プロナント・シンフォニー (体験版)
*この感想は [さたける]さんに書いて頂きました。
⇒製品版の感想はこっち
コンシューマーではFF・DQと際限がありませんが、リメイクが盛んです。商業エロゲでも、ランス1・2・3や戦女神MEMORIAなどは原作の面影がないほど大胆にリメイクしています。また、フリゲでもCreatures~生きとし生けるもの達へ、ココロの心〜ふたりの心〜などは過去作をツクMVでリメイクしています。一般同人では……と例を見かけるのですが、エロ同人に限ってはあまり例を見ません。今思い出せるのはサキュバスクエストぐらいでしょうか。
本作は人気サークルE.B.さんの処女作「プロナント・ストーリー 〜大悪魔の秘法〜」を大胆にアレンジしたリメイク作品です。ウディタ標準の画像素材、標準の戦闘、標準のシステム、そしてサクサク進めるゲームバランスのダンジョンRPGでした。そのリメイクは画像の全面変更、ゲームシステム、戦闘バランスと何から何まで手を入れており、原作とは全くの別物です。
この試みが成功すると、過去の人気作に追加要素を用意してリメイクするサークルさんも増えてきそうで、その意味でも注目したい一作です。
現在の技術で満足できるクオリティにするような動きも予想されるので注視するべきゲームでしょう。なお、E.B.さんのゲームは二作目の監獄島のユミルからはじめたので原作は体験版のみのプレイです。
また、E.B.さんは質の高いエロテキストを作ることができるサークルさんです。原作とリメイクの違いですが、大雑把に言ってしまえば、本格的なハクスラ系ゲームになったことと、テキストとエロ分量の大幅増加です。
催眠がキーワード
本作は催眠がキーワードのハクスラ系ゲームです。主人公の目的、仲間との交流、敵への凌辱、NPCからの情報取得などの、システムの根幹部分から催眠が関わってきます。
主人公はプロナント(催眠のこと)が使える外見は人間の悪魔。自身の魔力が少なく、プロナントを満足に使用することもできないため、大量の魔力が眠ると言われる曰くつきのダンジョンに目を付けます。ただ、自身はほとんど戦えないほど弱いため、なけなしの魔力を使って4姉妹をプロナントで操り、ダンジョン階下で膨大な魔力を入手することが目的となります。
魔力が低いため催眠度も低く、4姉妹はなんとなく違和感を感じることなく主人公の目的を助けるため一緒に冒険するものの、ちょっとエッチなことをしようとしたら全力で拒否されたり、主人公が鬼畜な行動をすると文句を言ったりと、ある程度自然体でありながら軽い思考誘導系の催眠にかかっている点がポイント。
ダンジョンを探索すると魔力を入手できる地点があり、その魔力を使用することで姉妹達により深い催眠を使うことができます。「手を繋ぐ」などの可愛らしいものからはじまり、より多くの魔力を使えるようになると「処女を差し出させる」など、その女の子がタブーと思っているシチュも催眠で実現できるようになってきます。また、「情報を入手」などゲームを有利に進めるための催眠も。
また、女性とのボス戦などは戦闘後に催眠をかけて犯すことも可能。最初は抵抗しつつも催眠の魔力に抗えずに主人公に身体を開いていく女達。
なお、仲間・ボス・その他冒険者などへの催眠はかけてもかけなくてもかまいません。ただし、良心的な行動や悪徳な行動を取ると主人公の価値観が善悪に揺れ動き、エンディングにまでかかわってくるようです。
本格ハクスラに生まれ変わったシステム
ダンジョンは各階層に人間・魔物などが数人おり、階によっては魔物の街などもあります。助言をくれる魔物もいれば、こちらを陥れようとする人間も。催眠で従順にした女性を従えた魔物や、逆催眠をかけて主人公側の女性を引き離そうとするような「プロナント」が主題となっています。
また、ダンジョンの人間にはプロナントをかけることができ、成功するとお宝情報を入手することができます。体験版では確認できなかったけど女冒険者へ催眠をかけて凌辱することなどもできそう。
