このサークルさんのRPGシリーズ、気になるゲームシステムの上に、体験版が一切無い事もあり、先日も気になってエローン大君さんに前作[密室の中は果実でいっぱい]の感想をお願いして、書いて貰ったものでした。
今作に関してもレメラボさんが書いていますが、どうもみんなプレイ後、”言葉少なになる”というか、歯切れが悪い感じです。
まるで何か恐ろしい物でも見たかのように…。

そして今作は、前作くらいから密かに漂っていたダークさが表紙からいよいよ全開という事で、怖いよぉ…なんか心臓がギューッとなるよぉ…と思いつつも、
脅える少女たちが、異型化してしまう? 化物はアニメ? そもそもどんなゲームシステム?
と好奇心は拭い難く、自分でもやってみる事にしたのです。

(ゲーム中のスクショ掲載はPOPと作者さんブログの物以外ダメというルールなので、どれだけ魅力を伝えられるか心配ですが…頑張って語ってみましょう。
…まぁ中身が伏せられてるからこそ惹かれる、ってのもあると思いますしね。特に今作なんかは…)

鋭く尖ったビジュアル。怪奇な敵との戦闘を繰り返し、女の子たちを救出しよう


まずゲームシステムですが、そもそも制作ツールがティラノスクリプトなので、吉里吉里とかノベルツールでの、ノンフィールドの戦闘中心な感じ。

つまり突然、奇妙な場所で目覚めた主人公が、その場所を探索すべく一歩進むごとに怪奇な敵と出食わし、攻撃・回復・SP回復・逃げるという選択肢を選んで戦う、といった塩梅。
最奥へと辿り着くとボスがおり、少女に襲い掛かってる所を助けたり、あるいは少女「が」ボスになってしまっていたり…
基本的にはその流れの繰り返し。

怪奇敵
▲怪奇敵との戦闘…

場所ごとに出てくる敵が固定だったり(最奥まで4回進むエリアなら、途中の1〜3で出てくるザコ敵が毎回同じ)
戦闘でもダメージが変動しなかったり(攻撃ー防御みたいな計算結果に、ランダム係数が作用しない)
ちょっと単調さはあるかも知れない。

逆を言えば勝てない敵にはほぼ勝てないので、何度かザコ狩りをして拠点に引き上げ、敵の落としたお金で武器を買ったり、各能力を無闇に伸ばしてみたり…という強化部分がゲーム時間の大半を占めると思います。

ただその中でも特筆すべきは、ビジュアルとテキストが中心になるゲームだけあって、
怪奇な敵はうねうねとアニメ、また種類ごとにシステムメッセージの描写が用意されているインパクトでしょう。

例えば奇形の赤ん坊が敵なら
「”オンギャア!!”と甘えられて、のし掛かられて」ダメージを喰らったり、
倒したら倒したで
「最後に上げた断末魔は、まるで母親を恋しがる子供のようにも聞こえた。
赤子の死骸はみるみると腐り果て、数秒でウジが湧いた」
といった具合に事細か。

ただ表紙画像からも、この後味悪いホラーな部分こそがメイン…と考えがち、実際、全体を覆うテイストではあるんですが、実はそれは本作の魅力の土台にしか過ぎない。

ホラーな雰囲気の中で、少女とはまさに癒やしなんだ


というのも、初めに幼馴染の女の子を助けてからは、連れたって探索するようになり、「ヌルヌルと湿った土が…」みたいな不快テイストだった移動後のメッセージも、
「(川辺を歩くので)スカートをまくって見えた、生足にドキドキ」
「下着まで濡れて、グチョグチョだよ〜」
みたいな、ちょっと華やぐ感じに取って代わられるからですね。

もちろん倒した敵の死骸を見て、げろを吐いてしまう、みたいな反応もあるのですが…それさえも一種の女の子らしさというか。
この時点で、メインは怪奇より、怪奇におののく女の子へとなっていく。

会話
▲目パチ口パチアニメしてて微かわいいよ

そしてホラーにおける美少女ってあくまで”賑やかし”だからか、
人数は少なめ、しかもそれほど個性は表に出さない…と相場が決まっているのですが、本作の女の子は総勢約10名。

それぞれのエリアをクリアし、拠点にどんどん巫女さんだったり、帽子を被ったお嬢様だったり、八重歯のかわいい活動的な子だったり…が増えて、しかもお互いに仲良くなったり、お話ししている様は素直に和みます。

