ティアラ☆ファンタジア (製品版)

ACT,R18製品版の感想,ライター:エローン大君

*この感想は [エローン大君]さんに書いて頂きました。

力作なヨガチカ系アクションゲーム 今回はエロRPG要素をミックスだ!

タイトル画面
▲復讐&救出劇ですが、戦う相手は主に己(排泄&性欲)

ぴんくばなな・ソフトさんの「ティアラ☆ファンタジア」の感想をお送り致します。
山奥で暮らしていた美少女が、魔物達に殺された姉の仇討ちと、誘拐された母の救出のため、旅に出る横スクロールアクションゲーム。
横スクロールACTとしては格闘メインのオードソックスな作りながら、「尿意」「性欲」と言った独自のゲージが登場。
時間と共にゲージは進んでいき、排泄障害になったり欲求障害になったり、「リアルタイムに狂い堕ちていく」ヒロインの姿が描かれるのが特徴です。
トイレをするだけでもお金が必要で、普通にプレイすれば金欠は確定。そこで悪魔のように脳が囁く「街にある風俗で稼げばいいじゃん」の声……。
敗北すればもちろん魔物達による陵辱。高いクオリティのドット絵と、エロACTにも関わらず盛り込まれたエロRPG風システムが魅力的な一作となっております。
感想を書くに当たりまして、真っ先に書いておきますと、このサークルさんは「ヨガチカ系」であります(詳しいことは検索だ)。
筆者(エローン大君)にとっても、割と因縁深い系列のサークルさん。
欠点が目立つのに何故か中毒性がある「圧倒的なB級感」が特徴的で、今回はどんな作品だろうかとワクワク半分ドキドキ半分でプレイさせていただきました。
可能な限り公平な観点で書かせていただきますので、お読みいただければ幸いです。

生理現象が大体の死因!?ティアラ☆ファンタジアは「金」が命

本作は主人公であるティアラが、パンチやキックを使って、モンスター達を倒していくアクションゲーム。
全8面(うち1面はラスボス戦)で、難易度は「VERY EASY」「EASY」「NORMAL」の3種類を用意。何度でも楽しめるようになっております。
……初期難易度である「NORMAL」でクリアするのは、相当な難易度ではありますが。

アクションシーン(ゲージ拡大)
▲8つのゲージがあるが、基本的には「尿意」と「性欲」に気を付ければいい

特徴的なシステムとしては、やはり「尿意」「便意」「性欲」のゲージを始めとした特殊システム。
これらがリアルタイムに増加していき、放置していると「排泄障害」や「欲求障害」となり、やがて「精神崩壊」ゲージが進行。
満タンまで溜まると、ティアラが精神崩壊してしまいゲームオーバーとなります。
また、モンスターに犯されると「妊娠」ゲージも増加。こちらも満タンになるとモンスターを出産しゲームオーバー。
当たり前ですが体力が尽きてもゲームオーバー、とゲームオーバーのオンパレードのようなゲームとなっております。

アクションパート 街パート
▲アクションパートでのスピードクリアと、街パートでのお金管理を両立させるべし!
宿屋 スキル購入
▲街中での演出もなかなかに気分を盛り立ててくれる

基本的に、アクションパートと街パートの2部構成になっており、アクションパートで受けたダメージ等を街パートで回復。
もしくは、主人公のスキル購入を行い、ゲームクリアを目指していくという形になります。
本作で一番大事なのは「お金」。トイレすらお金を払わないと行けない辛い世界観の中、ガマンして排泄障害を食らっていてはたまりません。
実はアクションパートのノーダメージクリアは意外と余裕。それ以上に「精神崩壊」などのゲージ進行が非常に厄介なゲームです。
そのため、「街パートで如何にお金を使うか」こそが本作のキーとなります。
お金は敵を倒す他、街で売春することでも入手可能。
しかし、どちらの方法でもそれなりのデメリットが存在するため、「何を捨て何を取るか」の迅速な選択が常に求められます。
排泄障害を避けたりスキルを入手するため、お金を稼ぎに売春にいけば「淫乱」ゲージが急上昇。
かと言って、欲求障害による精神崩壊を避けるため、トイレを我慢し続けていても今度は排泄障害で精神崩壊が始まるジレンマ。
その上、街パート中でも容赦なく尿意や性欲は溜まっていくため、数秒の判断の迷いがゲームオーバーを招くことも!?