本作独特の機能として、魔界集積値なる項目があります。ダンジョンで戦闘をしたり特定の地点を訪れると溜まり、これが高くなればなるほど魔物からの経験値・ゴールドの増加やアイテム入手率、採掘場で入手できるアイテムの上昇などが目に見えて増加します(採掘場は魔物ドロップ以外の素材が取れる地点)。また、この値をなるべく高めてダンジョンから出るとスキルをパワーアップさせるなど(体験版ではこの方法でしか入手できない)貴重なアイテムが入手できます。
しかし、しかし一度ダンジョンを脱出すると魔界収集値は0からやり直しに。そのため、効率良く進めるためには、回復アイテムを限界まで持ちMPを温存するなど、ダンジョンに長く滞在できるような工夫が必要です。各階層で特徴が異なるため、どうやって長く滞在するか考える戦略性が本作を面白くしそうです。
加えて、最初は触れない宝箱、炎が燃えていて通れない通路など、初探索時には通ることができない場所がちらほら登場し、アイテム等を入手してから戻って再探索するようにダンジョン内のギミックも豊富にあります。ゲーム性としては単なるハクスラと切り捨てられないほど練り込まれていますね。
さて、戦闘の難易度ですが、手応えがある難しさです。雑魚戦でも少し油断すれば全滅しますし、低レベルで階下に潜ると痛い目を見ます。ただ、戦闘バランス調整は相当に施しており、何よりハクスラの楽しさがあります。レベルが上がってから戦闘をすると一気に楽になりますし、敵が落とす武器を装備すると少ない攻撃回数で敵が倒せるようになります。
システムとしては、毎ターン、敵味方全体にバフがかかるのが特徴です。このバフ効果は2ターン先まで把握でき、風が吹けば、そのターンは風魔法の効果が上がり、狂暴化していたらそのターンは敵の攻撃力が異常なほど高くなります。その中で主人公、及び姉妹は場のバフを切り替える魔法を使えるため、属性を考慮に入れた戦略はかなり強い印象を受けました。
これに合わせて装備収集の楽しみも。各装備にはスキルが設定してあり、装備してから一定回数の戦闘を行うことでスキルを覚えるシステムです。そのため、例え弱い武器でも合成させるために素材を集めたくなるし、敵がドロップするなら何度も戦いたくなる魅力があります。
原作とリメイク作の違い
最後に原作の体験版と比較して、原作と本作の違いを箇条書きでまとめてみます。
・人はほぼいない→どの階層にも冒険者など人間や魔族が一定数おり、話したり催眠をかけることができる。
・大雑把でサクサク進める戦闘バランス→戦略を練ないと雑魚戦でも苦戦するバランス
・各戦闘終了後HPが全回復→回復無し(原作からMPは回復無し)
・各階層は狭くサクサク攻略可能→各段に広くなり、じっくり回る必要がある。(全て回れば階層ボーナスもあり)
新規要素
・昼夜の概念
・魔界集積値の概念
・武器装備での技能習得
・合成素材による武器合成
・採掘、及び採掘場の強化
・仲間へのプロナント項目が増加
・マップ踏破ボーナス
・戦闘の属性
・各階層のボス(無理して倒す必要はないが、倒すと昼間のエンカウントが無くなる)
なんと言ってもダンジョン内の人が増えた分、サブイベントががっつりと増量して、ハクスラ中にエロや会話を楽しむ機会が増えていますね。また、戦闘関連はなにもかも変化しています。ゆっくり攻略するゲーム性に変化しているため、原作ほどのサクサク感はなく、腰を据えてじっくりとプレイする必要がありそうです(原作もサクサク進めるゲームとして一定の需要は残る気がします)。
主人公が催眠をかけるだけでなく、その関係の話題や敵キャラも催眠を使った策略をしかけるなど、「催眠」がストーリーに密接に関わり、且つRPGらしさがしっかり両立したゲームになっていそうです。あと、原作未プレイの私が言うのもなんですが、この作者さんのゲーム、クリア後に心が微妙に熱くなるような軽い余韻を味わえるんですよね。おそらく、善ルートに進めば、催眠で仕えていた4姉妹と心を通わせて真の仲間となる感動の物語があるのかなと。
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