夢の魔物とお伽の騎士団 (体験版)

SRPG,R18BF(バトルファック)

DL先:http://kokoron.madoka.org/mirror/D/sqdt.html
ツクール製エロRPGとして初のヒット作であり、古くはツク2000時代から続くBF(バトルファック)の原初的作品。
DLエロ同人という歴史を語るなら、間違いなく名前を残すだろう[サキュバスクエスト]2作ですが、その最新作がSRPGであり(ドメインが消失した事から)開発が頓挫してしまったらしい…という事は、風の噂で耳にしていました。
自分もエロSRPGを出したりしましたので「いやぁ、サキュバスクエストの人が挑む18禁SRPGのカタチを見てみたかった…。でもサイトが消えちゃったからなー、もう出来ないもんなー」などとフカしていた所、「今でもここで体験版落とせますよ」と教えて頂いたのが先日。
状況から考えれば完成は絶望的…なのでしょうが、やはり一つの歴史として、爪痕として、これはやっておかねばならないなと…
という訳で[夢の魔物とお伽の騎士団]体験版、今更ながらやってみました。

歴史を変えたかも知れない未完。エロRPGバブル以前の、まさにオーパーツ…

まず驚かされるのが、とてもオシャレ感あるUI、そしてそこに目が奪われがちですが、裏でそれを支えてるスクリプト技術。
群を抜いている。さすが、という他無い。
(さらっとテキストが縦並びなんですが、これでさえ他のツクール系では殆ど見ない。
現在のツクール作品がスクリプト素材を使っているのに対し、恐らくほとんど独自で開発してるからでしょうが…)

更に驚きなのが、ファイルの開発月日を見たら2009年の8月。
大体エロRPGバブルとなったのが2010年頃からで、もう皆その頃はヨチヨチ歩きだった訳です。
そんな頃から、現在でさえ見ないほどのクオリティと、SRPGと…。
…例えばPS3でさっくり作られた作品と、SFCの名作とを比べた時、スペックで言えばお話にならないハズなのに、なぜか後者の方が面白く感じるのを…つまり一言で”魂が入ってるから”で説明する時がありますが、そんな感じ。
5年以上経てども、今の作品に競り合う…そんな魂を感じた次第でした。

タクティカルSRPG

正面から攻撃すればかなりの確率で回避されたり、近接ユニットはカウンターがほぼ標準だったり。一筋縄ではいかぬのだ

SRPGとしては今でもほとんど見かける事がない、タクティクス型となっています。
つまり敵・味方陣営でターンが交互に移るのではなく、TPが溜まった順から行動。
更に各ユニットには、HAPPYやRELAXといった四つの感情があり、これらの上下が色々な状況に影響します。
…というと難しそうですが、そこをきちんと誘導し、説明してくれるチュートリアル、そして行動順が一目で分かるUI(と技術)にはやはり脱帽。

カットインだけじゃなく、歩行グラも動く。挙動がなにか気持ちよかったりする…

更に「味方に水魔法をかけて濡らし、敵の炎魔法に対する耐性を付ける」なんていう、状態を使った駆け引きなども用意されている様子。
(細かいですが、マップもターン経過と共に、雨が降り始める…)
ひとえに底の浅いSRPGは慣れてくると、固まって戦えば有利だとか、単騎有利だとか…あまり頭を使わなくなって、力押しでダラダラ倒しちゃう…みたいな事になりがちですが、それを許さぬ逐一の状況変化と戦略なのだな…と。
(事実、体験版は3面程度ですが相当難しく感じました…)

 舞台劇を意識した演出も独特。オシャレ!

ステージが終わればインターミッションにて、武器やスキルやアイテム購入、更にユニットのアビリティLVやどんなアイテムを持たせるか、職業チェンジ…
まで盛り込まれている気配で、何度も苦労しては各ユニットごとの運用を考えて強くする、という過程が楽しめそうでした。

気になるH要素ですが、主人公は男性夢魔とタッグを組んだお姫様(らしい)となっており、SRPG中に隣接した敵を、夢に誘うコマンドが可能。
この時に大切なのが先述のHAPPYやRELAXといった値、あとは敵の残りHP。
これらで成功確率が決まると。

 まめにクールダウンして、興奮を落ち着かせるのが大事。

無事、敵を夢に誘えればBF(バトルファック)開始。
自分の興奮度を気にしつつキスで雰囲気を盛り上げたり、相手の弱い部位を責めたり。
服を脱がせれば挿入が可能、挿入中にグライドすれば相手と自分にも大ダメージ、代わりに局所を弄る前戯はできない…など、状況を反映してコマンドが増えたり減ったりのイカせ合いとなります。
自分が射精する前に相手をイカせられれば、残りHPがどれだけあろうと、そのユニットは一撃で消滅という強力さ。
心なし厄介な敵ユニットほどBFに弱い感じもしますので、まさに使い方を考えて…という。
(ちなみに本作に出てくる兵士は、ほとんどが女の子の様子)

誘惑してくるお姉さん達はいやらしくも淫靡で良い…(音楽とかも良い)

味方ユニットは誰でもこの誘惑コマンドを使えますが、例えば僧侶が行ったらBF中に回復スキルが使える…など、ユニットにより若干の能力サポートがあるだとか、
BFで何度も戦ううち、新しいHコマンドを覚えていく…など、SRPG的な楽しさと、Hさを両立させてもいます。
(ただ誘惑が失敗すると、本当にただミスで終わるので、一撃死もある成功との落差が大きすぎる気も…。
勢い、「行動前にセーブして、成功するまでリトライしまくり」になりそうな気配はしたか)
あとはいわゆるノベル型の、”腰を据えて見るHシーン”が、マップのインターミッションで就寝した時や、クリアステージを調べた時に予定されていた様子。
内容を見てみたら、まさに今を持ってもDLエロ同人未踏の領域で、想像以上に驚かされました。
体験版中の"2009/12月に本上映"という言葉が今では悲しい…。
エロRPGバブル直前のその頃、もし順当に完成・発売されていたら、歴史が少し変わっていたのでは…と何か胸に響く物があります。