ナイトメア少女ロリータ (製品版)
*この感想は [シカク]さんに書いて頂きました。
古来より悪魔と人間というのは互いに触れあうことも話し合うことも出来ない、完結し合った関係です。
ですがそれでは何も起こらないでしょう?
確かに関係し合うことままならない我らですが、一つ出来ることが御座います。
我らは人間の夢を操ることが出来る。
今、ここにひとつの器が夢に顕現しました。辛い現実を歩み、生きた心地のない少女です。
素晴らしい! 悪魔の魂を融合させるのに適した逸材です!
さぁ、少女の夢を悪夢へと変え、魂を黒く染め上げてしまいましょう。
というのがことのあらましです。
少女ノエルの見る夢。その果ては暗い現実か漆黒の目覚めか
プレイヤーは悪魔として少女ノエルに悪夢を体験させ追い込んでいきます。
悪夢の体験とは有り体に言ってしまえば異形との交わりです。異種姦ですね。
現実では級友と思しき子達からイジメを受けている様子の少女ノエル。そうして何も分からないまま悪夢に放り出され、やがて自身の命も保証されていないことに気付きます。
辛い現実を生き、夢の中でも危機に晒される、そんな散々な目に合ってもコロコロと表情の変わるノエルは今作の癒やしです。
どうしてこんな子がイジメを被るのだろう。
ゲームの印象にはダークファンタジーの色が少し見受けられます。
色は黒く———ではなく暗めに配色されており、筆者シカクが前回レビューした『DEADNIGHT〜死霊の夜のメルム〜』とは違う趣のホラーです。
『メルム』が何があるか分からないヒトの理解を超えた所に感じる恐怖というのなら、
今作はリアリティがあり理解出来るからこそ、後ろ暗さと言いますか、不安を煽られる恐怖と言えます。
触手とか骨がはみ出たぐっちゃぐちゃな異形と、鈍色の包丁携えたテディベアーみたいな。
そんなホラーに加えてサークル様の趣味なのか「カワイイもの×コワイこと」という、需要は確かにあるが定義付けや分類が難しい故に供給の少なすぎるジャンルの要素も持ち合わせています。
筆者も明確な区分が分からず、引き出しも少ない故に類似する要素を持つ作品を並べることが出来ないです。ゴシック? ロリータ? うーむどちらも違う気が……。
いたいけな少女を堕落させることは悪魔には容易いこと。ゲーム感覚で陥れてしまいましょう。
オリジナルのカードゲーム!既存のゲームに類似し複雑なルールなく入りやすい
今作にはサークル様が作られたオリジナルのカードゲームがあり、その勝敗によりノエルを犯せるかどうかが変わります。
勝てばエロシーン負ければお預け、というご褒美形式とでもいうのでしょうか。
ゲームに負けてしまった場合、ノエルは難を逃れてしまい犯すことが出来なくなります。
つまり魂を穢せないということですので、か弱い抵抗などお構いなしにどんどんノエルを追い詰めてやりましょう。遠慮など要りません、悪い夢なのですから。
このカードゲームは既存のカードゲーム「ブラックジャック」のルールを一部改変したもの。
有名なゲームなので説明不要かも知れませんが、かなり乱暴に説明するとカードを順番に引き合い21の数字を目指すゲームです。今作はこれをより簡潔にしたようなオリジナルゲームが用意されています。
細部が説明されていないことと、恐らくゲーム中の画像だけでは疑問の浮かぶ所もあるかと思われますので地の文も交えながら解説していきます。
モチーフ元のゲームと違うところは目指す数字が『12』と小さくなったこと。
説明が無いため軽い調査をした程度ですが、数字札が恐らく『1〜5』までしかないこと。
数字札とは別に『堕』という特殊な札があること(どのような性質かは後述)。
画像の追加ドローとありますが、ドローが出来る回数は一回だけということ。
このルールから、自身と相手に二枚ずつ配られたカードを見てドローをするかしないかの選択を考えることになります。
このゲームで注意するべきはジョーカーの役割を持つ『堕』カードの存在。数値を2倍にする他、2枚揃えば勝利確定のカードです。
ゲームの個性でもある『堕』カードの有無は追加ドローの選択に大きな影響を及ぼします。
とは言え、追加ドローが一回しか出来ないこと、数字カードが1〜5までということから、実際に重要なのは最初の手札に『堕』があるかどうかでしょう。
こうしたことを頭に入れつつ、数値の合計で勝敗を競います。
数値が『12』を超過した場合、必ず負けです。
勝負は一回だけでなく、どちらかの心(体力)が無くなるまで行います。
総じて、有利不利が『堕』カード1枚で大きく揺さぶられるゲームと言えるでしょう。
このゲームの問題点を上げるなら、数値カードの下限と上限の説明がなかったこと。
これに関しては明確にしないことでゲームバランスを取ったことも想定されます。ミニゲーム程度の規模なのでそれとなく気付く人は多いとも考えられます。
ですが筆者としては(モチーフがあるとはいえ)オリジナルのゲームを用意する以上、細部の仕様は明確にしておくべきだったかな、とも。
どうすればニーズに答えられるか。或いは一方を切り捨て一方を拾う取捨選択をするのか。こればかりは結論が難しいですね。
上記に加えて、勝敗を決定する際の演出が為に相手札と自札が隠れてしまい、札と結果から研究することが出来にくくなっていること。
ここはゲームデザインのミスですね。何故勝ったのだろうか、何故負けたのだろうか、が分からないのはトライアンドエラーが難しいということになるので中々痛い。
