虐殺大陸 (製品版)

SLG,R18製品版の感想

虐殺大陸
虐殺大陸[D’s production]

圧倒的な破壊感、「人間とは違う生物の論理」をまざまざとパワーで見せ付けた[サキュバス・レイプ残酷物語]から2年!

今度の”虐殺”は、集団戦だ……!
(今回はDLsiteの規制が緩まったので、完全グロ描写(モザ無し)なんだ。
前作はDLsiteでそもそも発売出来なかった、って考えると、本当に最近情勢が変わったなあ……と思いますね)

体験版プレイ

独裁女王によるオラオラ粛正・本格リアルタイムSLG

PV:

体験版で全部出来る(グロリョナCGは見られない)との事ですが、正直まだまだプレイし足り無い感じがあるのだよな……何かやたらとハマる
[覇県を握れ ~47都道府県大戦~]のダイナリズムを思い出した、と言いたくなるが、むしろこっちの方がもっと伝わらないか……)

製品版プレイ(プレイ記)

何故こんなにハマったのか。完全でないからこそ色んな戦略を練れる……

クリアまでのプレイ、約23時間。(デフォルトの難易度3でプレイ)
作者さんによれば”想定していたクリア時間は9時間”らしく、
また他の人に聞くと、その方は15時間であるという事で、これはかなり長い方だと思う。

正直、プレイ中の私のハマりっぷりは尋常では無いもので、他のことが手に付かないほど、短期間に恐ろしくハマった。
(2日で都合16時間プレイした事も………。深夜に始めたかと思ったら朝を迎え、そろそろ陽が高くなる頃になっても”まだあとちょっと”で続けるのだ……)

一体なぜ、こんなにもプレイヤーによって時間差が生まれるのか?
裏を返せば、なぜ自分はこんなにもハマったのか?

一言で述べるなら、”けして完璧なデキではないけど、完璧でないゆえに”、魅力的な「戦略の幅」を感じ取ったから……なのだけど、
まぁ、ゲーム進行に沿って展開するプレイ記(?)を書いたので、そのダイナミズムを肌で感じるがいい。↓

強行軍で攻め滅ぼしたら、すぐさま第三国に狙われる!

まず体験版の続きから書くのなら、
実のところ体験版では「とりあえず(キリが良い)一国を落としたらいいや」くらいの気持ちでプレイしていた。
故に強行軍であり、一国の城を攻め落とした後の事は、まるで考えていなかった。

これは言うなら、パワーバランスが均衡している勢力マップで極端な侵攻に出たらどうなるか? の試験場ともいえ、すぐにその結果を思い知る事となる。

すなわち至極当然の帰結、隣接するもう一つの国(東の褐色エルフ)が動き、
我が国は強行軍のツケ、守るべき砦にそれぞれ兵団が一隊のみという、ゲーム上、最低の防衛姿勢であった。
(国内の戦力の大半を侵略に費やすから……)

慌てて援軍を送ろうにも、その最前線から攻め取った国土までは距離が離れ過ぎている!
(例え大軍を持っていたとしても距離・時間的に間に合わない、自分の采配ミスが手に取るように分かるのがリアルタイムマップの醍醐味か。
この局面ではそれが痛手になった、後にこれを利用する事になるが……)

という事で製品版に移ってからの我が国の歴史は、敗走から始まった。
(防衛が一隊だけではもはや即負けが目に見えてるので、戦わずして城を破棄)
さっそく砦を一つ失い、それで攻めて来た敵国が手を緩めるかと言えば、まぁその隣の砦もぶっちゃけ手薄(兵隊1)。
撤退した隊が合流しても2……という始末で、敵軍のAIたるやそれだけで留まらなかったのだった。
行けるだけ行く、隙を見せれば全て当然の様に奪われる……。
そんな訳で、西の騎馬国を滅ぼす代わりに、領土の3分の1くらいを失った我が国であった。
(1つの城を落とす代償に、2つの砦を失う)

