ランジェリカ Vol.1 〜パンティーの冒険〜 (製品版)
*この感想は [さたける]さんに書いて頂きました。
昔ながらの絵柄でエロRPGを開発するサークルさんは、戦闘敗北エロにこだわる「WAX-G2」さん、過去に開発したDate98作品のリメイク作にネトラレアレンジを加えてリリースしている「・工房」さんなどがありますが、新たに1サークルがエロRPG界に参入しました。
今は懐かしきテックウィンがコンテストパークを開いていた時代に金賞を受賞した「ウェディングドレスファイター」の作者さん「わんべえ」さんのアダルト名義サークル「もうダメ本舗」です。かつて80年代後半から90年代前半にかけて「あきたに まさみ」名義の漫画をマーガレットやぴょんぴょんなど商業少女漫画雑誌で掲載していました。
本作も流行にとらわれず当時の絵柄を再現しており、懐かしさや昔ながらの少女漫画らしいCGを描いています。
フリゲ時代のノリにお色気が加わった問題作
第一弾となる本作はウディタ製のコミカル、お色気満載な短編RPGです。村娘のパンティーがランジェリカ城の騎士になるため試験を受けにいく話。パンティちゃんは名前に反して剣の腕も確かなので、普通なら真っ直ぐ城に行き試験を受けるだけの簡単な作業。ところが冒険の序盤で身包みを剥がされ、全裸で旅をすることに。全裸で街に入ると淫行罪で牢屋行きになってしまいます。うぬぬ……。
……ということで周り道しながら服を探して正々堂々と城に入る方法を探すお馬鹿なノリのゲームです。タイトルにVol.1と書かれているとおり、シリーズ序章のような位置付けで続編がありそうな終わり方でした。
この馬鹿っぽさはまず人物名に出ており、主人公がパンティ、他にもオナペット=ブルマー、ノーブラなど女性下着や淫語ばかり。国の名前もランジェリカ。
そんなノリのゲームなので主人公がおバカです。憎めない愛嬌のある女の子です。商人に会えば騙されるし、自分より天然っぽい子にはいたずらするし。
オープニング終了時は全裸です。靴がないから歩行が遅いし、武器がないからエンカウントしても魔物に勝てない、そして鎧や下着がないから街に入ることができない……。そんな何もない状態から本編が始まります。
ゲームは奇想天外と言えばいいのかな。何が起こるかわからないドキドキさがあります。例えば本編開始時は靴がないので動きが遅くプレイヤーもイライラ。そのため、まず靴を探すことになりますが、店で購入してもよし、宝箱から見つけてもよしと入手手段がいくつかあります。そして入手するもう一つの手段が「おいはぎ」。……そう、おいはぎです。
序盤、全裸になって森の看板を読むと「おいはぎ出現注意」。普通のRPGならここで「おいはぎを倒す」イベントになるのですが、本作の主人公は一枚上手「やってみるか」。そして森にくる人物を追剥することに。
ここで村娘に遭遇するとお金や靴など何か盗むことができます。ただし、村娘が助けを呼んで森には大量の男連中が……。この時に男シンボルに当たってしまうと牢獄バッドに……。お金を盗んだ場合、動きが遅いので逃げるのに苦労するけど、後が楽、靴だと逃げやすいなど選ぶ選択肢により状況が変化します。
村娘の他にはハーピーが出てくることも。この時点だと武器がないので簡単に負けてしまうので逃げるが勝ち。逃げると何故か仲間になって召喚で呼べるようになります。
このようにして、ドタバタしながら各種装備を再び入手するゲームです(全部入手したら城で新たなイベントがあるので、その時点で終了ではありません)。
明らかに地雷な選択肢と予想もつかないマルチエンドの合わせ技
本作の面白さ……言い換えると馬鹿さ加減を上昇させているのは、ろくでもない結果しか想像できないおかしな選択肢と、変な行動で容赦無く発生するバッドエンディングです。騎士の条件は「処女」、つまり処女を失う行動を取ることでバッドエンドになります。バッドでも悲惨な結末から幸せそうなものまで内容は様々。
そして、このバッドに至る過程が面白かったり。例えば序盤、ゴブリンに犯されそうになるのですが、ここの選択肢が「剣を振る」「腰を振る」「ネタを振る」の3種。明らかに正解は分かるのですが、間違いの選択肢が気になってしまう……そんな選択肢が目白押しです。
この場合は「腰を振る」と気持ち良く感じてセックスをしてしまいますし、「ネタを振る」と漫才をかました後にオチの直後に犯されて結局同じ結末を迎えてしまいます。正解は「剣を振る」ですが、するとチンポが切れたら困るとビビって逃げてしまうゴブリンに愛嬌を感じてしまいます。
また、短編RPGながら立ち絵のあるサブキャラも沢山います。何故か体操服が騎士服なオナペット、泉を管理している精霊、そして女騎士など。ただ、ほとんどのキャラがほんの少し登場するだけで、すぐお役御免とばかりにいなくなるのは残念でした。キャラが立っていて主人公との会話が面白いのでもっと出番があってもいいかなと。(続編で出す予定なのかな?)
