わたしの勇者は多重神格者 EPISODE1:「ひもろぎとグリマルキン」 (製品版)
かつてエロゲといえば、商業エロゲの時代がありました。
大学生となって一人暮らし、自分用のPCを買って、18禁商業ゲーを初めて買って、不覚にも夜明け前くらいに泣いてしまう(泣きゲー)
というモデルケースだった…ようです。
しかし最近よく囁かれるのは、商業エロゲの衰退。
いわく「割れが全てをダメにした」とか「今どきフルプライス(8800円)とかむり」「紙芝居ゲーじゃん」などが挙げられています。
そんな所で今作。
低価格・Unity製のエロRPG…と、今まで同人の領域だった所に踏み出したように見えるのが興味深い所。
他にもほぼ商業であるディーゼルマインさんが[魔導士アルル〜天才のアタシが、なんでこんな目に!?〜]でツクール製のエロRPGを出したり(今まではRPGを出すとしても、商業ならプログラム作かADVツールという縛りが、暗黙の内にあった気がします)
同人と商業の垣根はどうなるのか…と感じる昨今。さっそくやってみました。
設定やらタイトルが分かりにくいかもだけど、とりあえず置いとこう
設定としては、世界中に散らばる神剣の力が宿った女の子たちを、主人公が解放(エロ)していく…という感じ。

女の子たち=剣娘は「世界中に100人余居る」らしく、また主人公は「一つの人間の身体に三人の神が入っている」というちょっと分かりにくい設定なんですが、
これも一エピソードごとに順に入れ替わっていく…という事から、和姦・M系・レイプ系でエロを分けたかった、連番シリーズらしい配慮なのかなと(今回は和姦)
本作は「ひもろぎとグリマルキン」の通り、この二人の剣娘と一緒に旅(エロ)する第一作目、という扱いになっています。
ADVの間に3DRPG。どちらもさすが…
それで内容ですが、大まかな流れとしては
RPGに入る前のADV(片方の子とH)→RPGでダンジョン潜り→クリア後にADV(もう片方の子とH)という具合。
(以後のシリーズも同じ流れにするかは分かりませんが)

今作ではダンジョンは3Fでクリア、大体プレイ3.5時間…という所でした。
Hシーンは5つですが、既に書いた通り、起こる所で立て続けに起こります(敵に襲われてエロられてる女の子、それを助けた後にH、更に体位を変えてもう一回…)
ADVの部分では塗りの丁寧さ、女性フルボイス、しっかりしたエロシーンのテキスト。
同人だと割と疎かになりがちな通常シーンのスチルも存外に用意されてて、”さすが”というべき物です。
並の同人ADVのクオリティは軽々と超えている。(しかも価格も安い…)
装備は両手に持った剣のみ! 最強に強い組み合わせを求め、やり込み…!
そして肝心のRPG部分ですが…結論から言うと、なかなか面白い。
正直、価格からしてもっとスカスカかなと舐めてましたが…楽しめました。

ダンジョンを移動するシーンではゴール地点のワープゾーンを目指して3Dで歩き、そこにエンカウントで戦闘が発生。


戦闘に入るとフロントビュー式、ただし敵は3Dモデリング…という感じになります(最近のDQのような感じ?)
リアルタイムポリゴンゆえの、フレームレートの高い敵のぬるぬるした動きが案外小気味良く、楽しかったりもするのですが、一番特徴的なのはその偏らせまくった能力システムでしょう。

具体的には、手に入る武具は「剣」のみ。
防具も無ければ、回復スキルも無い…それら全ては「防御力が高い剣(装備した剣の中で、一番防御力高いものが優先される)」「攻撃が回復の剣」などに集約されるという、剣至上の世界観。
しかも剣を装備できるスロットは限られてる(デフォでは2)…という、取捨選択の厳しさ。

まして毎戦闘後に敵は、ほぼ必ずなくらい新しい剣を落とし、
「攻撃後に高確率で麻痺させる(ホントに高確率。体感50%くらい?)」
「全体攻撃」「一回だけ攻撃を反射させる剣」
などがザクザク入っていく…。

そこで朗報なのが、剣同士の合成システム。
要らない剣を束にして投げ込めば、お気に入りの剣があっという間に強化(合成というより吸収ですが)
そんな風に強化してるとすぐ剣の限界も来てしまいますが、同ランクの剣同士を合成させる事でまた鍛えられる余地が空く…(限界突破)
という強さにつぐ強さ、強化に継ぐ強化、というピーキーな仕様となっています。
という感じで大体分かったと思いますが、通常のRPGの常識に大きく制限を加え、それでいて普通は枷を掛ける所を大胆に許した…
「ダンジョンやり込みRPG」な感じとなっています。

ただ剣の値が上がりまくる…だけではなく、戦闘の戦略も適度に考え所があります。
例えば「パーティー全体の行動値が許す限り、何度も攻撃できる」とかが目立つ所。
つまりパーティーが3人、行動値も3だった場合、「一人が一回ずつ攻撃する」も「一人に三本剣を与えて、3回攻撃させる」も自由、という訳です。

ここに「攻撃直後に、もう1ターン追加攻撃を選べるエクストラタイムというのがあるようだ」と気付き(剣娘のみ発生)
「エクストラタイムは状態異常が成功した時に発生…しやすい?」みたいな、自分なりの戦い方を組み立て、敵に手も足も出させずに勝てた時には、嬉しさが募るもの。
また3人のパーティーのうち、誰をリーダーにするかで全体への影響が変わる…など、細かい所の戦力アップも見逃せないところ。
次作への引き継ぎで、更なるやり込みの深みへ…!?
そして特徴的なのが、次作以降のゲームに鍛えまくったじまんのクリアデータを引き継げる…
次作以降と結合すれば、主人公の上限LV、スロット数増加…という、更なるやり込み沼への誘い。
(一作目の女の子たちも「剣として」次作以降に持ち込める)

