Sauna of the DEAD (体験版)

ACT,一般向け遊べる

「整い」×ゾンビサバイバー? 驚きのインディーゲーム

これはDLsiteで初めて見た時、メッチャ気になっておりましたねえ……、
一見ヴァンサバぽい内容(全体のテイストや運びに若干影響は受けてそうかなと思う)
その一方、倒すべき……というか、”整わせるべき”相手がゾンビ!?

そう、整い快楽の為にサウナ・ゾンビとなった連中をロウリュ(最近地味によく聞く単語)で至らせるのがプレイヤーたる貴方の使命。
これが俺の……、サウナ・オブ・デッドだあっ! みたいな。
ですが体験版とかは無い様子。さてどうしようかな、と。

でまぁ、Steamで探したら半年前に発売してましたし、なんなら体験版もありましたので(DLsiteには登録されてないんだよなあ……)
DLsiteクンもさぁ そろそろ全年齢ゲーム分野も開拓しなきゃマズイんじゃないのアフィ部としては、一躍してプレイです。

ゲーム始めると、ドット風AI素材を所々に起用(実は18禁より全年齢とかフリーゲームとかのがよっぽど活用進んでると思う、AI素材)
2.5Dぽい奥行きの処理をする一方、平ぺったいテクスチャに、多分意図してのマップチップの繰り返しみたいなグラフィック表現。

そもそも本作の「ちょっと変化球の」コンセプトかつ、でもしっかり遊べるよという内容、あとSteamにおける文化=ずっとアーリーアクセス中もそうですし、どうもクレジットを見るとPatreon(支援サイト)に東京ゲームダンジョン(即売会ゲームイベント)とサポーターが多数要るらしく、
これはいわゆる、かなりのインディーゲーム文化、というのを感じられるのでした。
(つまり”日本の”インディーゲー文化からもDLsiteは弾かれてるというか……、まぁいいや)

生き残るはタオル(熱風)の振り方次第
ロウリュを駆使して室温を上げ、サウナ室をぶち上げろ!

さてそんなゲーム性ですが、遊んでみるとさすが、割と語り甲斐あるものになっているかなと。
開始当初のフィーリングで言えば、
「熱波師」として雇われた俺がサウナに入場、整い快楽を求め、理性を失ったサウナ・ゾンビたちがわらわら群がって近付いて来るので、これをタオルを振り回し、熱波を送み、昇天させる……
熱波には正面にのみ飛ばすタオル単振りと、周囲一帯を攻撃するタオル回転があり、それらはスタミナ次第。
またスタミナは敵がひしめき、囲まれそうになった時にいちはやく切り抜けるダッシュにも必要。

この時点だとなんだ、設定がヘンな無双モノか? くらいに思うでしょうが、その中でも面白そうな気配を醸してるのは「サウナ室の温度」。
サウナに配置された石炭やストーブにロウリュ(水をかける)、薪をくべる、あるいは攻撃(タオルで扇ぐ)。
この三つで上昇、体験版の1~2ステージだと100°を迎えると”フィーバー状態”となり、パリピさながらにネオンサインが明滅、フロア、いやサウナ室はアゲアゲに……?

ところが今作、1面クリアを目指し取り組む頃には、ガチでプレイしてもかなりの難易度、ゾンビの吐くゲロでじわじわと体力が削られ、あっと思った時には追い詰められて死んでしまってる、と気付く。
その辺りのプレイ時間と手応えの設計がやっぱインディーゲーらしい本格派、という塩梅ですが、
この死に方ってのが、割と状況判断がモノを言う中で追い詰められての死(判断ミス)……なので、「今のはちょっとミスった、あともう一回!」と繰り返し遊びたくなる感じがあります。

あとゲームデザインとして、ここが一番本作の本作らしい箇所と思ったのですが、
初めはサウナ=ステージであり、つまり一度入ったらボスを倒すまで出られない、撤退する時はリタイアするとき……くらいにゲーム脳で思い込んでたんですが(というか、普通のアクションゲームならそうだと思う)
これをサウナ脳に切り替えるのだ……。

整いをフィーチャーした特徴的なゲーム性。何度だって回復&強化できる

つまりゾンビが吐くゲロなんかに被弾、毒状態になったりしてサウナ(での戦い)が辛くなったら、無理せずサウナから出てもOK。
そしてその後、設置された「水風呂」に入れば毒気は抜け、しばらくまったりと待機した後、今度はお休みどころみたいなベッドで横になってみよう。
すると、ピキーーン!!! と画面がエンボス調になって優勝です。
いや、今まで敵が落とした「ととのい玉」の分だけ強化が完了。
体力も全快、さぁ再びサウナ室に挑むべし……と。

