徹底破壊麻雀 (製品版)

テーブルゲーム,R18製品版の感想

色々なゲーム企画を考えては持て余してる私ですが、その一つに『麻雀モノ』があり、
作品説明を見るにこの[徹底破壊麻雀]は若干被ってるのでは? 勉強になるかも、と思ってプレイ。
しかしそんな私の前に、余りに特異過ぎる松戸ローカルルールが立ち塞がるのであった……

恐るべし松戸ローカルルール! 低評価のわけは

さて体験版無しで現在★評価が2.5と、”何か理由があるに違いない”と察せられる本作、
恐らくですがその主な理由は本作の特別ルール……というか特別な麻雀の運び方(『松戸ローカルルール』を自称)

初めに僅かばかりされる説明で「ピンズを持っていると減点」とだけ聞かされ、ほう……? と思うかもですが、ゲームが始まってみるとそれ所の騒ぎじゃなく。

さて対局が始まった、とりあえず牌を切ってみるか……とマウスで選択してみるとなにか「カチッ」という音がしたかと思いきや、自分の順番が終了。敵の番へ(え、まだ牌捨ててないし、ツモってないのに勝手に進んだ?……一巡飛ばされた??)

なにしろ説明は最低限ですから色々手探りしつつも(ここの所の困惑もぜひ味わって欲しいんですが)
お、どうやら山にマウスを持って行って、クリック&ドラッグでツモれるぞ……、
なるほどなぁ、今時まさか手動でのツモを再現するとはなあ、ん? でも解せないのは、この牌をクリック→ドラッグするのは良いけど、指を離した時点で自分の番が終了するという処理。
麻雀というのは、「牌を持って来る」と「捨てる」が一挙動だというのが前提条件だと思ったけど……

え、このままだと自分の手牌はずっと増えて行ってしまうぞ……(多牌?)

困惑はまだ続き、敵が和了を宣言。
和了られたかあ、まぁこちとらまだ全然ルールが分かんねえもんな、仕方無い、という諦めに続いて宣言された役が、
『端到(タンダオ)』。

なんだタンダオって……若干イラ付きつつも、まぁ良い、そっちの手牌を見せてみろや、となるのはごく自然の気持ち。
……が、相手は特に手牌を倒す事もなく、次巡へGO!

?(マナー悪すぎないか?)

ちなみに山からドラッグで牌を持ってこれると書きましたが、もしかして……と試したらやはり、相手の手牌からも持って来れる!(更にというか、相手の捨てた河からも)

ザマアみろ、これでお前は小牌だ和了れないぞ、なんだ、イカサマやりたい放題の麻雀なのかこれは、とのぼせるのも束の間、敵はこの期に及んで和了を宣言、その役もやはり端到(タンダオ)。

???

なんなんだよ端到って、半端ねぇ松戸、松戸って皆こうなの? という気持ちが支配するのが、初めの1時間かと思います。

あんがい駆け引きあるぞこれ

もう全然分かんない、処理おかしい、と投げ出しても良いんですが(それが低評価の原因かと思いますし)
熟練のゲームキッズは慌てない、ここで観察を続けましょう。
全然勝てない・何度も負けるうち、
「っていうかコイツ(相手)、毎回端到(タンダオ)でしか和了らんし、なんなら和了る巡まで同じじゃねえか」
と突っ込みたくなる訳です。

そして、あっ……! と111に閃光が走る。

端到(タンダオ)……、端に到(いた)る……、
「捨て牌が最後まで、つまり端に到った事自体が役ならば、手牌が少牌であろうと関係ない……ッ!?」

これで真実までのピースが半分埋まりました。
つまり本作は指定巡が来れば必ず和了る相手に、どう戦うかという麻雀なのだ。

とすると……このどこからも持って来れる牌っての……これにも何か納得行く理由があるハズ……それが松戸の掟……。
と、ここからも暫く観察、
すると手持ちの「順子・刻子」というカウントが増えて行く事に気付きます。
思えば初めの簡素な説明でも順子とか刻子を説明され、
「麻雀のチュートリアルって事かな、まあ基本中の基本だけど、ちょっとそれだけじゃあ初心者は困ると思うな(まぁ俺は分かるけど)」
と暢気に構えていたものでした。

順子と刻子だけしか説明しなかった……、つまり裏を返せば、順子や刻子しか必要無い……ッ!?

