babubabu2 (フリーゲーム)
前作[babubabu]はDLsiteでも発売されてるシェアゲーであり、こたびフリーゲームで続編が、という事でプレイ。
大体のルートをコンプして、プレイ2時間弱ほど。
道徳心が養われないまま壊れた子供を見守る、AIRIN(あいりん)地区の大人たちの哀しさ、狡さ。そんな人生のシーンをミニゲームで綴る
▲ダンボール一つでAIRIN地区にやって来たバブちゃん。ここで待ち受けるしょっぱい体験。登場人物は全員キューピーちゃんです
ゲームの流れとしては前作と変らず、
CF2.5の標準機能といった感じの(しかしそれでいて上手く組み合わせており、それぞれ特異な雰囲気が醸された)
ミニゲームをプレイしながら、勝利やら敗北条件を満たす事で、
なにやら諸々ストーリーが分岐したり、突然ゲムオバになったりする(リトライは可能)
例により登場人物は全員キューピーさんのお人形、
背景はごくシンプルな図形の組み合わせかと思えば、突然情報の圧が多い実写がぶち込まれてたり、全体として極色で猥雑な世界観。
まるで主人公バブちゃんのまだ養われていないまま壊れた、感情の底を示すような常に悲しげでチープなBGMが鳴り響くなか、
その人生のワン・シーンごとの哀しみや不条理を追体験するようにミニゲームで綴っていく。
▲無心を断ったら包丁を振り回すおじちゃんとバトル! ミニゲームごとのそれぞれのバッドエンドやルート分岐が待っています
▲優しいおじちゃんにラーメンを奢ってもらい、養護学校にも入れて貰えたバブちゃんだったが、ここでもイジメが。忍耐……忍耐だ……
私自身は前作の製品版をプレイしておらず体験版止まりで申し訳ないのだけど、
前作がキッチュで突発的で破壊衝動が止まらないバブちゃんのパワーに溢れていたのに対し、
今作は前作のやりたい放題が原因でAIRIN地区(モデルは明らかにあいりん地区)まで流れてきてしまった主人公・バブちゃん……という事で、
この地区のすぐキレたり、人を裏切り関係を台無しにするクズでダメな大人たちが見せる、
(子供だろう)主人公のバブちゃんに見せるほんの一握りの優しさであったり、
弱さに付け込もうとする狡さだったり、何もしてあげられないという諦めだったり、
支離滅裂さの中に潜む悲しさがシーンを綴るごとに、まるで裂け目のように痛切にじわじわと染みてくる。
特に勝ち・負けの条件も教えられず、突然場面ごとのミニゲームが始まるのだが、
これ自体が、環境からか道徳が養われておらず、すぐ短絡的な破滅的な行動を取ろうとするけど、
でも人の痛みを感じ取れる倫理だけが僅かに……、いやもしかしたら人一番残ってるバブちゃんの
迷いを、プレイヤーがサポートする形で追体験する、そんな錯覚をも抱かせる。
(事実(ゲームらしい)破壊行動を取ると、大体のケースでゲームオーバー。
時に”壊さない”・”ただ耐える”がルートを進める為の条件になっていたり。
それはまるでこの街に足を踏み入れた途端にすぐ出会う、絡んで来るクズの如き人間と、そいつをぶちのめすかというルート分岐の後に出会う(出会わない人生もある)
優しいおじちゃんが象徴しているようで。
まるでおじちゃんが「大事なのはちゃんと誠実な行動、マナーなんだぞ」と繰り返し何度もバブちゃんに諭す姿に重なるようで。)
言わば作家で言うならば、町田康や中島らものような、『人間の業の肯定』である。
それをゲームでやっている。
この地区特有だろうそんなエレジーが前作よりも深さを与え、またプレイの際に理解しやすい取っ掛かりを与えていたかな、という気がした。
▲福祉施設の窓口で、隣のおっさんがうるさいのでパーテーションをガーン! ってしてみるバブちゃん。どうなるんだ……(静かに手続きを完了する事もできます)
▲紹介して貰った雑居房のようなアパートでくつろぐバブちゃん
▲炊き出しのおにぎりを忍者ハットリ君方式でキャッチしまくるバブちゃん。
サイケかと思えばひどくゲームの原点が窺えるようなミニゲームも
ミニゲームのルートごとにまったく別のストーリー(人生)を辿る。
同じ街を舞台に、取る行動により運命が分かれる……という事で、
登場する人物は共通しているのだけど、あるルートではがっつりと関わった人が、別のルートではまったく関わらず、裏の側面や顛末を見る事にもなる。
例えば初めのルート分岐、見渡す限り危険そうな人たちの中で、唯一信頼できる人だと感じるだろう、バブちゃんを諭すおじさん。
だがちらほらと怪しい所も見えていたその人が、
別のルートではどうやら『過激派左翼の活動家』であると分かったりもする(でもだからと言って、別にバブちゃんが何か変わる訳でもないけど)
そしてまた、この地区に眠るかつての右翼? が隠した財産の噂だったり、
あるいは『米帝からの干渉』が声高に叫ばれたり、被害妄想の頭の中を引っくり返したシナリオが、ミニゲームと共にふいに現実味を帯びていく。
それらの話題が、ある時はそのまま何事もなく立ち消えたり、
ある時はこの事だったのかと、点と線が繋がる形でエンディングを迎えたりする。
いとも容易い破滅と背中合わせゆえに、国家レベルの陰謀論がそこに繋がってる事にプレイしていて疑問を感じない……
そんなゲームでしたね。(お分かりになっただろうか?)
▲そうして斜め上の展開を迎えたり……。あぁバブちゃん何処へ行くの……
1の雰囲気が『地区』によりここまで変わるというのはかなり意外で、
もし続編があるなら、次はどんな舞台を下敷きにするかでメッセージ性もだいぶ変わりそう……と興味深いです。
まぁ今回、2はフリーゲームという事なので、気になれば是非プレイするのも良いかと。
最後にこんな動画でも貼っておきましょうか、そんな気分になりました。↓
SHINGO☆西成 飛田新地
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コメント一覧
異界ルート探すのしんどかったですわぁ
https://www.nicovideo.jp/watch/sm34056596
さっきPV見つけて「分かった気になったけど、実は半分もルートプレイしてねえ!」ってなりましたねえ……! すげえ!