犬耳少女わんわんちゃん (製品版)

RPG,R18製品版の感想

体験版プレイ

体験版はプレイ10分くらい。
エロゲーとして、勿論エロってのが大きな一ファクター、刺激となる訳ですが、健気さもそういったコンテンツを彩る刺激ではあるのですよねえ……。

製品版プレイ プレイ4.5時間、トゥルーエンド

だいすきなくんくん老師を安心させるため……、わんわんは旅立った!

最近すっかり製品版を遊べてない111、ひごろ気軽に回せてないと、ゲームをプレイするにも根が生えた様になっちゃうんだ……。
つまり遊ぶにも”特別な理由”が必要になっちゃう。

本作[犬耳少女わんわん]は言うなれば、けものフレンズ(1)の様な、こう、切ないけものな物語ではないか、と体験版で見込み。
今まではこうした物を折に触れて感じても、ゲームとしてプレーするかは稀であった……。
だがここらで一発、やろう! ”やる”事で、俺は新しい世界を知れる!
——私の中で何かが噛み合って、その気持ちが風化する前にと、製品版プレイしてみたのでしたよ。

予想以上にフリーシナリオの良さ。そしてお話の切なさもちゃんとありました

プレイして一番嬉しい誤算だったのは、予想以上にフリーシナリオしていたこと。

(体験版では行けなかった)初めの人間の街を訪れるやもう、そこの港から島に王都にと2つの街へ行け、酒場で話を聞き込めば、犬族の宝を盗んだのは平原の野盗が怪しいという情報が。
そして時を同じくして、街で隠れんぼ遊びをした子供が平原の方に行ってしまう、荷物運びの仕事を請けられる(向かうは平原を南に突っ切った小さな村)……と、複数の動機&行き先が舞い込む。

またもし、先に犬族の宝が盗まれたという安置所(ダンジョン)に赴いたなら、そこを詳しく調べると抜け穴があり、野盗のアジトの近くに出る……なんて事も。
つまり『新しい移動先の提示』というのが、それぞれ別ルートから、複数用意されてるんですね。
(フリーシナリオを謳うものの、よくプレイしてみら結局一歩道じゃん……という作品もあるなか、これはかなり”ちゃんとしてる”なと)

このように”複数”である、というのはよく意識されていて、
例えばそうして野盗のアジトに乗り込めば、そこで高級メガネ・グレて野盗になった村人……なんてのが見つかる。
実はこれ、先に人間の街で話を聞いてると、あぁそう言えば探していた人が居たなぁ……と思い当たるという。

つまり導線だけでなく、”報酬も複数”であるというか、
「ダンジョンクリアして街に帰ってからが楽しみだ」となるという。

またシナリオもきっちりした運び。
ぶっ潰した野盗がやはり犬族の宝を盗んだ実行犯である事は分かるのだけど、もうアサシンギルドに売り渡した後だった……
と、必ず次へ、次へと繋がる情報で引っ張る訳ですね。
せっかく見つけて壊滅させたダンジョンが、「コイツらじゃなかった」「また別所へ当たろう」……とかやられると、フリーシナリオとして途切れてしまう、もっと言うと今の無駄足じゃん、みたいになりますからね。

そうして疑わしき組織や一族が次々と挙げられ、最後に向かって点と点が繋がっていく、という次第。

ちなみにアサシンギルドは、開始5分で行こうと思えば行ける王都で話を聴き込むと、疑惑が浮上する相手でもあり……、
と、つまり”いきなり強いダンジョン”に挑む事も可能な流れ。

自分のプレイとしては、初めに挑む人が多そうな野盗のアジトをあえて放置、
次の村へと進んでいたら、いきなり騙され、その時点では割と厳しいダンジョンに閉じ込められる、みたいな事態に。
ザコ敵ですら勝てないのでひぃひぃ逃げながらも、激強ボスはスルーすれば脱出できる……みたいな配慮も取られてるのが、良い具合でしたね。

この「いつでもどこでも行けるんだ」と足を伸ばしてたら、あれよあれよと事態が進んじゃって、ハマる訳じゃないけどハラハラする、って具合は久しぶりに味わったものでした。
(というか本作、実は(見た目じゃなく)ノリとして、SFCの頃のレトロゲーリスペクトな展開があるという……。
分かればニヤリなんだけど、分からないと「???」ってなると思うので、一応。
詰まる人が居そうなので若干ネタバレをメモっておくと、最初から「何の為にあるんだろう」と思ってた技が最後の最後の戦いで意味を持つ、ってのも”それっぽい”なと……。
(ただ本当にこれで良いか不安になるので、途中で相手の反応セリフとかを2,3回入れて欲しかったか……))

そうしてその場では避けざるを得なかったボス敵も、
各地で集めた素材から強い武具を錬成、後に戻って来て倒す、
という王道的なやり甲斐ポイントにしっかり活かされていて、嬉しくなりました。