アクションゲームとして見て、ティアラ☆ファンタジアは面白い?

さて、概要を説明したところで、「ティアラ☆ファンタジアが面白いか?」と言う疑問に答えますと、「意外と面白い」です。
普通のアクションゲームだと、「自分から積極的に行動を起こして敵を倒す」のがメインですが、本作には「攻撃中は全く動けない」という格ゲーのような挙動をします。
メインで使える攻撃は出が遅いため、「相手の動作パターンを読み、攻撃を先出しする」という戦い方が必要です。

弱キック 大パンチ(対空) ジャンプキック
▲様々な種類の攻撃があるぞ!敵の動きを読んで使い分けるのだ!

気になる操作方法は、1軸3ボタンの「方向キー+パンチ+キック+ジャンプ」。
・「方向キーニュートラル+攻撃」で素早い弱攻撃
・「→+攻撃」ならリーチ・速さ共に優れた中攻撃
・「↑+攻撃」なら出が遅いものの高威力の大攻撃
これにジャンプ攻撃を合わせた、8種類の格闘技で戦えるゲームとなっております。
前述した通り、ゲージ絡みでもゲームオーバーがある上、やたらと上昇速度も早いため、「如何に敵を早く倒すか」が求められます。
しかし、ゲージはリアルタイムで上昇していくのに、求められる戦闘スタイルは「待ち」。
高威力の大攻撃をメインにしていきたいところですが、若干攻撃範囲に癖があり、敵によっては当たらないことも。
大体の状況で使える弱、メインとして中を使いつつ、大攻撃を当てるタイミングを見計らうのがすごく楽しいです。

弱パンチ 中キック
▲正直この状態になると、威力が稼げずジリ貧になりがち。次の街まで行けたら儲けもんレベル。

しかし、主人公の体力(最大12)が5を下回ると、主人公が弱体化。
頼りない弱攻撃・中攻撃しか出せなくなるため、一気に攻略が怪しくなります(ちなみに本作にはコンティニュー機能はありません)。
また、弱体化状態ではモンスターに犯される上、ラスボス戦に至っては一回犯されるだけで即ゲームオーバー。
このあたりの、難易度バランスの理不尽さは「ヨガチカ系ACT」らしい部分だと言えましょう。
後述しますが、ヨガチカ系ACT特有の「ゲームを恐ろしいまでにヌルくする」救済措置も用意されておりますので、クリアは誰でも出来ると思われます。
サンプル画像の静止画では分からない点として、「露骨なまでにACT部分のドットアニメが少ない」ことが挙げられます。
本作には、アクション絡みにも「攻撃力」「移動速度」「跳躍力」の能力値が用意されていて、ゲーム初期段階では恐ろしく鈍重な動きをします(ちなみに面が進む毎に成長)。
最初に触ったときは「これはアレなゲームなのでは?」と思いましたが、「攻撃アニメに中割りが無い」ことと「鈍重な動き」が合わさって、何故か「一撃の威力の重さが演出される」という化学反応が起こっていたりします。
攻撃アニメの中割りに関しては正直手抜きくさい(攻撃の動作が鈍重故に目立っている)のですが、「敵の動きを予測して先出しする」というゲームに見事なまでにマッチして楽しいのが実情。
独特な操作感・どう見ても手抜きにしか感じないドットアニメ枚数にも関わらず、面白い方向にまとまっているのはすごいと思います。
ただ、難易度バランスがぶっ壊れているので、「永遠のB級」的な扱いは避けられない。

