血染め鬼女 (製品版)

R15,ACT製品版の感想,遊べる

血染め鬼女
血染め鬼女[ぺぱーデモクラシー]

体験版プレイ

土と血に塗れた時代モノACT この作風を体感せよ(R15)

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@becomegame

その土着み溢れる動きはPVで確認すべしなのだ:

体験版は一回が6~7分、一応ノー死亡で一面クリアしてみたけど、そこでは分岐無いみたい。
ラストの分岐は……一番初めの中ボスぽい大男とお奉行様に負けると、かなあ……?(他にもありそう?)

確か海外の作者さんだったはずなんだけど、敵の装飾とかめちゃくちゃ調べられてますよね……(一方で実はけっこう時代をばらばらに寄せ集めてるのかな? という気も(江戸時代だけでも250年くらいあるので……))

製品版プレイ プレイ3.5時間

類い希なる才能が、表へ出る為の挑戦

過去作から知ってる身としては、このサークルさんは必ずもっと日の目を見る時が来るハズと思っていて、
そして今回、どこかとぼけたテイストもあった作風が殺伐と寂寥一色となり、R15ジャンルへの挑戦(一般系メディアにも映像が流れたり…)
これは来たる未来の為に是非プレイしておかねば、と手に取ったものです。

殺し、殺され、死体の山の果てに…… 実はアクション初心者でもクリアできる、リトライまで含めた世界観

手描きのアニメからなるメリハリの効いたぬるっとした動きに、
そして白土三平もかくやという(製品版以後の敵は忍者も多いので、山田風太郎的でもある?)
血と土と剣劇みたいな世界観は体験版で感じてた通りですが、
もしかして本作、新しい試みとして『アクション苦手な人でもプレイ出来るように』ってのがあるのかも知れない。

何故ならば、主人公がやられると少し前の場所からリトライ、
ここまでは普通ですが、その際に歯が立たなかった(やられた)ボスが出て来なくなる……という措置が取られるからですね。

ボスにやられてリトライ、今度はザコが一杯ひしめくという風にステージが変化、そこでも負ければ今度はザコがまばらに……
こうまで難易度緩和されれば、さすがに余程アクション苦手でない限り、クリアまでは進められるかなと。

今どきのアクションとしては十字キー(移動+ダッシュ、ガード)と、攻撃・ジャンプの2ボタン操作のみって少なさも「最近のACTには手が付いていかない」って勢には良いんじゃないかと(私も最近思い当たる節がありますが……)

だけど奥が浅いかと言うと全然そうではない、
「間合い」と「対峙する敵の呼吸」、それを突くべく突撃やジャンプからの攻撃、あるいは振り向き攻撃の運用……というアクションの妙味を味わえるでしょう。

そうしてワンプレイの度に築かれる死体の山。
敵だけでなく、それはリトライのたび主人公自身の物も……。

これは別に比喩ではなく、ステージを進んでいくと(ほとんどセリフでの説明が無く、あくまで想像に任されていますが)
主人公の幼少期の記憶の中で戦い、
主人公を迎える、同じ姿形をした多くの自分の死体たち……
そして戦い方如何により、マルチエンディングへ……。
と、プレイの度に違う結末が見えていく事になります。

朧げに推し量れるそれらの背景は、私的に改めて”冥府魔道を行っている”というか、そんな感慨を強くしましたね……

本作のウリとして「返り血を浴びるほど強くなる」というのが作品説明でも挙げられていますが、
世界観としてはむしろリトライ後、”死亡前に戻る”みたいなゲーム的な”処置”ではなく、「(世界が少し変化して)続く」、さながら死亡後少し経った世界のような風情が、強く印象に残りました。

ステージを進むと諸々、敵が怯える、これまた細かい仕草が入りますが、実は主人公の強さだけじゃなく、殺しても殺しても次から次へと立ち上がって来るからではないか……という。

次のプレイこそ! レースゲームのタイムアタック的な感覚で挑むほど分岐、解き明かされる世界

そんな訳で本作のメインの遊び方としては、ただエンディングを見るだけなら死にまくってもOKなんですが、やはり気になるのは手も足も出ず返り討ちにされたボスたち。

一度は確実に殺した筈なのに、再び立ち上がって背後から襲って来る少年忍者には(多分ですが、講談モノにありそうな双子ギミックでしょうかね…)不意打ちに警戒、ダッシュでどこまでも追い詰めるプレイを心し、
犬や鷹を連れた女狩人、近付くと鞭打ちが痛い……には、お供をブッ殺してからのジャンプ攻撃には対策を持たないなとか、
アーチ状の橋で待ち構える居合い切りの達人はなるべく高低差を利用したいところ、飛び込んで来る敵の動きを利用してジャストガードからの反撃か?
などなど、そのボスを迎えた時の残HPによって状況は変わるんですが(本作、回復薬だとかのアイテム関係は一切無し、不利を負ったら不利なものとして一続きのプレイを続けていくのだ…。そこが唯一リセットされるとすれば、”死”しかない)
なるべく”生存率”が高い戦い方を確立していく。