そして少女たちは状況が状況だからか、唯一の男である主人公にだいたい惚れちゃってる…というある種のハーレム。
怪奇+サバイバルな雰囲気の中で、少女のかわいさが第二の魅力であると言えるでしょう。

少女たちの心を解きほぐすラブHシーン


特に(表紙のイメージからはまったく予想できないでしょうが)
心を解きほぐし、距離感を縮めていくラブHシーンの描き方が見事です。

システム的には貯めたお金を使って、ラブホっぽい個室部屋に女の子を何度も指名して誘う…という事なんですが、
例えば幼馴染の子だと3回めくらいまではお互い雑談、お互いを意識し始めてからも、女の子側が”なかなか覚悟が決まらず”、主人公側も
「次こそは身体を交わす事になるだろうが、そうしたら関係が変わってしまうかも知れない」
という、幼馴染だからこそ肉体関係を持つことへの不安のモノローグがあり、そしていよいよ結ばれる時には
「大丈夫よ、身体を交わしても私達の関係は何も変わらない。重ねた月日に優るものは何も無いのだから」
と囁かれる…という、丁寧な歩調が用意されています。

思えば、壊れた世界でようやく結ばれる…というのも、何か良いものだな…と。

Hシーンポップ

他にも、登場時から熱烈アピールだけど報われない、主人公を好きすぎる健気なお嬢様は、エッチするまでは勢いで押し切っちゃうのだけど、「結ばれた後」の不安を重点的に描いていたり。

かと思えば、男勝りの活動的な子なんかは、中学生男子よろしく一緒にエロ本読むテンションとか、馬鹿やるだけで楽しかったり。
(でもその楽しさも、一見ガサツだけど、ちゃんと賢く周りに気遣っているからだな…とも分かる)

H絵も、全員貧乳・恐らく処女ですが、
すべすべしたお腹、ぷにっと少しだけふくらんだ、ピンクの乳輪がなかなか可愛らしくもエロい…。
服を脱がす際の、それぞれの衣装や下着にもこだわりを感じて、ラブエッチだからこそ、そういうの大事よね…と嬉しいところでした。

マンネリに陥らないストーリー展開も


女の子バトル

そして三番目の魅力は、ストーリー展開。

戦闘・強化の流れにも慣れ、このままエリアを順に開放、女の子×10を総ざらいするのかな…とやや先が見えたのも束の間、
途中から食料目当てに襲ってくる女の子グループとバトル…という展開や、”助けた少女たちの中に一人、離反者が居る!”という場面を迎えたりも。

…もちろん、この奇妙な空間はなんなのか、という謎も残されていて、全てが明かされるマルチエンディング(結末)へ…と繋がっていくのでした。

戦闘は少し単調…? 怪奇も暴力も麻痺していく感覚は合ってるけど


一点言うなら、ゲームとしての進め方は述べた通り、けっこう古式然としており、表紙からアレコレ妄想してた、本当に「ヤバそう」な感じは、戦闘繰り返しの時点で、ある種の安全圏内で消えちゃうのが悲しいかな…と。
(まぁ実際これは、既存のシステムを頼らない=”まったく新しいゲーム”な訳で、ハードル高すぎですが…。)

怪奇敵たち

あえて言えば、戦闘の単調さに比べ、システムメッセージの豊富さが特徴なので、例えばこちらのクリティカル攻撃後は、敵の動きが鈍るとか
(”招き女”の腕を掴んでグシャアした後、次ターンも平気で招いてくるのはどうかと…。まあそれもなんだか怖い絵図で良いですが)
あるいは、たまに判定で、敵が攻撃しようとする所にこちらの攻撃が当たる、あるいはその逆とかもあって、後出しになった方の体勢が崩れて、ダメージ5割減になる…とか。
更なる状況とメッセージ変化があると、本当に命がけで闘ってる感じが出たかな…と思ったり。

ただそれも、全体の表現でいったら枝葉末節。
そもそもこの繰り返すうちに、不思議と怪奇にも暴力にも麻痺していく感覚こそが、特異な体験を呼んでる…という気もしますし。


一気に6時間弱プレイ、EDも4種全てコンプしてしまったゲームでした。
(やる事が明解で、しかもあとちょっとで届くってのを意識できるので、つい遊んじゃう)
終わってみれば、なんだかんだ魅力的なゲームだったなぁ…と物想いに浸れる感じですねぇ…。