すなわち、サ界隈に曰わく「整う」を大胆に取り入れた流れな訳ですが、これが通常のアクションゲームでは出て来ない発想というか、アイデアというか。
不利になったからってエスケープ出来ちゃダメじゃん、回復、あまつさえ強化できちゃダメじゃん!
(例えばキャラゲーではたまに見られるんですが)既存の題材をなんとか表したいと考えた時、こういうアンビバレンツなゲーム性解釈が起きるんですね~。

でこの、回復&強化を時間が許す限り(お店の営業時間がある)何度も何度も繰り返しトライして良いというゲーム性には、割と新奇で驚かされるものがありますし、また意外にゲーム性としても成り立っているんですね。
一時強化って考えると無双モノとかヴァンサバとしても「なるほど」ですし、
これ以上はやばいな、とサウナ室を出て行こうとした時の、出口にゾンビがひしめいてた時の攻防戦とか熱いですし(言わば全回復・強化の前が、一番死にやすくなる訳で)
あと思えばウィザードリーとかも倒したその場でLvアップせず、宿屋に泊まった時に溜まった分がアップしてたなぁ…とか(当時の仕様上やむない実装だったとか聞きますが、そういうのが今となっては妙な駆け引きや新鮮さを生むのも確か)

言わばお前は熱波師であり、サウナ・ゾンビたちを至らせる為に挑戦するのだが、それはそれとして、お前自身も整っていい。
サウナ道は奥深く寛容だ。
ありがとう……(何を言っているんだ)

ネタかと思いきやちゃんとやり込めるゲーム性。
この咀嚼がインディーゲームなんだなあ

ともかく、この「整いでの強化」を覚えるとかなり有利になるので目指すわけですが、そこで必要になってくるのは『サウナに一定時間いること(温まらないと整わないからね)』。
ちょっとサウナ入って、すぐ出たからってピキーンとはならない(回復できない)のだ。

本作、何となくまずヴァンサバが初めにあり、で、そこからそれをいかに崩すかに腐心されたのではないかな……と察するのですが、
ここなんか、ヴァンサバのあの「○○分生き残れ」を上手く細切れにし、サウナ題材の特別なゲーム性として咀嚼した、かなり感心する所だったり。
インディーゲームぽい新奇なネタの取り扱いと、実際それをこなしてみせるゲームデザインの経験豊富さ……が感じられました。

そしてそんな所にもう一軸、「サウナ室の温度」の要素が再び蘇るわけです。
気が付けば私は体験版2時間近くやっていたんですが、こうなると熱波師としての動きも大したものに……。
体験版第一ステージ「ゾンビの湯」では画面中央に石炭、画面上部にストーブがありますが、
押し寄せて来るゾンビの位置を的確に把握、ロウリュでも水を石炭に掛けるか、ストーブの方が良いかと瞬時に判断。
ロウリュが一番室温上昇するんですが、水を運んでる時はよちよちの遅歩きになりますから…
(ちなみに薪は移動速度変わりませんが、石炭には使えない、とまさに一長一短が練られてる)
状況的に水も薪も使えぬとなっても諦めるな、隙を突いちゃあ石炭やストーブ自体に攻撃(タオル振り)を見舞って、シコシコ温度を稼ぐのだ。
これは熱上昇は小さいものの、攻撃と共に兼ねられる一石二鳥……(ただし残スタミナには気を付けろ)
などなど、テクニックを駆使した立ち回りをマスターするのでした。

室温は何もフィーバー状態に入らずとも、高く保っておく事で攻撃力がアップ(言わば場の効果)、また整いの前振りたるサウナ滞在時間も短くできる…かな?
ちまちまロウリュとかするのは結構リスクなんですが、ちゃんとリスクに見合うリターンがあるという。
(またステージが変わると薪やストーブの位置・個数がまるで変わるので、簡単に変化が付けられるという利点も)

まぁ何だかんだサウナな訳ですから、デフォの室温60°とかだとやっぱイヤンというか、「高く保っておかねば」みたいなモチベがシチュ的にも働く。
題材としても、アクションゲームとしてもかなり捌き方が面白いな、と感じました。

まだアーリーアクセスではありますが(まぁこれもいかにもインディーしぐさではある)

本作は例によってまだアーリーアクセス中ですが、体験版で気になったのは、
(クリアめざすと割と難易度高いので)そこそこ何度もやり直す事になるのですが、なにくそというトライ意欲こそ煽るものの、「ずっとこればっかやってる」感じになっちゃうのはあるか、と。
サウナでの戦いの間に、何かやり込みで少しずつ解禁されるコンテンツの様な物が箸休めで欲しかったかな……。
あとフィーバータイムのパリピ感とかやっぱ(近年の)インディーゲームぽいですが、どうせならこの時のみ、タオルを振るとぶんぶん音が鳴って、上手い感じでSE同期して更にアゲて欲しかったか、とか。

まぁ久しぶりに全年齢ゲームをやり込んだ気持ちがありましたね……(体験版だけど…)

体験版はプレイ1時間45分。

・この作品のゲーム実況はここでしてます

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