追加ドローの選択時に相手の手札が1枚だけでなく全て見えても良かったのではないか、とも思いました。
手札によっては相手の『12』超過も視野に入れなければならない時もあるので。
こちらは作者様の意図があったのかも知れません。
最後に、これはこのゲームが面白かった筆者のわがままではあるのですが、
延々カードゲーム出来るモードや或いは高難易度モードが欲しかったです。
このゲームに対して関心を高く持てるかどうかが今作で重要になってくると思います。
筆者は幸運だったのか特に何もせずにクリアしてしまいましたが、
調べてみるとこのゲームが肌に合わなかった、勝利の糸口を見付けられなかった人もいる模様。
ゲームに躓いてしまった、という方はアップデートで追加された救済措置を使用するといいかも。
ですが筆者としては負けたり勝ったりしながら戦法を見つけて欲しいです。
勝率をある程度安定させる理論や攻略法はあります。元ネタがブラックジャックですのでその辺りも参考になるやも知れません。
少女を汚すことで魂を黒く染め上げるエロシーン
ゲーム関連の項が長くなってしまいましたが、エロ同人ゲームなのでエロいシーンが勿論あります。
今作のヒロイン、ノエルはこんな絶望的な状況下でも表情の豊かなかわいいロリっこです。
長い髪とロリに相応しい妖精体型が特徴ですね。
そんなノエルに対してプレイヤー側である悪魔は化け物による陵辱、という悪夢を通じて少女の魂を侵そうとします。
男性器を挿入しただけでお腹の形が変わってしまう、まさしく化け物とのセックス。
ドット絵で表現された絵柄は中々味があり、射精した瞬間のくぐもった音や明滅での絶頂の表現などエロシーンとしてのクォリティは水準値以上と言えるでしょう。
テキストに関しては個性が出過ぎて目に付くということも無い。CGが用意されており、徐々に堕ちていく少女は見所ですね。
1シーンにおけるCGはエロシーンの長さと比べるとちょっと多いです。
エロのクォリティとしては模範的なのですが、逆に模範的すぎてこの作品ならでは、という個性が掘り下げ切れてないとも取れました。
カワイイもの×コワイことが今作の個性だとするならば、多少抜きん出た表現を用いても良かった、或いは化け物の異形の印象が残るようなテキストがもっと欲しかったな、とも。
このシーンで例えるならば、化け物は兎に角体格が大きいので少しアングルの引いた、或いは角度を変えた体位を描くだけでも十分表現出来たのでは、と。
CGかテキストのどちらかで化け物の描写が十分であれば、ダークな部分、カワ×コワのテイストも感じさせることが出来たのでは、と惜しく思ってます。
間違いなく良い趣味の感じるサークルさんなのでもっと色んな表現を見たい。そんな将来性を感じさせるエロシーンでした。
他の項目で語れなかったあれこれ、それからまとめ
短編なので容量の都合もあったのでしょうが、世界観が少し分かり辛いという所がありましたね。
悪魔や神官などとテキストで匂わす所があります。ですがノエルが開始して早めにひん剥かれてしまい、服装等での想像が難しく、舞台もずっと屋内なので尚更。
外の景色やオブジェのレイアウト、背景なんかにもデザインを工夫すれば言わずとも想像し易かったのでは、と思いました。
開幕や物語の節々に挟まれる狂言回しの悪魔は凄く味が出ていました。この悪魔の語りはこのゲームに置ける地味だけど確かに光る魅力です。
一部で、CGのないテキストだけのグロテスクな描写があるのですが、そこにもっと力を入れたなら「カワイイ×コワイ」がより表現出来たのかも。しかしグロテスクは人を選びすぎるのだ……。
自作のカードゲームは意欲的でかつ入りやすいのでこの価格帯なら面白い部類と言えます。
運も左右してくるゲームですが、それを知識や読みでもって、ある程度覆すことが出来るのは奇跡のバランスか或いは作者様のバランス調整の妙技か。
人を選びますが、理詰めや数字の得意な人はなかなかに中毒性がありそうなゲームです。
全体を通して総評してみると、
・誤字脱字がちょこちょこと見受けられること、
・エロCGモードがある一方でエロシーン再生が未実装であること、
・力作であるカードゲームが本編中でなければプレイ出来ない、
・世界観が作られており、引き付けるモノもある。だが描写不足やデザイン統合の関係で掘り下げ切れてないと感じる
と痒い所に手が届かない部分も散見され、習作の印象が残ってしまったかな、と思いました。
裏を返せば作り込みが足りていないだけであり、
・意欲感じる面白いカードゲーム、
・確かな需要があるも供給が足りてないジャンルへの挑戦、
・悪い部分が殆ど無いエロシーン、
・世界観がしっかり練られ、少ない情報だけでも気に留めさせるだけの魅力がある、
とも言えます。
体験版でカードゲームを気に入った方は是非オススメしたい。
作者様の次回作はそれらがよりパワーアップしたものを感じさせます。
紹介ページだけでも見に行く価値があるかな、と。
エロ関連の基本情報は
エロシーン 6シーン
CG エロCG26枚(差分含む) 他CG4枚
となっております。特に情報がなく数えたものなので誤差があったら申し訳ないです。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません