終焉のイヴ 影の章 (体験版)
*2017/06/1予告時の感想です
*この感想は [さたける]さんに書いて頂きました。
*レビューの性質上、体験版範囲で物語確信に迫るネタバレを含みます。
U-ROOMはBloody Virgin(以下VB)やバッドエンドコレクター(以下BEC)で凌辱系の長編エロRPGとして大きく評価されたサークルです。作品を出す毎に上達していくCGのエロさと凝った設定、この2点を軸に作品を出す毎にクオリティが上がってきました。2作発表後は、方向が多少変化していてネトラレ物の外道勇者一行や、少女と魔物の愛を描いたミミとベグナデモニアをそれぞれ中編・短編物としてリリース。方向性は異なりますが、それでもU-ROOMらしさのある良いゲームです。
そして本作は、満を持して放つストーリーRPG。3章からなる大長編のうち、1章に当たる作品です。
厨二病全開……だがそれがいい
王道で面白い物語を作ることは、いくつかテクニックを覚えさえすれば誰にでも可能です。では非王道で面白い物語を作ることも誰でもできるのか、と聞かれると否です。U-ROOMはその非王道系の凌辱展開にわずかな王道スパイスを混ぜることでVBやBECで凌辱を主としながらも熱く愛のある物語を展開してきたサークルです。
凌辱をその場限りのエロで済ませるのではなく「愛」や「心の醜さ」などを引き出しつつ、凌辱側の弱さ、凌辱された女性のその後を描いています。また、設定集を出すほど世界設定や人物相関などに凝っていて、これが物語の厚みを出します。「凌辱」を表のテーマに置きながらも裏の人間ドラマとストーリーが魅力的な点が人気理由の一つかと思います。
本作は複数の話数で構成する群像劇のストーリーRPGです。話数により主人公も変化します。そして本作は序盤からVB、BEC後半部のような熱く重いストーリーが描かれます。雰囲気も2作を彷彿するかのような暗く陰鬱で、設定も伏線も大がかりで練り込んでいることが分かるゲームです。
また、序話では少女の姿だったキャラが2話ラストでは大人の姿で登場するなど、時代の変化もあります。この少女は、この間に壮絶な人生を歩んだらしいのですが、それはまだ語られていません。体験版時点で断定はできませんが、話数によりキャラや時代が変化する群像劇のシナリオです。
序話では意味も分からずダンジョンを攻略するのですが、次の1話になると外敵の存在、ムーンアインなる人造人間、地上と空中要塞のディストピア的構造など未来が舞台のSF作品ということがわかってきます。もう作中造語などがバシバシ登場して「パルスのファルシのルシがパージでコクーン」状態です。ですが、話が進むに連れ、単語1つの意味がわかってくるだけで、「お、そんな世界観なのか」と設定厨にはたまらない閃きのような面白さがあります。
コウを主人公として、1話は空中要塞、2話は地上で話が進むのですが、1話だとコウは空中要塞は外敵と戦う選ばれた誇り高き者との印象を持ちます。それが2話に進み地上で情報を集めると、空中に住む人達が何をして地上がどう苦しんでいるかがわかりギャップに悩むようになります。
意図的な情報の遮断はここでも生きていて、プレイヤーも空中、地上でそれぞれ暮らすため、コウの心境がわかってくるのです。
この後、ミカゲ(大人)とコウが衝撃的な邂逅を果たします。
物語に根差したセックスシーン
上記で簡単にストーリーを追う形で紹介しましたが、エロ関連は全てこのストーリー中に組み込まれています。ストーリーに根差していますので、あくまでノベルゲームのようなエロですが、陰鬱な世界観に組み込まれたセックスシーンは独特の淫靡さがあります。とにかく前フリと言うか、こういう世界観だからエッチが発生するんだよという情報の与え方が上手くなっています。
初めて発生するセックスは序話の試練終了時、理由は分かりませんが契約完了の証としてセックスすることになります。このエロイベ発生直前に「契約したことを大きく後悔している」ような思考の文章が流れてくるため、当時は受け入れていたけど実は何らかの理由で問題があるセックスであることが分かった上でエッチを見ることになります。
そして、U-ROMMと言えば凌辱、体験版では、とある少女が心も身体も凌辱されてしまうシーンがあります。
ツクールの面影無し!ドールやスキルを駆使した戦略的でオリジナリティの強い戦闘システム
戦闘はダンジョンパートに組まれるのですが、戦闘でまず挙げたいのはツクール臭を全く感じさせないこと。ステータスバーやコマンドウィンドゥは当然の如く、スキル攻撃時のエフェクトなどもおそらく自作で効果音もツクールデフォとは異なります。多段HIT系スキルなどは連続でダメージが当たった時の効果音や表現が気持良く感じます。また、弱点を攻撃した際のWEEK表記など、純粋に戦闘の手触りがとても良くなっています。
ドールと呼ばれる怪物を召喚して戦うのですが、これがまた面白い。体験版内で使用できるのは序話とラストにちょびっとだけ登場するキーキャラクターっぽい少女ミカゲ。彼女は2回行動+戦闘中にドールを召喚できます。外見は化け物ですが、ドールの種類によって1点破壊強力型、回復型、全体攻撃型のように役割が分かれます。主人公は複数のドールを召喚でき、これで主人公含めて最大4人パーティーとなります。そしてドールは防御面が弱いのですぐHP0で死亡しますが、最大HPを消費して何度でも召喚可能。こう、消費品としてどんどん呼べる楽しさがあります。(ドールは上記画像で主人公のお供にいる怪物)
ドールにも強さがあり、ストーリー上では新たなドールと契約して、システム上は戦闘中に召喚できるドールを調整したりと、単純な主人公のステータスやスキル以上に重要な項目となっています。おそらく、このシステムのためミカゲの時は1人パーティー限定かと。ですが、話数で主人公が変わるので単純なパーティー戦闘もあります。この場合はMP消費スキルで攻撃してTPを貯めつつ、TPで強力な攻撃を……という戦略でした。こちらの戦闘方法も敵の弱点を攻めるなど一工夫必要な戦闘が多かったですね。
また、このドールを召喚して戦う仕組みですが、おそらく一部のボス敵の設定もそうじゃないかと思っています。体験版ラストの敵は一定のダメージを与えると何かを召喚して、それらが攻撃したり補助をかけたり。
懸念点を上げれば、過去作の傾向から戦闘の難易度が高くじっくりプレイするゲームであることは想像できますので、ダンジョンパートが物語を楽しむための足枷にならないかですね。ある意味、本作に限らずストーリー+ダンジョンゲーム全般に関わる問題ですが。
さて、体験版では2話まで公開している本作ですが、今後は連篇形式としてFantiaにて月次公開していくそうです。予定では6月1日に3,4,5話、6月以内6話、7月7話、8月8話、9月,9,10話、そして最終的に完成版が年末にリリースされる見込みです。
参考:http://uroom.exblog.jp/26818317/
Fantia:https://fantia.jp/fanclubs/1837
RPGツクールMV製の中でも激々重の部類に属するゲームですので、環境でもユーザーを絞ってしまいそうですが、エロスが混じったダークストーリーを楽しみたい方、そしてRPGツクールのデフォには飽きたけど戦闘が好きだ!と思う方はチェックしてもいいゲームに仕上がっています。
・ゲーム中毒R18版 ~エロ同人ゲームの攻略・感想~で、続きの製品版の感想を書かれておりますよ。
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