「快楽に身を委ねている」と説明され、やっと感じていることに分かる、という感じ。
地の文も、「数回の絶頂を迎えた」「絶頂と失神が重なり」などと、エロテキストとして盛り上がりそうなところを淡々と説明していたりと、勿体ない部分が多数。
「アナルセックスやフェラチオなどをしている」と地の文で説明されているので、何をしているのかは分かる。
でも、それ以上の描写の踏み込みが足りないため、「頭では状況を理解していても、肝心の心のチンポが勃たない」という感じに陥りました。
「絵が無くともシナリオだけで抜かせる」ぐらいの勢いが無いため、Hシーンが物足りなく感じてしまうかなぁという感じです。
それでも、最低限、誤字脱字だけでも直せば抜けると思うので、せめて次回作だけでも気を配って欲しいところ。
あと、ノベルパート総じてなのですが、地味にバックログ機能が無いのもCGの少なさをカバー出来ていない原因になっていると思います。

面白い上にボリュームたっぷりなゲーム!エロ面は弱いがコスパ良し

 

リザルト画面
▲ソウル入手量も始めは雀の涙ですが、ステージを進めれば進めるほどインフレしていくので、自機強化がしやすくなる親切仕様。

というわけで、『「ドラゴニア」 -ドラゴンの涙と龍族の娘フィーネ-』の感想でございました。
エロ面に関しては少々弱いですが、「やり込み要素も含めて数時間遊べるシューティングゲーム」と見ると非常に面白いゲームです。
全方位任意スクロールSTGならではの縦横無尽に動ける楽しさや、ショットやバレットを組み合わせる楽しさ。
育成要素がありながら大味にならないゲームバランスであることもあり、コストパフォーマンス的にも十分すぎるほど満足できる一作だと思います。
誤字脱字などの欠点を割り切ってしまえば、絵の美麗さも合わせまして、良いゲームだと思いますので興味のある方はプレイしてみてはいかがでしょうか。

余談

本作は体験版が無いため、動作確認が取れない点が難ですが、全編2Dですしそこまで動作スペックは必要とはしないと思います。
筆者は5年ほど前に買ったゲーミングPC(10万円・GTX560)と、2年くらい前に発売されたノートPCで軽快に動作するのを確認しております。
ただ、オンボードのグラフィック性能もここ数年で上昇しているので、ステージ1のエリア1だけでも動作確認が出来るよう体験版は欲しいところですね。
あと、元々有用な武器ではないので使うことは無いと思いますが、「ボム」は要注意。特にショットをスキャッタにしてボムを使うと、耳が爆音でやられます。本当に音量注意。
ちなみに、既プレイの方への情報ですが、「初めから」を選んでもプロローグが見られるだけで、強化・周回のリセットはないのでご安心を。