Her Body Climber (製品版)

ACT,R18製品版の感想,リアルタイム3D,遊べる

Her Body Climber
Her Body Climber[WHITE STUDIO]

超低価格なのでネタゲーかと侮ったら、ガチで作ってあったR18only up!ライクなゲーム

空中に連なる99体の女体、言わば女体星座をただ昇れ! ぱらいそさ いくだ! 感ある(マジ)作品。
それが今作。

言うまでもなく[only up!]というゲーム実況者泣かせのヒットゲームをもじったエロゲだけども、正味、R18パロ作品としては現状、最高峰だと感じた。
……まぁそもそもonly upライクな同人エロゲ自体、片手で数えられる程しか無いんだけど……。

余談。
ご存じの通り、8番出口ライクなエロゲってのは新作に切れ目が無く、ヒット作もそこそこ生まれている。
思うにそうした~ライクな作品が頻発するには条件があり、ずばり
「作り易くて」
「しかも元ネタに知名度がある」
が揃うと、まぁ作品が出まくる。簡単な力学だよね。

それで言うと[only up!]なんぞはまさに的確、それを見越してDLチャンネルにまとめを建てておいた、というのが今回に至る顛末なのだけど、でまぁこれが、ものの見事にアテが外れた。
現在、そこに類する作品は3~4本とかだね……。
まぁ理由はある種明白で、8番出口の方は続編は出る、映画にはなるってな一方で、[only up!]はとっくに本家本元がSteamから撤退しちゃってるしね…。
なかなか興味深いモチーフだと思うんだが、一切何か腰を据えた分析がなされずこういう事態になるのは、惜しい気がするというか。
ただまぁ、先細りは止むなし……というのは事実。

……ところが先日、このまま埋没するかと思ってた界隈に、恐らくFANZAのみ、そして定価110円から更にドドンと90%引き、すなわち11円! というonly upな作品が来た、というわけ。
まぁこれは買うだろ、っていうかネタ半分に購入して仮に放置したとしても全然痛くないわ、ってなもので購入……。

が、一度そうなるとちょっとした隙間にやろうかな、と手に取るもので。
で、やってみたら驚いた。
マジだったのである。

エロ要素はヌードのみ。むしろ女体アート感……

注意書きとして初めに書いておくと、まぁ見ての通り「昇っていく題材が全裸女体」って以外のエロ要素は無いです。
エロゲというよりR18要素を含んだゲームって方が正しいくらいで、もっと言うとプレイしてる内に湧き出てくるこの女体アート感……そうだアートだって事で、ワンチャンフランスとかでは、公共の美・全年齢的なレーティングで出せるのでは、という雰囲気さえ醸すのでした……。
フランスとかパルクールの発祥地だしな。同じように女体昇りもいけるいける。

そんな訳でまぁヌキ無しR18ゲーの風情なんだけど、それでもあえて言うとすれば、恐らく作者さん自身もほぼ酔っ払って便乗したみたいなこのコンセプト、すなわち『女体をただ昇る[only up!]、オモロイやんけ』というこのノリが、
ところが、「やってみたら想像以上に相性が良かった」という事に尽きる。
そして制作側としても作るうちにそれを肌で感じ、段々とマジになって作り込んでいった、というのが背景にあるのではないかなと…。

私見だが、(ジャンプのヤキモキは当然として)only up!=エモさ

[only up!]の核はどこかと言う話だが、
一つは「ジャンプがギリギリで成功するかしないかくらいの位置にオブジェクトが配置されていて、その状況を迎えた時の手に汗握る感覚」、そしてそこからの「ゲーム実況映え(落下=失敗した時の阿鼻叫喚)」がまぁヒットに繋がったのだろうなとは軽く推測できるだろうが、もう一つ見逃されがちな事があると思っていて(まだ少ないが、先達のR18パロゲーにはこの辺りが無くて、対照的に良く分かる)
それは「黙々と昇るうち、なんとなくエモい気持ちになってくる」って所だと思う。
ここはともすれば同じジャンプゲーでカテゴライズされがちな、[壺おじ]や[jump king]にも無い感覚、[only up!]だけのモノだと思う。

3Dだからか、[only up!]では「高さ」への認識が少し異なる事になる。

やたらと落ち着くBGMのまま上へ上へ昇っていく、そしてある時から高度に応じてBGMは変化し、あるいは時間経過で周囲が暗くなり、そしてまた朝焼けを迎える。
やはり思い切ってリスクを犯さなくてはいけない時はあって、ジャンプが届くか、届かないか、失敗すればここまで昇ってきたウン百mの苦労が消し飛ぶ、って時の、「高さ」も相まってのキンタマがヒヤッ! ってなるような感触。
昇った先にあるオブジェクトはなんとなくイメージを刺激して何か意味ありげであったり、
そんな時にすっかり昇ってきた遙か眼下の光景と「高さ」を感じては、なんとも言えない気持ちが胸に迫る……。