戦力が均衡している国同士が、本気で相手を潰そうとすれば当然こうなるのは目に見えていたし(たまに拠点のインフォメーションでも「戦力の逐次投入は愚の骨頂」とか言われるし…)
だからこそどの国も、ずっと散発的な牽制と緊張が続いていたのであろう。
……まぁともかく我が国はその状況を崩した。戦の歴史の幕開けである。
(……なにやら時代懸かっているが、間違いなく、ちょっとした”歴史好き(SLG好き)”ならこの位の事を書きたくなる、戦力の削り合い感、戦乱のダイナミズムがある……。
そしてそれはそのまま、各プレイヤー固有の体験となるのだろう。
上手い人からしたら、「砦を手薄にして逆襲を喰らうなんて経験した事も無い」のかも知れない……)

という事で、騎馬部族国を滅ぼした後は(親しんでいた旧来の土地も失ってしまったし、手に入れたばかりの国土も荒れ地……という状況な訳で)
”しばらく国内平定重視で、内政に務める”
なんて、そのまま史実でもありそうなプレイスタイルに自然と収まったのは、私的に感動しましたね……、
「おぉ、国としては今その辺の時期か!」なんて。

我が国の歴史は、中興の時代へ。↓

中興編。局地戦で圧勝、軍事力も内政も劣る国が勝ち上がっていく爽快感

……と、その前に、国同士の長きに渡る戦いで、勝敗を決するものは何か?
「戦場による局地的な勝利」は華々しく英雄的だが、それすらも「国内の工業・生産力」が覆っていくのではないだろうか。

仮に生産力が100ある大国に、10程度の小国が果敢にも戦いを挑み、局地的に勝利を収めたとしよう、
しかし恐らく大国の生産力はまだまだ……、90くらいは残っているのではないだろうか?
となれば、攻め入った小国はよほど上手くやらないと、ゆくゆくはジリ貧ではなかろうか?

本作にはもちろん、そんな所も組み込まれている。

思えばゲーム開始直後の主人公国は、一つの城で国を名乗っている状況であり、つまるところ内政もド貧弱、おまけに所持戦力も少ない。
これがもし歴史書通りに進行したら、きっと滅亡も秒読みだっただろう。
だがこれはゲームなので、小国が強国を制圧する爽快感をいかに味合わせるか、その”IF”をどう促すかという課題を持っている。
(そうしないと勝ちは有り得ない程、周到に作られてるとも言える)

そう考えた時、まず主人公の独裁国は海に囲まれており、ただ北上だけを考えて最大の兵力を割り振れる状況。
おまけに対する東の民族は騎馬を主体に、西の褐色エルフ国は獣兵が……と兵隊の編成が偏ってもいる。
(騎馬には槍兵、獣兵には歩兵という兵科の相性にさえ気付けば、恐らく半分の兵数でも勝利を収められるくらい)

おかげで、初めに隣接する2国までは戦えば勝つ、局地戦のサクセスの連続。
領土を十分に奪い、残った他国と生産力で並ぶまでのチュートリアルとさえ言えるのかも知れぬ。

だがそれからはまた景色が変わる。
残った3つの国はどこも生産力が潤沢な状態、兵隊の編成におかしな偏りも無い。
こちらが一方的に有利な兵科で蹂躙する時代は終わった、
ここからは体制が整った国同士の鎬の削り合い、いよいよ国家間の消耗戦という感じに入っていく。

その本質が今作のシステムで一番表されているのは、対城戦だと思う。

国同士の削り合いがクローズアップされる対城戦へ……。死屍累々で耐久度落とせ!

西・東と隣接する国を落として来たのだから、その過程で何度も対城戦はあったのだが、
さほど不利を意識する事は無かった。
しょせん奴らは蛮族ゆえか、紙のような守りだったのである。

だがここからは、桁違いな防衛レベルと向き合う事になる。
恐らくこの時点で大別して2つの侵攻ルートが考えられると思うが、
大陸の真ん中であり、随一の商業都市として巨大さを誇るミリタ市、
そして中立国のような立場で、ただ城の防衛にだけ徹底したエルフ国。

どちらを攻めても「絶対ムリだろ」と絶望するような、防衛補正が発生する。
今まで”有利で当然”とばかりの局地戦を勝ち上がって来たプレイヤーにとっては、180°違う景色。
人によっては初めて撤退、逃げ帰る事を経験し、目を白黒させるかも知れない。
そう、ここからは”何かが”変わったのだ……。
(私のプレイスタイルとして、弓矢隊を揃えまくって先制攻撃で相手を半死半生にするのが好きなのだが、
その私自慢の弓矢で射掛けても、オールダメージ1、という有り様……)

守りが固められた対城戦は、どう攻略すべきだろう?