フロントビューステージ
▲左右移動してパンチを適当に連打するだけでクリアできる(※それ以外の行動にリスクがある)、退屈レベルが急上昇。

ちなみに後半面では、「フロントビュー」ステージも登場するのですが、こちらは適当にパンチしているだけでクリア出来る上に、妙に長く単調。
正直フロントビューステージは全く面白くなく、尺を稼いで「時間経過でのゲージ増加・ゲームオーバー」を狙っているのが見え見えな感じで、無かった方が評価は上がったんじゃないかなと思いました。
VERY EASYでも通しクリアが難しい上、コンティニューが無い本作。
クリアは不可能ではないかと思われがちですが、ヨガチカ製ACT恒例「隠しコマンド」でステージセレクトが出来るので大丈夫。
ステージセレクトどころか、各種パラメータの増減まで出来てしまいます。
ゲームバランスをユーザに決めさせる(悪く言うと投げる)という斬新なアプローチですが、これはこれで変な遊び方も出来るので楽しいという。
ティアラ☆ファンタジアという名前の遊び場を用意して、「遊び方は君達で決めていいよ」みたいな感じ。
「隠しコマンドでの難易度調整」自体はアリなのですが、隠しコマンド使用を前提にゲームを作られても困るので、そこあたりの手抜きは避けていただきたいところ。

オプション画面
▲難易度設定の他、ゲージ絡みでのゲームオーバーを無くし「純粋なACT」として楽しめる配慮も

ヨガチカ系ACTの過去作では、敵の無限沸き量を変えることで「実質運ゲー」なレベルまでにゲームバランスをぶっ壊していたことを考えると、かなりの進歩をしていると感じました。
結局は、特殊ゲージ絡みでゲームバランスはぶっ壊れているのですが、「普通のACTゲームとして遊ぶ道」もオプション画面で示しており、
「バランスをぶっ壊しつつも、プレイヤーのために配慮はする」
という、いかにもヨガチカ系ACTらしいアプローチを取っております。
狙ってやっているのか、天然でやっているのか分からないのが怖い。

シュールすぎるツッコミどころ満載な演出達

と、真面目に語ってまいりましたがもう限界だ。ツッコませてくれ。
第一に、生理現象ゲージの増加速度のおかしさと解消法です。
「ティアラは年頃の女性なので、性欲がものすごく強い」と説明されていますが、1ステージも持たないくらいの速度で欲求ゲージがたまっていきます。
それと同レベルで上がっていくのが、「小便」ゲージでこの2つのゲージ管理が、ゲームクリアの鍵と言っても過言では無いでしょう。
本当にえげつない上昇速度をする上、ティアラは「外でオナニーはしても、外では排泄は絶対しない」ので、常にヒロインの排泄障害に気を配りながらゲームをすることになります。

有料トイレ
▲有料トイレも有料トイレで、「これで金を取って良いのか」というレベルでプライバシーが無い。

野外でのお花摘みをしてくれない以上、街でトイレをしようとすると「有料トイレ」という施設があり、容赦なく貯めた金をむしり取っていきます。
街の宿に泊まれば、性欲・排泄絡みのゲージがリセットされますが高額。
でも、有料トイレだけで済ませると、欲求がたまって勝手に淫乱になっていくティアラ。
ティアラの性欲もおかしいし、排泄に対して厳しい世の中もおかしい。ウンコしたらはやし立てられる小学校か。
ちなみに本作のOPは、何と「曲付き」。
姉が死んだ後の悲しい心情が綴られるような良曲なのですが、

OP
▲肝心なところで耐えきれなくなるティアラ

よりによってタイトルロゴが出てくるところで、性欲が抑えきれなくなったのかオナニーをかまします。
センチメンタルな歌が流れる中、突然オナニーシーンをぶち込むあたりが、ヨガチカ系ACTらしくて個人的に好きです。
旧作のドットHアニメ閲覧シーンで、ブロック崩しとばかりにドットHアニメをピョンピョンと弾ませて見る者を困惑させただけのことはある。
ちなみに、「一度オナニーをし始めると目の前に敵が来てもやめられない」「精神崩壊が進むと戦闘中に排泄したり、操作が不安定になったりする」など、斬新な描写も多いです。
主人公が堕ちる描写をするためなら、どんな演出でもやってみせるという根性が見え隠れします。

注力したのはドットHアニメ・ゲームオーバーCGではなく、実はボイス!?なHシーン

オナニー
▲ゲーム中で任意に出来るオナニー(※ただしデメリットあり)