一部の敵は攻撃の回避率がかなり高く設定されており、上手く攻撃が当たらない、そうか、ここで新しく覚えた技「ローキック」=敏捷度を削るのか……
とか、「あぁこの技はここで使うと良いのね」と気付かされる戦いが幾つも。
同時にそれが格闘娘ぽさにもなってる。
見た目はわんわんですが、中身は意外に骨の入った、レゲーリスペクトな所ありますね…

それと、フリーシナリオではあるんだけど、オープンワールド程ではない……、一つ一つのマップがそれほど大きくないのも好きかなと。
やるべき事は次から次へと複数繋がっていくけど、でも覚えておける範囲。
小規模で、そういう遊びをちゃっと楽しめる。
今の自分には結構合ってました……

そして実は一番自分が気になってた所でもあるのですが、フリーシナリオの中の切なさ、そして熱さも(!)きちんとありました。

初めの村から示されていたエピソード、例えばわんわんを捨てた両親は今どこに居るんだろうか……
も、きちんと旅の中で(サブイベントをちゃんと探していくと)
分かります。

何というか、この切なさ……というのが、
”人間族は全員いじわるで、犬族のわんわんに皆嫌がらせしてくる(差別)”系のギトギトした物だったら結構胃に来るなぁと思ってたんですが、
基本的には明るくてちょっと優しい世界、でもだからこそ、その途中でふっと点が切れちゃったような……、
想像するしかない切なさに、ぶわっと涙が出ますよぉと……。

そして初めのわんわんの故郷で、何だろう? と思ってた事が、この場面で出てくるか! みたいな熱さ。

「敵のボス倒したのに、村人同じセリフのままだわ……」ってのは同人にありがちな事ですが、そんな所も少なく、きちんとセリフ変化。
そんなだから、用事があって故郷に帰ると、旅立ってからの月日とかも感じたり。

『物語の最初から、今までが繋がってる』感がちゃんとするのですね。
わんわんの成長物語を感じられるのでしたよ……(成長物語みたいな言葉、久しぶりに使いましたが……)

Hシーン傾向

Hシーンは全部で9。
標準的エロRPGとしては少ないのでしょうが、殆どが新しいエリアに入る→そこのザコ敵に負ける、という敗北エロに固めており、
また1シーンに差分を結構使っている事から、意外に数以上の重さは感じたか。

それと予想外……だったのは(というか、自分が勝手に思ってただけですが)
健気なわんわんの心をへし折る敗北陵辱+セリフ責めが多いのかなと思ってたんですが、描写としては割と普遍的な、モンスターに犯られる快楽絶頂が多め。
H傾向としては、案外ロリ巨乳みたいな所を軸にしてた気も。
(嫌なのに犯されてイッちゃった不甲斐なさ描写はあり、ちょっと庇護欲がくすぐられる……)

ザコは敗北エロなのに、ボスだと殺されるって所に、むっ? と思いましたが、これは性癖というよりフリーシナリオとして、まだまだ鍛える必要があるぞ、と悟らせる為の物かなと感じました。
(ただ殺される前に泣きながらの一言があったり、やっぱ切なさはある…)

不思議と、印象的なシーンが多いRPGでした

そして本作はマルチエンド。
道中の敗北回数に応じ、わんわんの妊娠発覚・腹ボテになるか……の差分あり、
あとはサブイベントをこなしてないと、最後が切なくなる分岐あり……かな。

全Hシーンと、恐らくトゥルーエンドも見て、プレイ4時間30分。
まぁいわゆる大型の凄いゲームでないのは自明ですが、不思議と印象的なシーンが多いRPGでした……。良い気分になれました。

クリア後部屋とかもありますが、回想の全開放とか、あと個人的にEDリストの確認とかが無いのが、少しモヤモヤしたかも。
(あと自分も途中まで気付かなくて苦労したんですが、初めの故郷で、3つある選択肢から1つを選んでないと、自滅技を覚えないのですね……)

フリーシナリオとして「最初から物語が繋がってる」部分に感動しましたが、最後の着地、まとめ方でやや力尽きた感じも?
(途中「私達を否定する事は簡単でしょうが、どうか分からなくてもそっとして置いてください」なんて言ってる人も居たので、ちょっと違和感……。
もしかしてまだED条件ある?)

とはいえ、サークルさんとしてはまだRPG2作目。
何か、好きな作品でしたねえ……。

関連:

[にゃんだふる純情奇譚 ~おしかけ猫又娘との性活~]
とか、

[うさみみボウケンタン]
を思い出したのだ

あとはうーむ、

[この世は悪意でできている]
(大体のルートで大人達に翻弄され、不幸になっていく少女のミニRPG)


[アリシア ~高潔と穢れの狭間で~]
(純真無垢な少女がスラムからスタートして……という短編RPG)
とかどうでしょう……。

あと絵モフモフだし、微妙に健気だし

[グール×グーラ・コンパーニャ]
とかも性癖かなあって