橙天の銀翼 〜スカイランドの魔女と巫女〜 (体験版)
2017/05/30予告時の感想です
異世界に転生したのは……旧日本軍人……!?
過去作の第二次世界大戦SRPGや、捕虜調教おさわりと比べると、何となくゲーム全体図のイメージしにくさがありますが、分かりやすくまとめれば、昨今流行りの異世界転生モノ。
ただしワープしたのは現代の高校生とかでは無く、終戦間際、まさに神風特攻を掛けんとしていた飛行機乗りという所がいかにもミリタリーの香り。
ここが英霊の世界かと訝しんでいた彼でしたが、
次々とこの世界の”ルール”を目にし、どうやらここは魔法使いの世界のようだ、ただ最近は軍事的な観点から「飛行機」を異世界より召喚術で呼び寄せていること、
今回はどうもパイロットも込みで来てしまった様だ……などの事情が飲み込んでいけます。
帰る方法は無いのかなぁと思案していた所、時折しも魔法の国を覆う悪性のガスが発生。
原因究明に付き合わされ、またこの機に乗じて侵攻を企む他国の思惑なども見え隠れ。
いつの間にかすっかり頼られた主人公は、何かと御用を承っては広めのフィールドをあちこちと旅、その過程でこの世界の色んな景色を見つつ、ヒロイン達との信頼度も上げるぞ……といった流れのRPGとなっています。
異世界ワープモノの「お約束」をもっと見たかった……!
ただいかにもキャッチーになりそうな要素を打ち出しながらも、プレイしてみると正直、意外に興味がソソられない……微妙に歯車がズレてる感じ、が気になったかも。
例えば魔法世界に軍人がやって来た、というこの異世界要素で期待するのは、
やっぱり日本男児的な死生観やらド根性で、ファンタジー世界の人間を感嘆せしめる……という、直球ではあるけど心躍るのを抑えられない部分かと思うんですが、
どっちかというと、舞台の説明も兼ねた異世界の風習に、軍人が少しツッコミを入れたりする・あるいは冷静に観察したりする……、という抑えめなトーン。
一応、序盤に飛行機同士の模擬戦などがあり、
乗り方も分かってない現地の人間を、本職の空軍たる主人公が蹴散らす、みたいなシーンもあったりするんですが、
全体としてはちょっと気に留めてないと、あ、今の描写はこういう強調だったのか? と見逃してしまうほど、淡白な演出だったり。
個人的にはやっぱりプレイヤーが喜びやすい「お約束」的な部分は、もっとこってり強調して欲しかったかなと。
(飛行機を飛ばすのに「石油はあるか?」と主人公が聞き、「高価だがある」みたいに応えられる(話が通じてる)んですが、
うーんそこは”今までの非効率な運用を指摘し、主人公SUGEEEEとなる”箇所の方が興奮できたかなと……。
本棚を調べるとかなり膨大な背景設定が読めたりするので、リアリティ重視、この世界の空気を感じよ、という事なんでしょうかね……)
なるほど、単純な方には行かない、重厚なストーリーなのかも……とひとまず納得した所で、更に??と首を傾げさせるのが、奇天烈なキャラ。
魔法使いの国を治めるのは”メイジ天皇”……として、まんま教科書で見たような姿で登場しますし、あと原生生物として詳しく説明されるのが、「鯉のぼり」。
これは見た目はまんま鯉のぼりなんですが、外は布だけど中身は魚の味、火を噴いて飛ぶ生物……と。
他にも航空神社であったり、どこか日本を連想させる一端がほの見える訳ですが、ここで重要なのは、
「これは軍人が朧げに見ている、夢の世界なのでは?」とか「これは◯◯のメタファーなのでは?」と深読みに値する構成だと思うのですね。
その深さがあればこそ、物語を牽引する謎や魅力となり得る。
でも今作、例えば魔法使いの国の始祖という結構重要な人物が「ロート」という昔、薬と博打で財を成した商人(製薬会社とロト7な訳です……)
といった言葉遊びだったり。
なんだ単なるカオスか……と肩透かしを喰らうような感じは残念でした。
死んだはずの英霊が、召喚された新たな舞台で、既に崩御したはずの明治天皇と出会う。
かなりドラマチックのはずですが、ここで深い意味を持たせられないと、まるで思いつきのパロディの様になっちゃうなと……。
重厚なノリなら、せめて重厚さを徹底すべきでは……と思うのですが。
(ただ同時に、「転生してるから記憶が無くなっているかも」とも仄めかしており、物語終盤で盛り上がりを迎えるのかも?
