プロナント・シンフォニー (製品版)
*この感想は [さたける]さんに書いて頂きました。
⇒予告での感想はこっち
本作は自分は正常と思いながら催眠者を慕う「プロナント」、これをテーマにしたダンジョン探索ハクスラRPGです。この催眠はそれ以外の部分が正常に見えるため一見して催眠にかかっているようには見えないけど、催眠者の魔力がある限り命令には順守する特徴を持ちます。本作は主人公+プロナントで操った4姉妹パーティーですが、それはどこか歪さが感じられ、単純に仲間と共に冒険する愛と勇気の物語とは一味違う独特のダークさが伴う内容でした。
同系統の洗脳系エロRPG系としては一度セックスすると主人公を好きになるように洗脳してしまう「グール・グーラ」シリーズと似ています。
私は善ルートのみクリアしていますので、その感想であることをご了承お願いします。
催眠で繋がるアルブと人間の歪な関係
主人公はある悪魔によりアルブ(小悪魔みたいなもの?)にされた元人間。アルブは人間に催眠(プロナント)をかけて命令できる特徴を持ちます。4姉妹と共に、財宝や魔力が眠るダンジョンを探索します。そこには多くの人間やアルブが生息しており、ダンジョンの中は賑やか。
メインシナリオは、主人公と4姉妹の関係性の変化です。序盤は主人と従者のような事務的関係ですが、善ルートで進むと主人公の心が4姉妹を大切な仲間へと認識するようになります。ただ、主人公は4姉妹を催眠により無理矢理主人と思わせているだけと思っているため、頼れる人物もおらず心がどんどんと痛んでいきます。
催眠、そして善悪の価値観が本作のテーマ。主人公と4姉妹、NPCアルブとその従者など様々な人間関係の中で、催眠のあらゆる可能性が表現されています。もちろん凌辱的且つ屈辱的な行為をさせるエロ系の催眠もあります。メインイベント、戦闘システムなどにも関連するのですが、私が興味を引いたのが、その場限りのNPCが喋る一言一言。
例えばダンジョン中に登場する様々なNPCアルブと彼・彼女に催眠で従う従者。自分好みの異性を催眠で操って使役している欲望に忠実なアルブもいれば、主(アルブ)が死亡後、自分を操る催眠からは解放されたはずなのに主のことを想って泣く人間もいます。
また、主人公の心は、催眠によって仲間の意に反する行動を命令するかどうか、NPCとの会話で選択肢をどう選ぶか、催眠によってNPCを凌辱したり物を盗むかどうかなどで善悪に揺れ動きます。エンディングまで影響する大事な部分なのですが、これにも考えさせられる選択肢が出てくることがあります。主人公の選択によってNPCの運命は大きく変化し、例えば怪我している相手に「薬をあげる」とお礼にアイテムが貰えますが、「殺して道具を奪う」でより良いアイテムを入手可能。だけどNPCは二度と登場せず、後味の悪さに加えて心が悪に傾きます。
熱い戦闘イベントとプレイを続けたくなる革新的なハクスラ
基本的なシステムは体験版の感想を読んでいただければわかりますが、ハクスラの楽しさが詰め込まれたゲームです。コンシューマー含めても、ここまで独創的なハクスラはあまり類を見ないでしょう。さらにシステム面以外に戦闘バランス、経験値配分などの目に見えない部分も含めて詳細に煮詰めています。
ゴリ押しで進めると、間違いなくボス戦で敗北します。ですが、武器生成のための素材集めやお宝ダンジョンのクリア、各階のマップ100%達成、フロアキーパー撃破、スキル習得などのやり込み要素を平行的に進めていくと自然とレベルが上昇し、ボスと適正レベルで戦えます。スキル選択やボスの攻撃に合わせた属性・状態異常防御の装備など力押しで勝てるボス戦は少ないのですが、それでも理不尽と思えるボスはおらず、理詰めで戦略を練ると勝利できるバランスでした。
そのため、サクサク進むエロRPGがプレイしたい層にはとても勧められるゲームではありませんが、各階層でできることをこなすと適正レベルになるデザインはハクスラとしてとても優秀で、チマチマとレベルを上げながらじっくりプレイしたい方には自信を持って面白いと言えるゲームです。
ダンジョン探索目的の一つは催眠のための魔力集め。魔力が貯まると命令を行えますが、善ルートはエロに関係ない内容ばかり。だけど彼女達の普段は見えない一面が見えます。「抱きしめて」で包容力を見せてくれる人がいれば、「一発芸」で他姉妹の真似をして怒られたりと、催眠をかけてるはずですが、微笑ましい内容や結果になります。その集大成はデート。イリト(水色髪の子でメインヒロイン)とはよい雰囲気になりますが、他の姉妹とも2人きりだと、ちょっと甘えて頼ってと可愛らしい一面をたっぷり見せてくれます。すごい健全だけど微笑ましいデートです。
悪ルートは、深くまではプレイしていませんが、催眠によって強制的に身体を開かせたり、フェラを強制するような催眠をかけます。主に喜んで身体を差し出し、自身も気持ちよく感じます。心の奥底が一瞬だけ出てきて一瞬だけ涙を流すなど悲壮な演出もあり、表面上は喜んで身体を差し出しているのに無理矢理抱いているのだという背徳感を感じる演出が上手だなと感じました。
そして、本作は特定のイベント戦闘がとても熱いゲームです。上記で催眠の歪さなど本作のテーマをいくつか取り上げましたが、そのテーマの作中キャラなりの葛藤は、イベント戦闘で大部分で解決します。敗北イベントや特定のスキル利用で敵にダメージを与えるなど演出とプレイヤーの行動を誘導することによりシナリオが進むため、この種の戦闘はいつも高揚感と共に心を揺さぶる戦闘になります。
また、特定の戦闘は敗北エロあり。催眠系もありますが、どちらかと言えば魔物達の集団に輪姦されるような定番の凌辱が中心。なお、この種のイベントは1VS1も多く彼女達が育っていないと厳しい戦闘に。レイプ系が発生すると主人公が関わっていなくても善ルートフラグが折れてしまうので、戦闘中は緊張します。
プレイ時間は1周目23時間かかりました。2周目以降はレベルを引き継いだ通常モードと敵や装備品が強化されるナイトメアモードが解放されます。
なお、2作目「監獄島のユミル」では神官のセラフィナが大きく関わり、エンディングでも1作目主人公や他の姉妹との軽いやりとりがあります。ダンジョン・戦闘システムなどのやり込み要素は本作と比べると平凡ですが、なんとなく感じる歪な関係や感動系シナリオは健在ですので興味があればこちらもどうぞ。
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