その”気付き”からは松戸オブルールを読み解くのが早かった、
もはや多牌なんて関係ない、15枚だろうが16枚だろーが抱え込めば抱え込むほど順子や刻子が出来やすいのは道理、そしてとにかくそのメンツが4セット出来れば、こちらにも和了しますかとの表示が!
(ちなみに河を好きに弄れる時点で分かりますが、ロンは無く、ツモ和了のみ)

この時点でようやく、我、松戸を制覇したり!! と喝采を挙げたくなりました。

つまり指定巡が来れば必ず和了される敵より先に、
山でも河でも敵の手牌でも、何でも良いから持って来て、どれだけ多牌になっても良いから順子・刻子を揃えるのが松戸ルール。

……じゃあ「牌を捨てる」って事は考えなくて良いのね、と言うと実はそうではなく、
ここでやっと初めの僅かな説明=ピンズを持っていると減点が生きて来る。

指定巡が来れば必ず端到(タンダオ)されてしまうのだから、当然いくらでも牌を抱え込みたいのがこちらの事情、ただ牌を抱えるほど、当然手の中のピンズも増えてしまう。

順子・刻子揃えの和了は基本5000点となっていますが、ピンズは1枚持つごとに-1000点の減点ペナルティ。
ここに、「敵の河から捨ってくればメンツが完成して和了出来るけど、見えてるのはピンズ……出来れば避けたい」といった駆け引き、
『スタートから数巡で準備が整ったけど、あえて和了を遅らせ、残り数巡掛けて不要なピンズを落としてから勝ちたい』
『逆に今回の局はギリギリっぽいので、早い順からピンズでも何でも集めていく』
という、来てる時はがっつり稼ぐ、来てない時は(ボヤボヤしてると100%端到(タンダオ)されてしまう訳で)例えピンズペナルティがあっても掻き集めていく、とこの押し引きを図っていく所があったのです。

また役の得点・減点方式も絶妙で、
通常での和了は「敵から-5000点、その結果自分に+5000」。
そこでピンズでのペナルティは「-1000*牌数」、ただし”自分のみ”、差し引き無し。

つまり5つピンズを抱え込んだ和了の場合、
自分の得る得点は+−0点ですが、敵は-5000点を減らせる……といった塩梅。

全3チャプターから成り、後に行くほど(いかにも二人麻雀よろしく)敵と自分の手持ちは4万点 VS 2万点みたく離れて難易度上昇していく訳で、凌ぐときは凌ぐ、ガメる時はガメるの姿勢がより重要に。
そう、いつの間にか、あと一牌が来れば……とあの手に汗握る麻雀の感覚が、このハチャメチャなローカルルール上に再現されているのには驚きました。

恐らく「普通の麻雀なんて制作するのが面倒」と開き直って、もっとシンプルで簡単な物をという設計かと思うのですが、そんな所にもしっかりと遊びを感じられるバランスになっているのは、何か麻雀の軸に別方向のスポットを当てるというか、発見がある様でしたよ……
(大体こういう特別ルールって破綻するというか、しょうもない物になるのですが)

一応のストーリー。強くて美しい格闘ヒロインが、徹底破壊麻雀の”贄”として捧げられた!

さて余りに異様な松戸ルールにやられて説明を忘れていましたが、本作の筋書きは
「強くて美しい格闘ヒロインが、仲間を人質に取られて脱衣麻雀への舞台に立った」
という流れ。

ところがこの麻雀、脱衣どころじゃなくタイトル通り『徹底破壊麻雀』であった……という事で、プレイヤーは言わば処刑人的立場。
相手の点棒を0にすればリョナエロが展開される訳です。
それが3チャプター、つまり3シーン分。

リョナエロとしては……基本CG3枚(表情差分のみ)、しかもそのスチルが主人公だけの描写というのが気になったか。
リョナとしては、文章に曰く3メートルを超す熊みたいな化け物やら、お腹への執拗な責めやら、”加害側”が描かれてると想像が捗りやすいのですが、「ヒロインが一人激しく泣き叫んだりはするけど、独り相撲感」になっちゃってたかなと…。

ただテキスト量は頑張っていて、初めは強気に振る舞っていたのがチャプター進むほど、心折れてブザマに懇願するとかの欲しい所あり、あと大事なことですが、女性Hシーンフルボイス。
もしかして麻雀よりもHシーンをマジメにやろうとしてるのでは、みたいな姿勢さえも感じました(いや松戸ルールも分かっちゃえばほほう、という感じで面白いんですが)

期待せずに入ると、案外楽しめるかも

アプリケーションとしてはUnity製(つまりそんなに起動の心配をする必要は無い…か?)
3つのチャプター全てクリアして、1時間30分くらい。

初めから期待のハードルが低かったのもあって、意外に楽しめたなという感じで、
クリア時のスコアアタックもあったり、「配信用配慮」といったオプションもあり、ネタゲーとしてさくっとプレイすると初めの戸惑い含め、かなり楽しく味わえるかもですね。
(そういう意味で、自分は結構”アタリ”な取り組み方をしたのかなと……)

関連:

[対戦雀姫RX]
を思い出した
(リアルタイム3Dの麻雀、洗牌を目で追うと……?)

6部アニメも決まったし

[ジョジョの奇妙な麻雀]
とかどうだろ(全年齢)