これが現実の戦ならば(クリア後のおまけルームでも語られてる通り)
「攻城兵器持って来い!」と号令する所だが、
本作は適度なファンタジー戦史、より『虐殺大陸』らしいアプローチを取る事になる。

システムメッセージによれば
「対城戦で発生した死体は(グラフィックからも分かる通り、城内に招き入れて戦うので)回収・清掃するにもかなりの手間であり、放置しておけば衛生状況は最悪になる」
とのこと、すなわち攻城戦で双方の被害が重なるほど、城の防衛Lvが降下するという事が告げられる。
まさしく物理的な死体の山で勝つ・城そのものを劣化させるという手段。
(恐らくSLG史上、例を見ない表現では無いだろうか……)

領土を持ち、内政がようやく整って来た所で、
敵国とのゴリゴリした消耗戦をこんな形で端的に示す。
(こちらの消耗を抑えるという意味では、局地戦とも繋がっている)
非凡なデザインであると感じた。

(*私が見付けた戦略。
一兵団には80指揮官まで詰め込めるが、城の劣化タイミングも考えると、
20・20・40という、小分けにした隊で攻城→最後の大軍がラストスパートを掛ける、という派兵も考えていく事になる。
その延長で、先遣たる20の小隊は、「どうせなら、特定の兵科を狙い撃ちにすれば」あとあと有利、
例えば最後の本隊(40)で攻め入った時、敵方の槍兵がゼロになっていれば、騎兵で蹂躙し放題だ……なども考えましたね……)

圧倒的な新兵器、『魔神兵』の投入。距離の発明

だが攻城が単なる物量戦に終わらない、もう一つ捻りがあるのが、防衛に特化したエルフ国が多数保有している「魔神兵」の存在。
これは膨大な生産コストの代わり、
騎馬だろうが槍だろうが歩兵だろうが、マトモに戦えばほぼ平等に瞬殺するスペックを持つ兵科。
(こちらの内政時にも一応、開発候補としては挙げられるのだけど、馬鹿げた生産コストで無理しても一体作るのがやっと。
故に”新兵器”感が強いというか、「いよいよ、コイツも実践投入されだしたか……!」と汗を掻くという…)

そんな新兵器を何体も揃えている……と、覇道へ向かおうとする我が国の前に、新たなハードルの予感。
実際、今まで通り戦っていては、数多の戦場を戦い抜いたLvの高い指揮官でさえ、大した違いもなく灰塵に帰していく。
またもや撤退である……

いや、このエルフ国はまだ専守に務めている所があるが、もしこの魔神兵をそのまま侵攻に転用されたら……?
例え砦の防衛戦であろうと、大して障壁にならない気がする。
一切歯が立たず、本城まで駆け上がられる……!?

ネタバレ(魔神兵攻略) 

攻城と”新兵器”魔神兵。
やっと攻略のメドが立ち、戦いの歴史は新しいステージへと進むのであった……

大陸統一間近。三国時代のリアルタイムマップを活かして駆虎呑狼

一時期、手も足も出せぬと思われた新兵器「魔神兵」をも攻略し、防衛エルフ国を陥落させた我が独裁女帝の国。
いよいよ大陸を睥睨する立場となったのだが、しかし残るは2国、どちらも昔から由緒ある国である……との事で、
城の強固さはもはや言わずもがな、戦力も今まで斃して来た兵力を合算したくらいの数を、この2国だけで有する。
(大陸を三分する勢力、さながら三国志か…。)

いよいよ最終フェーズのこの段階となると、いずれの国も領土は多く、内政に事欠かない。
戦場(局地戦)での戦い方も、ここまで来た者ならば十分に掴んでおり、お互いに大きな差は付かないだろう。
つまり持てる知識を活かした、大軍 vs 大軍という総力戦で覇権を競うしかない……のだが、だがこの期に及んでも、
今度は”リアルタイムマップ”という側面で頭を働かせると、幾分か楽になる辺り、本作の深さであると思う。