そうして前回のプレイでは勝てなかった敵に勝てた時、また新しい展開を迎え、予想もしなかった異形が再び立ちはだかり、隠れた物語の断片が見えた気になる……。
本作の核はレースゲームの『タイムアタック』の様なストイックさにあるのかも知れません。
(そしてそのストイックさを、なるべくアクション苦手な人にも遊べるような配慮&世界観をも織り込んで成立させてしまう試み。この密度の高さ……)

さすがの練度を感じる 一方で、分かり易いスイートスポットがあと一つあれば……

そんな訳で、私は今のところクリア7回(一周30分くらい)までプレイ。
最後の最後に、わざわざ順調に行けば登場する予定だったボスが合計20体表示、倒せた奴の顔グラは赤く塗られるって寸法なので、
やはりトゥルーエンドは殲滅しかなかろうと思うんですが、これを目指すとなるとやはり難っずかしいですねぇ……
調子良い時で12体くらいなら行けるんですが……。
(グラフィックとプレイ感覚は過去作[成仏させ子ろろろろろ]なんですが、このクリア出来なくて泣いてる感覚、初作の[魔王サーカス]を思い出す。確か、ステージ中のルート分岐もありましたし……)

確認できたエンディングは、私の腕だと3つくらい。
そもそも最後に待ち受けるのがお姫様か、悪代官みたいなじじいがいかにもラスボス然となるルート(1面で妖怪化ルートへ入ってるか)、あとそう、同じ1面で悪代官にお金を貰って見逃すと……と、フラグを抑えるとガラリと変わりますね。

実はこの3つのうち、2番目と3番目は最初の面での「負けている」事が条件になっているっぽく、必ずしも腕を磨く事が全てではない……というのも、けっこう広いプレイ層を意図してるのかなあと。
(というか、初見でボス全員倒せる人など居るはずもなく、何度もプレイするうちに油断からいつも勝ってるボスにやられるけど、その奥深さに気付く、っていうプレイ感覚が狙い?)

ただそこで思う所もありまして、そうした「想像の余地」や「プレイの深さ」を感じられる作品ではありますが、R15、一般向けゲームとしては、そこにドハマリする取っ掛かりとしてはあと一歩、迂遠な気がするのですよね……。

例えば、一周クリア後にタイトル画面にオプションが追加、
遭遇したボスを個別に練習できるモードが追加されるとか(本作、殆どのケースでやられてもボスが消えて進むので、”こいつ苦手だなぁ”ってのをなかなか練習しにくいんです…)
あるいはフローチャートが表示され、既に通った道が埋められ、全体が掴めるとか。

寂寞とした世界観にそうした親切心みたいのがどうも合わないってのは分かるんですが、
やはりプレイとしては、そういった楽しみ易いやり甲斐に充実感を覚えるってのも、一つ強い事実かと思うんですね……

あともう一つ何かあれば……。
そこで言うと、この骨太な世界観に出て来る女忍者や狩人の女性、そして良く見ると主人公もだいぶ見えそうな衣装着てるよなという点で、ギャップ的に輝いて見える原理か、妙に惹かれたり。
過去作と比べても本作が、明らかにアニメの活き活きとした枚数やキャラの大きさ、世界観からして練り込んでいるのは分かるんですが、過去のR18作品のコメディやおマヌケ度高いエロ要素、あれはあれで何だかんだメリハリや訴求力になってたな……と懐かしく思い出したりも。

紛う事なく無二の物ではあるので、Steamなり、いつかどこかで必ず日の目を見るはず……と今も思っているのです。

サークルさん過去作(全部独特なテイスト、ゲームシステムを追求しておられます):

[成仏させ子ろろろろろ]


[August Arm]


[魔王サーカス]


[リズム痴漢]


[痴女プロジェクト ●機械の少女ビッチュ●]


[THE道場破り]

関連:
文字通り、自分の死体を乗り越えていく

[スーサイダー]
とかどうか(R15)

罪にまみれた世界、

[釈我-SYAKUGA-ver1.40]
とかも思い出す