つまり剣娘という設定、やり込み式の戦闘でそのまま次回以降の購買意欲に繋がる…という所までしゅっと計算して作られた訳で、なるほど、プロの威信を賭けたプロジェクトを見た気分です。
RPGとしては実際、もうちょいこの俺TUEEスロットを試したい、って感じがあってウズウズしてますしね…。
あえて同人価格に直すなら「1000~1200円くらいのRPG(エロシーンは各階ごとに分けた方が良い気もするけど)」な感じかなと。
個人的には次作も遊んでも…良いかな…? という塩梅で、なかなか良い線だと思いました。
(ただ同じ内容を続けるなら3作めは無いかなと…、全ては次作でどこまで楽しみを引き継ぎつつ、+αがあるかですが)
ディスカッション
コメント一覧
どこかで見たことある画面だと思ったら、このブランドの前作の素材を大分流用してるんですね。
それ自体の評判はかなり悪かったようですが……。
敵グラフィック・剣の能力・マップデータの流用による大幅コストカット。
というか、元が出来悪すぎて急遽資金回収が必要になったのではと勘ぐる状態。
なるほどー。
そういう意味では商業の方が、なんだかんだ「稼ぎ方が上手い」のかもですな…
確かにマップデータは全部同じだし、敵もなんかゾンビばっかだなって想いはあった…!(次回以降どうするんだろ)
本作自体は結構面白かったです。素材だけ渡して、制作は別なのかも(スタッフロールで外注ぽい感じで書かれていたので)
> 同人と商業の垣根はどうなるのか…と感じる昨今
「エロ面白い作品を作ったら売れた!」が同人
「一定数の売り上げを見込める作品を作る」が商業
って感じですかね?
ですねえ…。
登記してて専業だったら商業って分け方なら明確なんですが、この二つを満たした同人サークルさんも居て曖昧ですからね…
事実上、店頭とかの流通の契約の都合で、法人にして、スタッフも増やしたら、いわゆる商業って形になる…って感じでは。
そして体制的に維持コストが高くなる代わりに、売上高は上げやすくなるので、そういう感じの作品を出さざるを得なくなる。
いや会社登記とかした事ないので、自分もよく知らないですけど…
商業と同人の関係は、もうすこしラフに考えていいと思いますよ。
この2つは、どちらも「商」としての要素を持っているので。
問題は、業務、つまり業(なりわい)としているかどうかだけです。
法人とか関係なく。例えばそれで飯(メシ)くってりゃ商業です。
法人格は、人格の意味するとおり会社が飯くっていけるか(作って売らんと飯食えず死ぬ(倒産)するかどうか)です。
会社だって、人間と同じように、業務撤退や新規参入など転職や兼業していますから。法人かどうかなんて関係ないのです。
一般的な意味合いと、市役所的な定義と、税務的な定義とで、あんがい分かれてる気がするので割と曖昧ですよね >商業
「それでメシ食ってる」といっても…、今だと普通にネット経由でアフィ、ゲーム販売、依頼をこなす…みたいに3点で食っていってる人がいて、この場合ゲーム販売は「それだけでメシを食っている」規模じゃないけど、商業に入るのかな? とも。
(これが商業に入るなら、じゃあ趣味で畑とかやってる人も商業なのかな、とか…)
まあ市役所的な定義はお上にお任せするとして、なぜ一般的な意味でも同人と商業を分けようとするかと言うと、製作過程・出てくるもの…が明らかに違ってくるからじゃないかなと。
買う側にしても、同人なら「支援の為に」買うのはダイレクトに効果ありそうですが、会社組織だとその辺がちょっと弱くなりそう…みたいな。
そこを判別付けたくて、みんな色々話したり。まあこれも曖昧な話ですけど…
「3点で食っていってる人」という表現がいけませんね。
「3点揃って食っていける人」なら。それは「業(なりわい)」です。
「3点のうち2点でよい、かつゲーム販売は主収入(その2点でない)でない」のであれば「業(なりわい)」ではないので「商(商取引のある)」であっても「業(なりわい)」ではありません。
商取引である以上は、同人も商の性質を保ちますから
「同人/商業」という比較ではなく「業か否か」なわけです。
もうすこし「業(なりわい)」の狭義的な意味(=反復性)で考えてみましょう。例えば。もし「1発出して、あと継続しない」のであればバグは放置され。売り逃げも起こりうるでしょう(というか昔は多かった)
しかし何年も継続して活動するためには、その評判はついて回りますので活動が難しくなります。するとアフターサポートの必要性が出てくるわけです。これが「業」です。
業でない状態 = 昔の同人
(反復せず産まれるだけの状態)
↓
業となる状態 = 今の同人
(反復するために、産んで育てる状態。でも務め(責任)があるわけでもない)
↓
業であり務となる状態 = 一般的に商業と考えられているもの
(反復するために、産んで育てる状態。かつその務めを負っている状態)
上の図にすると。少しはわかるでしょうか。
丁寧な説明ありがとうございます、おっしゃる事はなんとなく分かりました。
…が、業(なりわい)という言葉を初めて意識したもので、それで何が変わるのか、ちょっと戸惑っています…!