バッドエンドですが、このサブキャラ関連で明らかに変な選択をすると直行という流れが多かったかなと思います。例えば商人さんが「いい仕事を紹介してあげようか?」など。バッド直行に限らず、このような選択肢は定期的に発生してゲームに笑いをもたらします。また、エンドのノリもベストエンド以外はこのおバカな演出のノリなので、悲壮感がある場合も何故かほんわか。
そんな18禁があってもいいじゃない?18禁CG+15禁テキスト
そして本ゲームは18禁ですのでエロ・非エロを含めCGはバシバシと出てきます。エロ系のCGも昔風の漫画に登場しそうな、同人っぽさがあるイラストキャラが脱いだり犯されたり。本編は裸を見られたりなどよくてセクハラレベルですが、バッドエンドではそんな主人公がレイプされたり娼館に売り飛ばされたり、館で監禁凌辱されたりと、けっこうエグい目にあいます。
でも、実は「お色気」レベルのエロを目指して作られています。そのためエロシーンのテキストはほぼカット(あっても3,4クリック程度)です。これは作者の手抜きでは無く、作品の意図がこのようになっています。そのためエグい目にあってるCGは本気で作られているけど、ちょっとコミカル調のテキストなのであまり悲壮感がなかったり、そしてちょっと笑ってしまうようなノリになっています。「エロで笑いとばそう」という勢いを感じます。
そして、それでいながらシチュは放尿・スカトロ・オナニーなど、マニアックな内容も。
懐かしいなと思ったのですが、おそらくおっぱい解禁・18歳以上推奨指定してた頃のセガサターンやPCエンジンのノリを再現しているからだと思います。ハードの制限もあって胸は出すけどセックス描写ができなかったアレです。
エロが無くとも、ノリは面白いし、この路線を貫いてくれるサークルさんが増えてくれると嬉しいな……と思ってしまう内容でした。ただ、本作の場合は製品として見るに判断が難しいゲームです。おそらくフリゲなら面白いと褒められるゲームなのですが、一つ一つのイベントが簡単に終わってしまい、分量が少ないため、物足りなさがあります。約40分でクリアしました。
その一方で、基本CG枚数はおそらく20枚前後(エロ6+ヌード系が少々+非エロ)ですがイベントを進めるとすぐに新しいCGが見れて、CGじゃなくても「そのイベントのためだけに作られた立ち絵」も用意して……と軽快さと楽しさが混在したゲームで、プレイ中は先が気になるゲームでした。エロの実用性、ボリュームなどで万人に勧められるゲームではありませんが、エロを含んたノリが楽しく、「こんな18禁RPGがあってもいいんじゃない?」と思えるようなゲームです。
ディスカッション
コメント一覧
なんだかこの80年代半ば〜90年代頭あたりのノリと絵柄が大好物なのですが…!
しかし古めのゲームシステムやゲームバランスが好きです、と言うのはまだ理解してもらえる事も多いのですが、古めの絵柄が好きです、と言うのはなかなか賛同を得られることが少なくて悲しい…。
例えがエロゲでなくて恐縮ですが、フリー格ゲーの「ヴァンガードプリンセス」の絵柄も好きなのですが、それよりも「shadow arts」の絵柄の方が好みなんですよ!と力説しても微妙に理解してもらえなかったり。
あ、一応懐古主義という訳ではなく、最近の流行の絵柄も好きなのですけどね、80年代半ばの流行の絵柄の方がより好きだというだけで。この頃の絵柄もう一度流行らないかなあ…。
私も懐古主義ではないけど、この絵柄も好き、流行物も好きなので気持ちは分かります。
表現が難しいけど、昔ながらというよりは、流行にとらわれず好きな絵柄を貫いている……と考えた方がいいかもしれませんね。(つま奇抜なCGを描く方と同じ、流行とは外れるけど個性的なCG)
shadow artsの絵柄、素朴な感じがして可愛いですよね。
ちなみに古めのシステムやバランスは今になると私にとってはちょっと辛いかも。どちらかと言えば過去の人気ゲームの面白さや概念、思想みたいなのを抽出して最新システムに取り入れたゲームが好きだったりします。