本作には原作同様のそんな体験もあるが、ただそれだけでないのは、本作の道中に配置されてるのは全て大小サイズはあれど空中に固定された女体、という事なのだ。
これがジャンプ成功するか否かという点でも、そしてエモさという点でも、もしかしたら本家に勝っているのではないかと……。

(*その前に前歴を謝っておかなくちゃいけないんだが、実は煽るだけ煽って私こと111、[only up!]本家をプレイした事がない。
Vtuberのゲーム実況でナハハまた苦行を積んでおる、なんて笑ってる内に配信停止しちゃったし……。
一応、Slay the spireもヴァンサバも遊んでるんだが、こうこの辺のトッポいゲーム文脈って、皆が騒いだ数年後、落ち着いた頃にふと思い出して手に取ってみる、そういうのを許容してこそ俺みたいのんでも遊んでるという状況を作り出せる、そういう所があるじゃない……? まぁいいか)

私は本家を遊べてないので、仕様を事細かに比べては語れないのだが、だがR18な本作をプレイしていて「あぁなるほど、こういう面白さだったのか」と調べてみたら、別に本家にはそんな仕様は無い、というのが数件あってかなり驚かされた。

ジャンプの他に「昇る」要素を濃くした時に現れた面白さ、エモさ。
女体昇りとの意外な相性の良さ……

まずジャンプだが、本作のタイトルは[Her Body Climber]。
つまりjumpをメインに据えていないのだ。
だからか、(この辺はプレイし比べないと分からない所だが)「オブジェクトに取り付き、昇る(Climb)」という要素が本家よりも濃くなっていたと思う。

操作は簡単で、普段は移動+向きと距離を調整したらジャンプ、という塩梅だが(キーボードとマウス操作だが、ゲームパッドにも対応)
例えば「上」を押し、その先に手で掴める箇所があり、そして足が地に着かなければ自動的に「しがみつき」モードになる。
しがみつきモードはそのままオブジェクトの曲面に取り付いたまま移動できる。
ただし傾きが急な所をむりやり進もうとすると、手と足、身体の位置からやがて限界を超えて、自動的に手を放してしまう……(落下)
また足が着く位置に来れば、しがみつきモードは解除される。(あるいは掴んだ状態からのジャンプボタンで自主落下)

本家にも掴み要素があったと思うのだが、忘れてはいけない、本作は巨体な女体が並ぶのみなのである。
胸の丘陵やおぺんちょの丸み、肩幅の「安心して立てる」ラインに安堵し、そしてそこから顎に飛び移ろうとすると、意外なほどの難度を感じ(大概掴み損ねて落下)、ではどうするか、耳の後ろのうなじラインから、それもなるべく楕円を掛けて(角度が急にならないよう)頭頂部へと昇っていくのが吉……。

この「”小さな自分”になって女体の上を這い回っている」感覚
あるいは誰しもが身体の事は思い浮かべやすいもので、たとえジャンプした先が本当に肉薄しすぎ、ただ訳も分からず肉の表面にしがみ付いてるだけだとしても、少しよし昇り、僅かな膨らみを感じては”ここはなんとなく、太腿の辺りか? だとすればこのまま上がっていったらマズイ……、間もなく急激な尻の膨らみがある!”などなど、脳内で今どこに居て、今後どのルートを行くべきか、というのが自然と頭に浮かぶというこの感覚。

本作は明らかに本家のジャンプ要素の他に、「登攀ルート」とでも言うべき、山岳のクライミングルートを築く要素もあって、しかも山となれば非常に難解だというソレを、ただ対象が巨大な女体というだけで、ある程度想像をしやすいように落とし込めている。
この面白さ。
まさかの「女体をよじ昇る」ことへの相性の良さ。

「何かとてつもない物をプレイしているのではないか」

その上で、ただ巨大な人間が横たわっており、その上を行く……という見た目以上のインパクト。
巨人たちは全員が全員、それぞれの大きさと違う表情とポーズを取っている。
顔をよし昇り、なんとなく巨大な目にビビり、大きく開けている口に入ってみたらどうなるだろう、とか考える……(進撃の巨人だ!?)
そして一体ずつ巨人に飛び移る度、First Female Hibiscusから始まり、Female 06 LavenderとかFemale 16 Lotusなど、その名が表示されるという、何か征服していくような達成感。
背中側を慎重に昇ってる時に、その名にちなんだ花のタトゥーがあしらわれている……という事に気づき、何かを示唆しているのだろうか……と頭を働かせたくなる深淵さ。
あるいは中盤、自分の1.5倍くらいサイズの女体がひたすら並び、アーチ状に橋を作っている光景……。

上述のエモさと相まって、何かとてつもない物をプレイしているのではないか、という気分になったのは事実だ。

実は本家よりも充実してるゲーム要素。
途中復帰可なチェックポイント、意外な所に隠された新プレイアブルキャラ…

そして今作、存外にプレイ感も悪くない。
なにしろノーマル難易度なら、13体目とか20体目とか、途中から再開できるチェックポイントが設けられているのだ!(ゲーム閉じてもセーブされてて安心)
悲鳴相次ぐ本家をやっとこれで尋常に遊べるという所だが、他に楽しませる隠し要素も諸々あり。