つまるところ、本作のエロシーンの見どころは、「ティアラがだんだんと壊れていく様」にあります。
レオタード風の戦闘コスチューム+ニーハイブーツを身に付けた清純な少女が、あらぬ痴態を見せつける姿は非常にグッド。
前述した「技の重み表現」(恐らく偶然)による強さアピールが出来ていることも相まって、興奮度はかなりアップしております。
面クリアごとに「1年前の思い出」など、幸せだった頃の過去話を挟んで悲劇性を演出しているのも好印象。
そもそも、本作の難易度が高くなった一因としては、本作品で描きたかったのが「リアルタイムで堕ちていくヒロインの姿」だったことに他なりません。
ゲームオーバーCG、ドットもHアニメに関しては良質かつ量もあるのですが、注目したいのは「ボイス」。
本作は、「デモシーンにおけるティアラの台詞がフルボイス」なだけでもリッチですが、アクションシーン・エロシーンともに喋りまくるティアラにも要注目なのです。

精神崩壊
▲明らかに幻覚・幻聴を見ていて心が刺さる精神崩壊ボイス。ゾクッとする瞬間だ。

例えば、尿意ゲージが溜まった場合は「早くトイレに行きたい」という旨の話をしますし、性欲が溜まった時は「戦っていてそんな場合ではないのに」と戸惑いを浮かべるティアラの様子が窺えます。
各ゲームオーバーCG(最後に犯された敵によって変わる)でのボイスも非常に多彩。
ただの喘ぎ声だけでなく、「熱い!熱い!」と燃える手で掴まれる苦痛を訴えたり、「お母さん……お姉ちゃん……助けて」と逃げられない絶望から今はいない人達に助けを求めたり。
精神崩壊ゲームオーバーでの「本当にぶっ壊れた感じ」の台詞・演技が素晴らしく、ACTものとは思えない良演出が気持ちを盛り上げます。

掴まりドットHアニメ 掴まり陵辱
▲基本的にモンスターによる異種姦なものの、売春CG(2種類)ではコスプレ・輪姦などもあり。

視覚的な部分だと、敵に犯される際のドットHアニメ・ゲームオーバーCG(+売春時CG)もなかなかの見物。
純粋に陵辱系のものもあれば、焼ける肌などリョナっぽい描写(ライト)もあり、なかなかに楽しめます。
CGは基本CGが20枚の、差分が18枚で計38枚。これにドットHアニメ28種が加わる大ボリューム。
CGの見せ方が「縦長のCGを延々と上下にスクロール」という感じなので、「おっぱいを見たいのに注視出来ない」という弱点こそあるものの、楽しめる感じ。
基本CGごとにボイスが全部違うため、妙に臨場感がある点にものすごく拘りを感じられます。

ステータス(拡大)
▲犯された回数や売春回数などは、数値で見ることが出来るのも良い

売春回数などが数値で見られる、というのもエロACTとしては興味深いところ。
他ジャンルのエロ描写システムを取り込みつつ、「徐々に堕ちていく」というコンセプトを演出するためにきちんと利用できているのはすごいと思います。
ちなみに、回想モードは初期段階で全開放されておりますので、気軽に楽しめることが出来ますよ。

拘りは十分に感じられる素晴らしい「B級」。問題はゲームバランスとコストパフォーマンスだ

回想画面一覧
▲回想画面を見て分かる通り、コンテンツ量は非常に多い。ただ「作風に性的嗜好がハマらなかった」時の金銭ダメージが恐ろしくデカい。

というわけで、「ティアラ☆ファンタジア」の感想でございました。
独自システムが興味深い上、主にボイス方面での演出が素晴らしい一作でありました。
ただ、ゲームバランスを「隠しコマンド」という形でユーザにぶん投げたりする手抜きっぷりは、よくも悪くもヨガチカ系ACT。
価格も同人としてはハイエンドレベルで、「個人的には面白い」ゲームのプレイ感覚もハッキリ言って「癖が強い」ものです。
基本CGの量は多いですしボイスに力が入っているものの、結局はプレイヤーのツボにハマらなければ抜けないわけで、その点で「コスパの善し悪しは賛否分かれそう」という印象。
「私的にはすごく良かったけれど、買って駄目だったとしても、ごめんなさいとしか言えない」
そんなゲームでありますので、とりあえずは体験版をプレイして雰囲気を掴むところから遊んでみてはいかがでしょうか。
……ヨガチカ系ACTあるあるではありますが、通しでのクリアはいくらアクションゲームが上手かろうがキツいので、隠しコマンドを使う前提でプレイした方が気を楽にして楽しめると思いますよ。