この段階では、どこも最前線に当たる砦に兵力を集結、先に攻め込んだ方が不利となって損害をこうむるし、逆にこちらの守備まで危うくなるという膠着状態。
そんな睨み合いのなか、チョロチョロと小隊を差し向けて来る散発戦に(斥候ぽいが、恐らく死骸で城Lvを細々と劣化させる為か……)
鬱陶しいな、と思いつつ、ふとある事が閃く。

つまり”腹を括り、損害を覚悟していかにも本気で出撃したフリ”をするのだ。
一杯まで兵隊が詰め込まれた最前線の砦を落とすのは並大抵では無さそうだが、”(第三国から見て)攻められるに値する傷”を付けるくらいであれば、まだ比較的少ない労力で済みそうだ。

元々、兵隊を20・20・40に分けて波状攻撃……などを得意として来た訳だが、
今この睨み合いの状況では、あえて選り抜きの兵士20の一隊のみが砦を攻める。
当然落とし切れるものではないが、敵に適度の損害を与え、こちらはまだ余力を残したまま退却する。
その情勢は第三国にも伝わっている。
……すると拮抗状態が崩れ、第三国が今しがた攻めたばかりの、敵の砦に兵を差し向けるのだ。

漁夫の利、駆虎呑狼。
これは考え得る限り最高のシナリオである。
肝心の砦が落ちるも良し、落ちぬも良し。
どちらにせよ受けに回った狙いの砦はだいぶ傷付き、おまけに相当の派兵をした第三国も兵力が一気に落ちる。
というか、むしろ第三国の大軍の派兵タイミングを見計らい、留守にしている砦をすかさず攻めるなんて手さえもある。
(この作戦がリアルタイムでものの見事に決まり、確かに敵国のリソースが激減してるのを戦いで実感した時の喜びよ……)

初めに隣接する騎馬国を強引に倒した際、援軍が間に合わず砦を2つも取られた苦い体験を、今こうして応用する。
自分にとっては最後まで楽しみ甲斐のあるSLGだったなあ……と。

遂に大陸統一。クリア後の評価、そして他国での2周めプレイも……!

さて長々と我が国統一の歴史、その戦略を書き連ねた訳ですが
私が20時間以上、ずっぽりハマった理由が少しは伝わったでしょうか……。
(ちなみにクリア後には被害人数や掛かった日数などの項目評価もあって、なお嬉しい)

あと触れてないとすれば、ゲーム全体のテンポ。
つまりリアルタイムのマップ→戦場→一定時間で内政と、適度なフェーズ遷移が、
頭を切り替えつつ切れ目なく遊べる感じ、つい次も次もとやっちゃう要因になっていたかなぁと。
その点では、死体の山がミチッという効果音と共に築かれたり、支配した国へのグロリョナエロシーン(後述)も
まぁ、合間の良きスパイスにもなっていたかなと思いますね……

そしてたっぷり述べた事ですが、なにより「気付きの連続」でもって、物語を駆け上がって行く楽しさ。
本当に終盤近くまで、深いなあ、なるほどなぁ……と唸りながらプレイする事が出来ました。

それだけにクリアした今振り返ると、
「実は多少の損害を気にせず、兵の物量押しで大体いける」
っていうのが、やや”底が見えちゃった”感じで残念かなと……

どんなプレイでもクリアを目指せる……とかなら素晴らしいと思うんですが、
あれこれ考えるより物量が結局、プレイ時間が一番短くて済みそう・ある種効率的……というのには、少し肩透かし感が。
『虐殺大陸』の名にあってると言えばそれまでですが、
やっぱ鎬を削りつつ、戦略を見出そうとしている時が一番面白かった気がするので……。

だから振り返れば、”完璧じゃないのが(最適解を知らない時の方が)面白かったな”と……。
”分からない”からこそ、分からなさを追い求めてプレイしちゃう。
(なのでプレイ時間が長い……、一般にプレイが下手な人の方が、実は楽しめるゲームなんじゃないかな、とすら思ったり)

もしこれからプレイする方も、ぜひ色々な戦略を見出したりして、その人だけの歴史を刻んで欲しいなと思います。
物量押しだとクリア後の評価は、そんなに高くなりにくそうってのもありますし。