例えば女体の左足先から昇り、掲げた右上の手指に到達して次の女体へ……というルートへ行くとき、反対である左手へは行く必要が無いのだが、ふとそちらを眺めてみると「黒いボタン」が。
これはジャンプして踏んでみると、通常の20~30倍にも跳ね上がり、あわくよくばショートカットできるかも! というチャンス。
ただ空中での制御が難しく、失敗すればもちろん地上1m(海)へドボンというハイリスク&ハイリターン……。
(この要素自体は、原作にも”ベット”という形で存在するかも。[only up!]ってこういうゲームだったんだねぇ……)

それどころか、同じく探してみれば分かる「あんな所に」という箇所に、『宝箱』まで秘められてたりするのだ。
ちょっとのリスクを犯し、ルートを外れて寄り道をしてみると……、プレイアブルな新キャラが手に入る!
(*検索したが、これは原作には無い要素らしく、むしろヴァンサバ辺りの謎の探索要素を咀嚼し、採り入れたモノを感じた)

新プレイアブルキャラは大概ピーキーな性能を持っており、移動速度は極端に遅いが、その代わり登攀能力やジャンプ能力に秀でている、など……。
何度も挑戦するのが当たり前な本作、以前のキャラでは不可能だったルートも切り拓けるかも知れない……(飽きた頃に毎回、新鮮な感覚で遊べて悪くない)

エモさと昔のゲームのような隠し要素

この隠しキャラという要素はここぞと「エモさ」にも役立てていて、何も昇っていく女体のみに隠されてるとは限らない。
始まりであるFirst femaleは半分海に沈んでおり、当然のようにその周りには海がずっと広がっている。いかにも最初の大地という感じ。
ところが試しに海へ飛び込んでみると、そこには海中のビル群、列車……など、原作にも負けない何か深淵、何かエモなオブジェクトが眠っているのだ。
それらの上空にはいかにも目に付くよう、ライトが煌々と灯っていて……(宝箱発見)

[only up!]ライクなのに、まさかの高度マイナスへの探究。最初の地点から逆に行くと発見があるよ、というゲームぽい遊び感覚。
プレイアブルキャラは未解放だとどこに眠っているかのヒントもあり、これは素直にやり込み捗る良い要素だと思った。
なにしろ失敗かと思ったら怪我の功名、落下した先で新キャラを発見できたぞ、って事まで有り得るのだから……。
(書いてて思ったが、隠しキャラに一喜一憂するの、昔のファミコンゲームみたいだな……。だがそれが不思議、今作のような3Dの建て付けだと「エモさ」「プレイヤーが感じ取る物語性」にも繋がるのだから……)

個人的には90人めを超えた辺りの、意味は分からん、意味は分からんが何かが起きているという感覚、そしてそれを踏み外して失敗、2km上空から落下した時に訪れる……エェイ、少しネタバレしてしまうが、地上1mに打ち付けられるかと思ったらそのまま突き抜けて地下8000mまで行ってしまい、「地獄」を訪れる事になる……なんてまさに隠し(だがかなりの人が発見するだろう)要素にこれこれ、と胸を打たれた。
ここは終盤で失敗しなければ行けない場所なのか……と思ってたら、探してみたら実は最初期から探せば行ける道があった、とかも「なーんだ」という種明かしみたいな、”しっくり”来る構造を感じる。

苦労して進み、謎めいた要素に見舞われるのはワクワクして、途中数回、「次はなんだろう」、「今日も少しだけ挑戦してみっか」と楽しみにしてる気持ちは確かにあったね……。

カメラアングル操作だけ、ちょい不満かな……

唯一の不満は(まぁまっとうなエロゲーマーとしてはシコれない所を挙げるだろうが、まぁ私はそれ目的ではなかったので)カメラアングルだろうか……。

ゲームの性質上、飛び移る前に周りのオブジェクト・足場の確認は必須なのだが、カメラを回すと大概巨大な女体にめり込み、ぬっ、なんだか分からんっ、となる所が唯一ストレスだった……。(復帰ポイントがあるため、ジャンプと登攀自体では意外にストレスを感じない。むしろ納得があったり…)
そら周囲に巨大な人体が囲んでたら普通にやればそうなるが、ここは一つ……カメラアングルの制御に上手い解決法が欲しかったところ。

エンディングを迎えた個人的な所感としては、「私だったらこんなインパクトを残すゲームを作れたら、まぁ1000円+消費税100円の値は付ける」かなと。
だから11円はおろか、110円でも大変おトク……というのが本音なところ。

私は4時間弱位でクリアできたので、ちょっと暇潰しにやってみるかという人、ネタゲーを探している人、あとは……R18でもゲーム実況してみせる! なんて気合いの入った勇者(その際は復帰ポイントが無い難易度ハード、エキスパートがオススメでしょうかやはり……)は、ぜひ手に取ってみては如何でしょう。