どうも製品版では更なるハッチャケたカオス……を迎える様子。もはやそれを楽しめば良いんですね)
やり込みがほの見える戦闘。じわじわ面白くなっていくタイプかな
しかしシステムに目を移せば、
魔法使いはホウキに、主人公はゼロ戦に乗って戦う横戦闘なんて熱いですし、
おまけにいつでも「加速」が出来て、行動ゲージの溜まりが凄く速くなるといった空中戦ぽさも。
機銃掃射が有効な物理系の敵と、魔法で倒す幽霊系の敵といった使い分けに、
スキル取得では、例えば水魔法を覚えて、雷魔法を立て続けに唱えると、「濡れ状態」→「雷属性」で2・3倍の高ダメージが……など。
そして体験版範囲の最後ともなると、どんどん新しい飛行機を開発(合成)できるぞ、というワクワク要素も。
他にも作品説明によれば、
・信頼度によるシナリオの変化(マルチエンディング)
・裏ボスや隠しボスなどのやりこみ要素
らしく、かなりやり込みに寄せた内容なのかなと。
プレイ時間も長そうですし、「じわじわと面白くなっていくタイプ」なんだろうな、というのはありました。
(ただやっぱ、体験版終了まで大体2時間くらいですが……、もうちょっと深くやれば、Hシーン以外にも2,3の山場を作れたのでは……という感触はありますが)
▲ちなみにエロになると画面(解像度)そのものが大きくなる。これは他では見た事ない仕様
またエロシーンに関しては、
本作はエロに特化したゲームではない。
ストーリー、戦闘、エロを総合的に楽しみたい人向けだと断っておく。
とも書いてありますが、その割にいざエロとなると、主人公は結構いやらしい言葉責めを披露、
女の子も処女のはずにびちゃびちゃに感じる……と、なかなかテキストに力入ってる・差分も案外多めに見えて、儲けもの感がありました。
(ここだけ”安易な方向に行く”のが成功してるのが、皮肉ですが……)
製品版についてはアクナキさんが書かれていました。
ディスカッション
コメント一覧
日本戦争ゲーム開発のメルマガで「R18シーンのテキストは自力では書けないので外注に出す事になります」と書いてあったのでそのせいですかね・・・。
ここの作品は不謹慎ネタやカオス展開がお決まりなので人は選ぶかもですねw
テストプレイヤーさんの感想によると主人公やヒロインは日本戦争ゲーム開発の中ではかなりまともな方らしいです。
> ここの作品は不謹慎ネタやカオス展開がお決まりなので
そうみたいなんですよね。
正直、そこの所を事前に知ってたら、違う感じでも捉えられたかな…とちょっと反省。
不謹慎ネタ…。
初め、信頼度でHすると思っていて、メニュー見たら明治天皇の信頼度もあったのでアッーと思ったのは私の胸の内だけに留めておきましょう…。
良くも悪くも、フリゲー出身っぽいノリというか…… 昔の不謹慎ゲームの流れを汲んでる感じはする
俺TUEEEEEE展開はまあ、軍オタの人は嫌ってそうな気がする
あくまでイメージだけど……
メルマガでゲームの売り上げがどうこうと言ってる割には売れ線を外してくるのは面白いよね
好きなものを作る、というより思いついたものを作る、という感じなのかな?
不謹慎ネタを笑えるかどうか、って事なんでしょうかねー。
(サイト見に行ったら思い切り、麻原◯晃が居たよね…)
> 俺TUEEEEEE展開はまあ、軍オタの人は嫌ってそうな気がする
ですねえ、戦争礼賛みたいになっちゃうと違うというか。
でも少なからず軍記モノはそうなっちゃう気も…するかな。
すぐに戦争礼賛とか言うなよ
ここはゲームの話をするところだろう。
政治の話をするとろくなことにならん
礼賛も反対も本質的には政治の話になるんで、
だからこそバランスに気を付けてるのでは…という文脈ですね。
なので、
> 政治の話をするとろくなことにならん
には同意です。
>> 俺TUEEEEEE展開はまあ、軍オタの人は嫌ってそうな気がする
>ですねえ、戦争礼賛みたいになっちゃうと違うというか。
>でも少なからず軍記モノはそうなっちゃう気も…するかな。
俺TUEEEEEE展開を嫌うのは嘘くさくなるからじゃないですかね?
そんなにバンバン撃っても当たらんわーみたいな感じで。
このサークルさんは過去作でも移動射撃は命中率6割前後、
2射目以降は命中率半減、機体のステータスは実機の性能から算出等、
実際の状況の再現にこだわってるみたいですし。
過去作は史実の上で展開してましたが、ファンタジー世界で”嘘くさく”感じさせないのは、サークルさんにとってかなり新しい挑戦であり、また難しい茨の道だと言えそう。
フレーバーテキスト等で設定を事細かに描写してたり、「架空の世界だけどリアリティを」という所に心を砕いている事は、確かに感じましたね。
ただそれだけに、個人的には不謹慎ネタで腰砕けになっちゃうんですけども…。