あと2周め。
「出来たら最高だけど、やっぱ厳しいのかな……」なんて思ってた、”他国でのプレイ”が可能に! というのは熱いサプライズでした。
これで例えば、専守防衛のエルフ国でプレイしたり出来る。
んでやってみた所、初めから魔神兵の生産コストが安く、城Lvの強化コストが半分……って、
そりゃ堅固になるよ、と慄きながら、今度は”いかに攻めて行くか”を考えなきゃならん、なんて新しい戦略の予感が。
思わずそのままがっつり、2周めプレイに取り組む所でしたよ……
(あと実は1周目の国は歩兵の生産コストが半分……だったらしく、物量押しはしにくくなるのかも)

なんで最初から複数の国を選択できるようにしとかないんだ、という位なんですが、
シナリオ(リョナグロシーン)的には、1周めの独裁女王の分しか用意できなかったから、と。

この扱いを見ても、人を選ぶマニアなエロ嗜好+相当に遊べるSLGというギャップ(残念ながらセールスが奮うには厳しそうな……)が窺えるかなと。
その分だけ、中身は本物だぞと言いたいんですけどね。

リョナグロシーン。敗残国の末路を高笑い、そして女王自身の崇高な独善性へ……

そして、そのグロリョナエロシーンである。
今までは一戦場で指揮を振るい、あるいはリアルタイムマップであっちの兵団をこっちに……などより上の視点の戦略を描いて来た訳だが、
最後は一個人、独裁女王の目線(物語)となる。

この(エロ)シナリオの語られ方は異色で、というのも、その殆どが「城を制圧し、国を滅ぼした後」に語られる。

……曰く、軍事力でこそ負けてしまったが、文化的にこれだけ素晴らしいものがあり、
どういった政治制度で運用されて来た国であるか。
戦っていた国、自分が滅ぼしたものの正体が、制圧した後に分かるというのはとても興味深い。

そしてそれを聞いた善良なプレイヤーは、なるほど、負けたとは言えちゃんとした一個の国なんだなぁ、
これは我が国も良き所を吸収しなければいけないね……という常識的な感情を抱くでしょうが(そもそも、ほとんど瑕疵の無い国を一方的に侵略している訳だし……)
しかしヒロインであり、主人公の独裁女王の前にとっては、それら全ては壮大な『前振り』である。

この女王、自分と異なる文化は全て野蛮、ちょっとでも自分より上品そうなら「生意気」と言い放つ暴虐ぶり。
また共和制度などあろうものなら、「そんな軟弱な制度だからこそ負けた」「世界で唯一正しいのは、この私のみ!」と絶対王政を高らかに唱える。

そうして勝者の権利とばかり、
豊かな商業都市ではその中央で公開レイプが行われ、
国民に愛された統治者が居る国では、市中引き回し、尊厳を貶める形で惨殺する。
(CGこそ無いが、野蛮と侮蔑していた国が実は識字率がたいへん高い国だったと知るや、教育内容を変更・検閲も行うという戦後統治の描写もえぐい)

とどのつまり、平和を愛し豊かな文化を作った人々を、
ただ敬意も何もなく、戦争に長けたものが陵辱していくという展開で、割と見ようによっては胸糞。
(しかもクリアしてからは独裁女王の思いつき感が強いけど、少なくとも制圧するまでは、プレイヤー自身の手で成し遂げたのだ……)

ただ18禁ゲームだからこそ出来る本当の蹂躙! 苛烈がゆえに寓話的! という見方もできるし、
過激なグロリョナが冴える処刑シーンに、テキスト面では緻密な圧政ぶり……と手が込みまくっているのは確か。

あと当初こそ胸糞悪さを覚えていた自分も、王女の性格が分かってくると、
毎回本当に色んな形に富むその国ごとの形成や政治劇の説明が入るたび、娯楽として、
「……あぁ、でもそれをブチ壊すんですよね?」とワクワクした暗い希望を抱くようになり。

そしてその願望は100%叶えられる訳で、
繰り返すうち、壮大な前フリ&パワフルリョナグロが、ある種の豪快さ、滑稽な面白さを伴って来ましたね……。
作者さんのやりたい事と、じきにチューンが合っていったというか。
(恐らく後に攻略する国ほど、より凝った手段でグチャッとさせるべくエスカレートしてるのも、高まる期待に応えてる感……)

