「同人ゲームの寿命は短くて、僅か1ヶ月もすれば、急速に記憶の波に飲まれていく。
でもそれで本当に良いのか?
例えば人気サークルさんの最新作が出た時に、過去作の、”今見ても素晴らしい所”や”今に至る流れ”を改めて語れば、また違った魅力を掘り出せるのでは?」
というご意見をメルマガにて頂きましたので、今回はサークル[アーリマン]さんの4作品について、特別に語ってみたいと思います。

倒忍伝 〜淫界のくノ一〜


小説家なんかでもその作家の本当に言いたいことが出るのは一作目、あるいは雑味が抜ける二作目……
なんて言われますが、明らかに「これは何かあるサークルさんだ!」と目を見開かれたのが、初作[倒忍伝〜淫界のくノ一〜]でした。

倒忍伝〜淫界のくノ一〜感想(製品版) - 111のデジ同人感想

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この作品で示された「凛々しいヒロインの快楽堕ち」が以後、綿々とサークルさんを代表するテイストとなる訳ですが
(後々仲間になる巫女さんが過去に肉体調教をされた事があり、それでも疼く肉体を堪えて戦っている……なんて、最新作[鎮魔剣風伝アオイ]をも連想させる嗜好ですね)
同時に、システムの面でも
ふとした事であっという間に囲まれ、責められる仲間を救わなければいけない、それを自動スクロール・マウス操作のアクションをツクールで表現する……という力量が示されてもいました。

実は私が現在進行系で”今でも一番気になってる”のもこの初作で、
というのも、後の[風紀剣士アサギ]にはフォロワーとなる作品が生まれたのですが
(パーティーで犯され、拘束されるという意味では[SNEAK IN DESPERADA 〜殺し屋少女・敗北陵辱RPG〜][女魔王メリッサのHな冒険記〜精液を集めるエロ魔王〜]
残った主人公たちが拉致監禁された仲間を助けるという意味では[魔法少女テトラ 〜拘辱に屈した二つの花〜]かな……?)
この[倒忍伝]の一風変わったエロさや面白さ、
確かにエロを見る分にはちょっとやりにくかったり、分かりにくかったりもするのですが、その雑味の向こうに見える可能性……を、突き詰めた作品が、まだ今を持っても出てないからですね……。

(個人的にはエロ同人ゲの中でも不毛中の不毛と言われる、エロSTGに適したアイデアなんじゃないか、なんて思うのですが。)

エンジェルハント 〜天使と悪魔のエロ陥落バトル〜


そして、次なる作品は[エンジェルハント 〜天使と悪魔のエロ陥落バトル〜]。

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恐らく作者さんの作品の中では一番マイナーで、だからこそ価値が無い……なんて結論付けられそうなんですが、
この作品、変わらずツクールですが戦闘をADV形式に捉え、戦闘中のエロと物語の分岐をこなす……という事にもトライしている、これまた意欲的な作品。

この前二作は恐らくシステムの改造度で言えば、出世作となる[風紀剣士アサギ]よりも手を入れている感じで、
逆に言えば、ここで経験を積んだからこそ、思い切り次の大ヒットに繋げられたのだ、貴重な手探りだったのだ……と言えると思うんですね。

風紀剣士アサギ


そして第三作目、[風紀剣士アサギ]。

風紀剣士アサギ(製品版) - 111のデジ同人感想

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これまでは、ついシステムとヒロピン(ヒロインピンチ)の嗜好だけがギラギラ尖っていたような作品に、
かねてよりエロRPGの流れとしてあった、
戦闘中エロ、もしくは戦闘でエロ状態異常を負う、あるいは敗れた女主人公がさらわれて監禁される(監禁ルート。ただしこれまでは単独のみ)…という既に示されていた要素に、
「パーティー戦で戦闘中エロ」
「おまけに拘束などに見立てたエロ状態異常。仲間をすかさず助けなければいけない」
「救出が間に合わず、拉致されてしまったキャラを助けに行く監禁&救出パート」
という(きっとヒロピンを表現する上での)解釈が、
分かる! あるいは、そう来たか!
とばかりに、合致したのだと思います。

また、コンセプトに特化した小規模作品だった過去作に対し、遊び応えのある中長編のRPGである、そして何故かボリュームの割にめっちゃ安い……
という事もあって、後から振り返ってもヒットが頷ける、堂々たる代表作となったのでした。
(というかその分、最新作[鎮魔剣風伝アオイ]が比べられて、割を喰ってる印象もあるほど……)

鎮魔剣風伝アオイ


そして最新作の[鎮魔剣風伝アオイ]。

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これは「前作の[風紀剣士アサギ]の弱点を埋めようとした」というのが一番に来ると思うのです。
というのもアサギ、いったん戦闘で劣勢になり、ヤラレだすとかなり長引く……という、エロ的には良いのだけど、RPG的にはどうなのか……という点があったのも事実。

もっとエロく、そして前作で指摘を受けた所は改善して、テンポアップしたい……、その為にはどこを練りこめば良いのか?
まさにその点では、ちゃんと効果が示された作品になっていると思うのです。

ただそれをする為に、前作では複数いたヒロインが単独のみになり、
ゆえに監禁されてからのイベントも無い……というボリュームダウンは避けられなかった。

立ち位置的には言わばこれも、過去作に同じく「コンセプトのみのミニ作品」だったと思うのですが、かなりの数の購入者が、ただ改善された”風紀剣士アサギ2”を望んでいた。
おりしも、恐らく色々な迷いからか(そもそも予告開始も割と唐突でしたし、予告時の体験版の内容が、本登録時にはガラリと変わっていて驚いたものです)
価格が今までより高くなってしまったのも、それを期待させた。

そこが一部でミスマッチを起こしたというのはあるかなぁ……と思います。

ただこの作品の中にも、少し良く見てみると、「陵辱された過去を振り返る(初めに「リプレイ」から入る特異さ……)」
であったり、[エンジェルハント]よろしく、何か次に繋がっていきそうな布石も感じたり。


そんな作者さんの次回作ですが、[鎮魔剣風伝アオイ]に並行して、
やや地味な今の絵柄に代わり(この絵も、プレイするうちに気にならなくなる、というか、この「くっころ」感が癖になるのだけれど)
絵師さんに依頼して、新作を進められていたようで、これは再び[風紀剣士アサギ]のような……、もしかしたらそれ以上の、大メジャーな出世作になりそう?

(ただ外注となると、「あ、ここにエロあった方が良いな、追加しとくか」みたいなある意味で採算度外視のこだわりがやりにくくなり、そこで躓くサークルさんも居るので、そこに一抹の不安が。
それと、もっと元々の絵柄とは180°違う絵柄の方が面白かったかな? と個人的には思ったり。
まぁさすがにそれだと、毛色が違う作品になり過ぎるか……)

またそのようなメジャー嗜好の傍ら、
[倒忍伝][エンジェルハント]のような、小規模なコンセプト作品をご自身の絵柄でやられるのも、発展的で面白いかな……なんて予想してます。
(単純に大変ですし、その際には”そういう立ち位置の作品である”周知が必要になりそうですが)


当面は[鎮魔剣風伝アオイ]のアップデートに従事されるようですが(もしかしたらこのアプデで新しい要素、意味が加わるのかも)、
まさに山場を迎えたサークルさんとして、とても興味深く見守っております。