SLGのグロリョナとしては、
落城の姫君をもっと数日に渡ってじわじわ苦しめ、その姿を国民に見せ付ける(まさに拷問ライクな)
陰湿さを期待するかもですが、
そういう所も無くは無いけど、基本あまり長くて執拗な描写はしないタチ。
畏敬の対象であり、国の為に死ぬ覚悟を決めた立派な為政者が、
一瞬で血反吐を巻き散らかしてブザマな姿を晒す、その処刑のパワフルさ、
ある意味での”あっけなさ”を嘲笑う、緻密に内臓まで描いたグラフィックでカタルシスにまで導いている、というのが本作エロの特徴かと思います。

ただ一度始まるや、女王の鬼のような制裁をほぼ一方的に眺める感じになるので、
途中でどう処罰するか? とかの選択肢を差し挟んだ方が、より”独裁者ロールプレイ”という側面は強調できたかなぁと……。
(グロリョナが苦手なら、処罰しない……とかの寛大プレイも出来るかなと)

あと内政の一コマンドとして、市民への弾圧・拷問・ホロコースト系のがあったら、割と「自分でやってる」感も捗ったのかなと思いますね……
処刑自体は過激ですが、過激なだけにすぐ終わって(死んで)しまうので、Hボリュームが薄いかな、と感じる向きもあったので。
(なんなら、内政系の弾圧コマンドは簡単なミニゲームにしても実験的ですが、面白かったかなと……。
思えば前作[サキュバス残酷物語]もパワフルグロリョナRPGでしたが、
CGシーンに移行する前、歩行グラでのぶち殺しまくり演劇が、意外に前戯ぽくよい効果になっていたのかなと)

ただグロリョナを飛び越え、あえて独裁女王の「キャラ性」に言及すると、
そうした選択の余地が無い故に浮かび上がるのは、”崇高な理念と強烈すぎるナルシズムを備えた女王”という人物像なんですね。
(たまに「お母様が言ってたわ……」と昔の事を口走るので、シナリオの常道としては、この辺りをもうちょっとお涙頂戴にして、女王の過酷さにも理由が! とかすると思うんですが、その辺りを一切やらなかったのも潔いというか)
誰もこんな女王など理解できるはずが無い、だからひとたびリョナグロシーンになると、もはや操作で介入など出来ないのだ、という……。

それが為に、最後の結末にも愕然とした神々しさに結び付く。
最後には、数多のグロリョナに支えられたこその読後感ならぬ、プレイ後感を覚えました……

(そしてやはりまた思うのは、2周めの他国でのプレイ、さんざん『国民に支持される、聡明な女王が居る国』とか謳われた国に、もしリョナシナリオが実装されるなら、
この処刑辺りはどう描写されただろう? と大変気になるんですよねえ……。
まぁ実装するなら×5国分、現在のDL数ではとても大変過ぎるのかも知れません……)

余談

全年齢版フリーゲームなどのリリースに合わせ、じわじわと周知を広めてる気もする? 本作。
体験版で最後まで出来る(むしろグロリョナ苦手な人には黒塗りで隠されるんで、丁度良いかも知れない……)
製品版へいつでも引き継ぎできるという事で、面白そうと思ったならば、是非手に取って頂きたいところです。
(ただそう考えると、相当なリョナ好きじゃないと、製品版の特典がやっぱちょっと少ないかな……という気にはなるかも……。
まぁ(独裁女王への)お布施として考えても良いかも知れない)

余談。バージョンアップがもしあるなら、欲しいところ…↓

・指揮官一覧で、生きてる指揮官の合計数欲しいかも(敵軍・自軍とも)。戦力差とかをパッと見で感じ取れるかなと……

・指揮官をソート条件指定で毎回並べ替えるけど、一回設定したらその基準で毎回並んで欲しいかな(プレイ次第か?)

・クリア途中やクリア後に、○○○年・○国を落とす、これこれの統治策(法案)を実施する、とかが記されていく巻物が表示されると、より歴史ぽくて盛り上がるかも……?